冗談の、まぐまぐプレミアム第二弾「仮面の裏側」は、
あるAXビデオメイカーに勤める新人男性社員とそのメイカー専属となった女性AXモデルの
チョット変わった恋と愛の物語である。
この二人を取り巻く人々の赤裸々な人間模様を、第二弾の番外エピソードとして、
本作「仮面の裏側 外伝」で、お送りいたします。
第二弾を読んでいただいていると、いっそう話しが良く見えます。
人間の「理性と性の狭間」には、底知れぬ闇が横たわっている。
仮面の裏側にこそ、本音の真実がある。
それは、人類共通の課題なのだ。
これは「仮面の裏側」主人公、良一とナナを取り巻く人間像に迫る外伝です。
(プロローグ)
ナナと良一が所属するスター・コンテンツには、様々な人々が出入りしている。
そして、様々な人達が様々な理由でAXビデオに出演している。
それは、さながら人生の縮図であり、人間のサガ(性)であり、そして、生きがいなのだ。
そんな人々を、他人が笑うことは出来ない。
計り知れない他人の心情を、自分の物差しで計ることこそ、不遜なことである。
あなた方は神か、そんなに偉くはないはずだ。
生きると言うことは、「食べ物や金だけ有れば良い」と言う事ではけしてない。
心を満たすことも、重要な要素になる。
仮面の裏側 外伝第一章・・染葉
(ナナの妹分)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔話〕(ナナの妹分)◆◇◆◇◆◇◆◇◆ |
ナナに突然妹分ができた。
名を小川染葉(そめは)といった。
勿論、プロダクションが適当に付けた芸名である。
染葉はナナから半年ほど遅れてAXデビューしたのだが、
実は二十歳を過ぎての遅いデビューで、ナナより歳は上だった。
ところが、染葉はその外見が小学生の高学年くらいにしか見えない。
実際新宿の繁華街あたりを夜歩くと、五百メートルおきに補導されるので、免許証が離せない。
それで、繁華街でチョットした有名人になって業界にスカウトされたのだ。
「AVに出て見ませんか。」と誘われて、染葉は「面白そうだ」と、
その話に気軽に応じて、その日のうちに即乗ったのだ。
後で聞くと日本でも一、二を争う国立大学の三年生だった。
度胸もよく、「いろいろ経験したいので遠慮なく指示してくれるように。」というので、
例の監督面接で、そのまま全裸の上に縄で後ろ手に縛られ、
「感じる、感じる。」と叫びながら、男優にバックから責められた。
そのあげく、監督に「皆に見てもらえ。」と命令されて、股間に男の物をいれたまま、
いきなり前向きで両足を抱え上げられ、そのままオフィスのあいさつ回りをさせられた。
彼女は、苦笑いしながら「入っているところを良く見て下さい。」と言わされながら、
製作部内を一回りしたのだ。
すわって書き物をしていた良一の前にも染葉は連れてこられたが、
調度目線の高さにその絶景は来た。
男優の両手で、両方の太ももを広げられるだけ広げられた小柄の染葉の股間には、
男優の極太の男の物が差し込まれていた。
その後染葉は、仕事している女性スタッフの机の上に固定して置いた極太玩具にまたがって、
スクワット騎乗位で腰を上下しながら思い切りよく果てたのだ。
女性スタッフは、カメラのために少し椅子をずらしたが、それっきり固まって、
染葉が果てるまで目を点にしたままそらすことができ無かった。
これがそのままデビュー作となった。
染葉は身体が小柄で顔も幼く見えたが、目が大きくて可愛かった。
前にも言ったが、AV業界では十八歳未満は女優として使えない。
幼女の代わりになる染葉は、貴重なロリータ女優として、作品作りに重宝されたのだ。
お下げ髪で下半身丸出しの染葉のランドセルを担いだままの騎乗位姿は、
リアルすぎて伝説となった。
その染葉が良一の本で、ナナとレズ物で競演した。
年下のナナが姉役で、染葉が妹で、
全てナナがリードして中学生役の染葉にレズのイロハを教えるストーリーだった。
ところが、染葉はその撮影で、年下の同姓に子供のように扱われながら、
言葉で目いっぱい辱められ、大また開きのあられもない格好で縛られ、
太い玩具で散々股間を責めたてられて「シビレテ」、しまったのだ。
ナナが攻め上手なのは、「自分ならこう責められたい」を、実現するからだ。
それで染葉は、ナナのことを「姉貴、姉貴」と呼ぶ。
ナナは年上に姉貴と呼ばれて嫌がったが、実際外で食事や買い物などすると、
そのほうがどう見ても自然に見える、二人だった。
良一が別の仕事のときは、始終一緒に出かけ、年上の染葉が、いつもナナを立てていた。
「業界の先輩である。」、が言い分だった。
染葉はけして同性愛者ではないが、
どうも年下の同姓に責められるシュチエーションに思い切り感ずるところがあったらしく、
その後も良一にその手の脚本をせがんだ。
良一も、それで数本稼いだ。
それでも足りずに、たまにそれが目的でマンションに顔を出し、
プライベートにそれをせがんでナナをこまらした。
ナナのもつ性癖からすると、本来自分も責められたいほうの口だから、
染葉の相手は本意ではない。
もっとも、ナナが根負けして相手をするのを傍らで見ている良一は、
それを次の脚本の参考にしたのだが・・・。
一時期染葉はかなりのお邪魔虫だったが、その外見と違い、
さすが国立大の現役というところも大いにあった。
知らない間に、出版書店の依頼で仏語の童話を翻訳して、
「これ子供向きに訳したけれど、原書はもっとスケベな話。」などといって、
良一やナナを驚かしたりした。
小川染葉の実家は、九州福岡の旧家で元を正せば庄屋の家柄だった。
大正生まれの祖父がまだ現役で十数か所の貸ビルを所有する資産家だ。
父は、その不動産の管理会社の専務をしていて、堅実に暮らしている。
専務といっても祖父は年だから、実質父が社長の仕事をしていた。
小さいときから大事に育てられ、家庭教師も付きっ切りで、国大入試の基礎など、
中学の終わり頃には出来ていた。
さして苦労もせず、国大に合格したのだ。
地元には医師で、今インターンをしている「許婚者(いいなずけ)」もいるという。
およそAX女優には縁がなさそうなプロフィールなのだが、
本人に言わせると「社会勉強」だという。
「許婚者」も知っていて、染葉のAX出演を面白がっているそうだ。
彼いわく、「東京にいる間にいろいろ経験して来い。」とか「地元に帰ったら何も出来なくなる。」、
そして「東京で特定な男を作られるより、AVに出たほうがまだましだ。」と言っているそうだ。
ずいぶん裁けた男だと思ったら、本人も三年前まで東京で学生生活を送っていて、
散々遊んだので、言えた義理ではないのだ。
それが振るっていて、二、三ヶ月に一度飛行機で会いに上京するのだが、
染葉のマンションに着くやすぐに、出演作を見たがって、「早く出せ」と、せかすのだ。
どうせ、の事なら、この状況を前向きに楽しもうと、酒でも飲みながら二人で、
染葉出演のAXを見てあれこれと話をする。
画面の中で染葉が、嫌らしい事をしていればいるほど、許婚者は喜ぶ。
後はお決まりの合体となる。
それで二人は遠くにいても、結構うまくいっている。
彼の東京土産はそのビデオだそうだ。
それが前回来たとき、ナナとの競演のビデオを見て、その染葉の今までにない感じっぷり、
いきっぷりに感動して「これを実際に近くで見たい。」と言い出した。
さすが医者の卵と褒めるべきか、それに応じようとする染葉の根性を褒めるべきか。
その気になった染葉が、良一とナナに協力を求めてきたのだ。
もっとも、良一とナナには、それにとやかく言う気もないし、言えるわけもない。
「ね、お願い。」と、親しい染葉に懇願されると、いやでも引き受けざるを得ない。
彼の上京に合わせて、その願いを叶えることにした。
田崎に頼んで、個人的にSM撮影スタジオを一日借りた。
結構な使用料金だが、染葉たち二人は、金には困ってはいない。
楽しみに使える金はいくらでもある。
染葉は期待十分で、楽しそうに計画段階から「あれこれ」と注文を付けた。
それで本格的に縛り物で、ナナが攻めることにしたのだ。
スタジオならセットも揃っている。
この日、良一たちは初めて染葉の許婚者を見たのだが、想像に反して背が高く、
スッキリした二枚目の優男だった。
会う前は、その依頼内容から脂ぎった感じを想像していたが、
青白きインテリと表現するべき風貌だった。
彼は、染葉が受けてくれたので、この一ヶ月の間は楽しみで、
福岡にいる間、折に触れてそのことを思い出すたび「ワクワクした。」と正直だった。
それこそ、今日の来るのを指折り数えて、いたらしかった。
お膳立てをして、良一がその場を遠慮しょうとすると「一緒にお願いします。
どうせ仕事でいつも染葉のしていることを見ているのでしょう。」と、引き止められた。
それで良一もその場で手伝うことになった。
結局、見よう、見まねで染葉を裸にし、大また開きに縛りあげたのは良一だ。
染葉は全裸にされ、縛り上げられて自由が利かない格好のまま、
まずナナに股間を指で攻められた。
ナナの指が花弁に触れたとたんから、染葉の口から「あぁー。」と
あえぎ声が漏れ始めて、そのあえぎ声は、この日最後の最後まで止まることは無かった。
そして、許婚者の名を呼ばされ「染葉の恥ずかしい格好を見て下さい。」と、
言わされていた。
その後染葉は、玩具や長物の野菜果物を抜き差しされながら、
ローターで股間を散々攻められて、
許婚者の前で「いく、いく。」と言いながら何度も果てた。
おそらく染葉にとって、究極の「見られる興奮」で、あっただろう。
その様子を、許婚者は持参のカメラで黙々と撮っていた。
顔にこそ出さなかったが、許婚者の股間は、スラックスの上からでもそれと判るほど、
大きく膨らんでいた。
やがて染葉は、これ以上出ないと思われるわめき声とともに悶絶して、
極太の玩具を股間に咥えたまま気を失った。
一呼吸しても染葉が、気を失ったままなので、染葉の縄を良一が解こうとすると、
彼は、「こんどは自分が攻める。」と良一を静止して、カメラを良一に渡し、
染葉の股間の玩具を手にとると、激しく抜き差しを始めた。
続きは良一に撮ってくれということだ。
突然始った第二波の攻撃に、染葉は驚いたように気が付いたが、相手が彼と知って、
名を呼びながら腰を振って、また果てた。
許婚者が、実際のAX撮影でも中々やらないほど、
必要に染葉の股間を責めながら「オ**コ気持ちいい。」と、
言わせたため、染葉は錯乱したように、あえぎと言葉を繰り返していた。
相当感じて、許婚者が責め終わっても、しばらく染葉は立ちあがることが出来無かった。
へたり込んで動けない染葉を、抱き上げてシャワー室に連れて行ったのは、許婚者の彼だった。
シャワーから上がっても、染葉の息が整うには、一時間ほどかかった。
やっと精気が戻った染葉は、「みんなの前で、よくもやってくれたな。」と、
染葉は、許婚者の股間をおもいきり指ではじいた。
彼は股間を押さえて飛び上がったが、顔はうれしそうだった。
終わったあと、四人で食事をした。
許婚者の医者の卵が東京での行きつけにしているしゃれた和食の店で、一番奥の座敷の一室だった。
染葉は「この人、本当に悪趣味でしょ。」と照れていたが、彼は「人には裏も表もある。
一緒になる前に互いに知っているに越したことはない。」と、主張した。
今も許婚者の希望で、染葉は下着を付けてはいない。
それでいて、わざと小学生並みの短いスカートを着せている。
ひざを少し崩せばアンダーヘアーも、「さあ見てくれ」とばかり、諸出しだ。
しまいには、「景色が良いから。」と、食事が終わるまでひざを立てさせ、
足を開くように命じたりした。
染葉の股間の花弁は恐る恐る開いて、ピンク色の口元が、
向かえに座る許婚者と良一の席からは良く見えた。
ナナが面白がって「それならこうしてやる。」と、悪ふざけで先ほどの極太玩具を取り出し、
横からかがみ込んで染葉の股間に差し込むと、
許婚者はすかさず「益々景色が良くなってうれしいだろう。」と言って、喜んだ。
ナナは徹して、攻め役に回っていた。
染葉はナナのなすままに、させていた。
今日は自分がオモチャになる日だ。
許婚者は、今日は徹して楽しむつもりで、わざわざ上京してきた。
だから目いっぱいわがままを言う。
染葉もそれに答える。
二人が良ければ、それで良い。
飾らず、本音で上手に付き合う良いカップルだ、と良一は思った。
互いに高学歴、高見識を共有する二人は、
世間の建前など「うそだと見抜いている」かの、ようだった。
うまい海鮮料理と酒、染葉の絶景で、二時間ほど話の花が咲いた。
染葉はその間、玩具を受け入れたままの股間をけして閉じなかった。
彼は言う「僕は目の前にいるのが染葉だから興奮する、別の女ではああした思いは、
たいして感じないだろう。」と。
良一は、それが普通だと思う。
「愛するが、ゆえ」の、非日常の興奮は大抵の男にあるらしい。
今日は気持ちが高ぶっているので、これから帰って「染葉のマンションで一戦交えるつもりだ」と、
彼はうれしそうに言った。
別れ際「おかげで、今日のことは、一生の思い出になる。」と満足そうに感謝していた。
やさしげな町明かりが、夜のとばりの中を、
幸せそうに寄り添い立ち去る二人を、そっと包んでいた。
(染葉の社会勉強)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔話〕(染葉の社会勉強)◆◇◆◇◆◇◆◇◆ |
染葉は、裕福な家庭で何不自由なく育った。
習い事も人並みにした。
クラシックピアノと日舞は得意だ。
堅実な父は、この不況でも資産を減らさずにがんばっている。
物心つく頃から、既に許婚者(いいなずけ)はいた。
祖父の命の恩人でもある戦友の、直系の孫にあたる許婚者は、
近くでベット数が百床ほどの少し大きな個人病院の御曹司であった。
こちらもかなりの財閥だった。
江戸初期からの代々医者の家柄で、代々続く庄屋の家柄の染葉の祖父とは、
生まれ付いての幼馴染だった。
許婚者の祖父が、軍医長(少佐)で同じ連隊にいたために、「何かと」かばってもらい、
危険な戦闘には借り出されなくて済んだので、いまだに感謝している。
軍医長は亡くなったが、孫を嫁がせる約束は、祖父がかたくなに守っている。
まあ、互いにつりあいの取れた似合いの許婚者同士だった。
早くから互いの家を行き来していて、
ほとんどどちらも自分の家みたいに何の遠慮も無しに使って育った。
互いにそばに居て当たり前で、別かれることなど考えられなかった。
染葉は、生まれてから一度も他の男のことを気にしたことはない。
恋愛の対象は、許婚者だけだった。
染葉の許婚者は、七歳年上だったから許婚者十五歳の思春期のころ、染葉はまだ七歳で、
まったくの幼女だった。
それでも、許婚者の部屋のベットの下に隠してあるヌード雑誌の存在は知っていた。
それを見ながら、許婚者が密かに自分を慰めているのを盗み見て、
不思議に思ったりもしたものだ。
頭の良い家系らしく、許婚者が十八歳になると、彼は一発で東京の国立大学の医学部に合格した。
許婚者が東京に立つとき、染葉はまだ十一歳で、小学六年生だった。
許婚者がいよいよ「明日東京にたつ」と言う日、染葉は二人で隠れ家にしていた蔵の中に誘った。
ちょうど染葉は、下半身の一部に髪の毛が芽生えてきたばかりで、「なんだろう。」と、
許婚者に見せて相談すると、「大人になると皆はえてくるよ。」と、
許婚者の、立派に生えそろった下半身を見せられた。
今思うと、そのときの許婚者の男性は立派にそそり立っていた。
大好きなお兄ちゃんにこれからは、あまり会えなくなると聞いて
「いつもお兄ちゃんがしていることをやってあげる。」と、
小さな手で許婚者の男性を懸命にしごいたのが、
染葉が男の物に触れた最初だった。
しばらくがんばると、許婚者の男性は染葉の手の中で小さく震えて、
白いのりのような液体を噴出した。
染葉があわててハンカチーフでふき取ると、硬かったそれは、
都合よく小さくなってパンツの中に納まったのだ。
それは今でも、鮮明に覚えている。
染葉が中学生になると、もう周りの同級生なども異性やセックスの話でもちきりで、
いろいろと情報が入る。
その手の本も回し読みだ。
早い娘だと、体験も結構進んでいる。
思春期になると、身体が要求し始めるのだ。
決まった相手がいるというだけで、どこまで経験したかと目を輝かして聞いてくる。
それで、許婚者が夏休みなどで帰省すると、染葉は「待ってました。」と、
溜まっている知識をいろいろトライする。
許婚者の男の物を自ら進んで、始めて口にしたのもこの頃のことだ。
口のなかで、むくむくと堅く大きくなる男性に、
染葉はなぜかうれしさがこみ上げてきたのを覚えている。
それを唇で一生懸命しごくと、生暖かく青臭いものが、口の中で広がった。
男性を口にさせたまま、許婚者はこれ以上無いと思われるほど満足そうな顔をして、
しばらく染葉の頭をなでていた。
その顔を見て、染葉は許婚者に性的に尽くす喜びを知った。
夏休みに許婚者が帰ってくると、二人で良く病院に忍び込んだ。
夏は病院も開放的な雰囲気が強く、医者とナースなどの密会も苦も無く覗けた。
許婚者は、いつの頃からかそれを知っていて、
中高生の頃は悪友を誘ってよく覗きに行っていたそうだ。
以前は染葉の四歳年上の長兄も、たびたびお世話になった口だった。
死角になる器具置き場や、当直用のベットはその穴場だった。
医者やナースは比較的SE]には解放的だ、不倫の密会でも、やることは大胆だった。
その絡みの現場を見ながら、興奮した許婚者は染葉に、自分の男を口にさせた。
それに染葉は、精一杯答えた。
唇の使いかたも、舌の使いかたも、上手になった。
彼の発射したときの幸せそうな顔が、見たかったからだ。
許婚者は明るいところで、染葉を裸にして眺め回すのも好きだった。
顔は幼く身体も小ぶりだが、許婚者に揉まれて胸はしっかり育っていた。
彼はいつも眺めては撫で回して、染葉の身体の成長を確かめていた。
それでも飽き足らず、仕舞いには電動玩具で敏感なところを刺激して、
染葉がこらえ切れずに「いく」のを楽しんでいた。
染葉と許婚者の間柄ではそれが普通で、味を占めた染葉は、
休みで彼が帰省するのをいつも心待ちにしていた。
それが数年続いた。
染葉はいつでも良かったのだが、処女は、高校に上がってから求められた。
許婚者は、医者の卵らしく染葉の身体が充分成長するのを待っていたのだ。
染葉が痛かったのは、ほんの一瞬だった。
後はとても気持ちが良くて、「こんなに良いものか。」と、
自然にもらす自分のあえぎ声に驚いたものだ。
後で考えると、染葉の身体は許婚者によってすっかり開発されていたのだ。
染葉が十七歳になると、許婚者は六年の大学生活を終え、
インターンとして福岡の大学病院に戻ってきた。
双方の親公認だったから、どちらかの家で遠慮無しに、毎日合体した。
夫婦同然の二人に、染葉の友達は異性や性に関して相談した。
染葉が大人に見えたのだ。
医者の許婚者がいることは、友達の間でも鼻が高かった。
母親からは「今は妊娠だけは気をつけろ」と、始終言われた。
それが一年ほど続くと、今度は染葉が東京の国立大に受かった。
それで許婚者から「遊びがてら、社会勉強をして、良い女になってこい。」と言われて
東京に出てきたのだ。
つまり許婚者のために、性の社会勉強をすることも、染葉に課せられた課題なのだ。
だから染葉がAX女優にスカウトされると、
許婚者は、「今のうちに、戻ってきたら出来ないことをたくさん経験しろ」と、
前向きに認めたのだ。
AX女優の染葉は好奇心旺盛で、時には並みでないものを作品に求めた。
他の女優(ひと)のやったことは、あまりしたがらないのが、染葉らしかった。
許婚者も良一に会って以後、時々電話をくれて、
染葉にAXでさせて見たいアィデアをあれこれ言ってくる。
素人なので結構むちゃをいってくる。
それを良一が脚本に起こすのだが、あるとき名作が生まれた。
基本的には、染葉はロリータ女優だからアンダー・ヘアーはそり落としている。
実は彼女のヘアーは小さい身体に似ず、かなりの剛毛である。
いつもは股間を。メイクがつるつるに剃って撮影に望むのだ。
染葉にアナルSE]の企画が持ち上がったとき、
「人と違うことがしたい」と言うので、良一は許婚者のアィデアを盛り込んでみた。
染葉は幼い頃からピアノを習っていて、かなりできる。
それでピアノ絡みのストーリーにして、
染葉にクラシック演奏させながら性的に責めて見ることにしたのだ。
短いスカートのセイラー服にノーパンの染葉は、
アナル開発の最初のカットからピアノ演奏しながらの浣腸、異物挿入、電動玩具、
とこなしていった。
スカートを脱がされ下半身丸出しでピアノの前で中腰になり、
まともなバックからの激しい性行為中にも、途切れ途切れながら演奏を続けて見せた。
染葉初体験のアナルSE]のカットは、なかなか圧巻であった。
先ず男優をピアノの奏者の位置に座らせ、全裸の染葉が口で元気づける。
充分そそり立ったら、その上にまたがってアナルに男の物をおさめる。
両足を男優の両膝にかけて大きく股間を開き、
つるつるに剃った丘と割れ目をカメラにさらしてスクワットしながら、演奏したのだ。
その腰の上下は、曲に合わせて、時に早く、時にゆっくりと猥褻なリズムを刻んだ。
染葉が並以上に小柄であったので、それを可能にしていた。
そのアナルに出入りする男の物の様子を、前方からのCCDカメラと、
透明イスの後ろからのカメラで撮った。
染葉の指からはじき出されるクラシックの名曲とのコントラストは、見事と言えた。
やがて曲を奏でる手が止まり、「ガーン。」という音とともに、
染葉はアナルを貫かれたまま果てたのだ。
もちろん業界初の快挙だが、もう一つ目玉を作った。
名づけて、「双穴駅弁SE]」である。
駅弁状態に男の物に貫かれた染葉の後ろからもう一人の男優がアナルにも入れる。
染葉は向かい合わせの男優の肩に両手でつかまり、
男同士が組んだ手のひらに足を乗せて腰を浮かす。
同時に二人の男の物を入れたまま、後ろの男優に両手で腰を支えてもらいながら、
みこしに乗るように腰を上下するのだ。
横から見ると、向かい合わせに腹を合わせた男たちの騎馬に、
染葉が裸でまたがっている風に見えた。
それでも横斜め下からのカメラでは、何が起きているかはよく見えていた。
二本の男性が染葉の双穴を貫いて、雄雄しく出入りしていたのだ。
それが三十分に及んだ。
五分ほどで切り上げるつもりが、染葉がせがんで止めないのだ。
染葉は大いに感じて、切れ目なく腰を上下し続けたが、
やがて断末魔の声を上げて騎乗のまま果てたのである。
染葉が小柄だけに、強烈な印象の作品に仕上がった。
撮り終えてすぐの感想は「メチャ良かった。」である。
これは売れに売れた。
新たらしい試みで、他に似たような作品がなかったからだ。
染葉は良一の脚本のアィデアの出どこを知っていて、
「あいつ、ろくなことを考えない。」と、言っていた。
しかし、そのあいつ(許婚者)に見せるために、しっかり一本持ち帰りをせがんでいた。
染葉は、いい女なのだ。
(染葉と博多祇園山笠)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔話〕(染葉と博多祇園山笠)◆◇◆◇◆◇◆◇◆ |
染葉の生まれた博多には、男衆が燃える祭りがある。
博多祇園山笠である。
櫛田神社に奉納する山笠は、勇壮を極め、全国から見物客が訪れる。
七月一日の飾り山公開に始まり、十五日のクライマックス「追い山笠」まで、
約二週間、博多は祭りムードに包まれる。
染葉の町内も、流れ(山笠を出す町内)のひとつで、幼い頃から親しんできた。
フンドシ姿の男衆の尻は、それを見る女衆にとってたまらない色気である。
この「追い山笠」の日前後四日は、染葉は絶対に仕事のスケジュールを開ける。
博多に帰って、許婚者(いいなずけ)に会うためだ。
許婚者は、国に帰って来て以来の、「***流れ」の熱心なメンバーである。
代々博多に住むものなら当たり前だ。
秀才肌で、目だって体力があるわけではないが、
それでも、毎年長いことある練習にも欠かさず参加して、持久力を養う。
なにしろ、追い山笠の当日は九十万人の観客の見守る中、約五キロの工程を、
山笠もろとも疾走するのだ。
そのあと、染葉と一戦するのが、ここ三年ほど暗黙の了解ごとになっている。
互いに、追い山の興奮冷めやらぬうちの性行為は燃えに燃える。
今年は、許婚者が少し変わった嗜好を、用意していた。
学生時代同級生だった和歌山の開業医を、博多に招待していたのだ。
「一度自慢の彼女をみせろ。」と言われて、許婚者の頭にふと染葉の痴態が浮かび、
「よーし、それなら、いい女ぶりをとことん見せてやろう。」と、思いついたのだ。
だから今年の追い山笠は、染葉にも気合を入れるように電話で言ってきていた。
詳しいことは何も言わないが、追い山笠の夜に「友達を呼んであるから気合を入れろ。」で、
染葉には充分意図は通じた。
しかしその計画は、同級生に言っていない。
本人は紹介されるだけだと思っている。
そこらが、許婚者の演出である。
博多空港着で、誤差三十分ほどの便にあわせて、その同級生と、染葉は、到着した。
空港ロビーの待ち合わせ場所には、許婚者が待っていた。
先に着いたのは染葉で、十分と違わずゲストの同級生も現れた。
挨拶もそこそこに、染葉家のゲストハウスに案内した。
資産家の染葉の家では、博多郊外に数棟のゲストハウスを持っている。
そのうちの一棟は、祇園祭のときは染葉たちカップルのために空けてある。
許婚者は山笠で忙しいので、追い山笠当日を含め、二日ほどは染葉が博多の街を案内をした。
ゲストの彼も、追い山笠のすごい迫力には感動したらしいが、
染葉たちにはこれからがメインイベントである。
許婚者が「追い山笠姿のまま」祭りから帰ってくると、全身汗まみれである。
「遠方から来客があるから。」と、反省会を抜けてきたのだ。
染葉たち見物側も汗と埃りまみれである。
順番にシャワーを使い、バスローブでくつろぐと、洋風のリビングで酒盛りが始った。
程よく酔ったところで、「チョットした嗜好があるから。」と、染葉たちが席を立つ。
五分もすると、許婚者がリビングと和室の境のふすまを広げた。
ゲストは、和室の中に目をやって驚いた。
染葉が全裸にされたままで、天井から縄で畳みまで七十センチくらいの高さに
うつぶせ状態で吊り下げられていた。
吊るし方が中々のものである。
後ろ手で縛ってうつぶせに畳みと平衡になるように胸と胴で大目の縄で支え、
足二本は上に折り曲げて足首を縛って各々天井に引き、正面から見ると逆さMの字、
後ろから見ると股間は目いっぱい開いて見える。
まるで、かえるが水面を前に進んでいるときのような格好で、
吊るされた方はまったく無防備に成る。
染葉のくさむらに守られた花弁も、やや開き気味に見て取れる。
これは許婚者が、良一や田崎から教わった中で、一番気に入った格好である。
吊るしたまま、男がやりたいことが何でもできる。
ゲストは唖然としていたが、染葉は吊るされながらも、
「**さん、早く見に来てください。」と声をかけた。
「お前、一度見せろと言っていたから、今夜はとことん見せてやるから。」と、
許婚者はゲストに継げた。
ゲストがいぶかしげに「いいのか?」と、念を押すと、「今日は祭りで、無礼講だ。」と、
許婚者はゲストの肩をポンとたたいた。
そして許婚者はグラス片手に「ほらよく見ろよ。」と、ゲストを近くに連れて行ったのだ。
「こいつ、この通り、俺にとって最高の女だ。」許婚者は、
染葉の開き切った股間の唇を二本の指で広げながら、自慢げに言った。
許婚者は見せることを、染葉は見られることを、楽しんでいた。
「こう言う時は、ご褒美に気持ちよくするのが、俺達のきまりだ。」
許婚者は、そう言って吊るされている染葉に「なあ。」と同意を求めた。
「はい、気持ち良くして下さい。」
苦しい体制で顔を上げ、ゲストを見つめながら、染葉は答えた。
まずは、バイブ攻めである。
染葉は、どちらかと言うと、出し入れが好きである。
勢い良くバイブを出し入れすると、それだけでイッテシマウ。
それが、こう言う不安定な宙に浮いた状態で、
しかも許婚者の友達に責められるシュチエイションでは、
興奮するのは当たり前で、股間からは、既に期待汁が滴っていた。
「これを入れてみろ。」
「こうか?」
「そう、激しく出し入れして見ろ。」
「いいのか?」
「やってみろ、喜ぶから。」
それでゲストは、染葉の股間に自分が出入りさせているバイブの動きを目で追いながら、
「おぉー猥褻だなあー。」と言った。
染葉は、すぐに感じて、それでもかみ殺したように「うっ、うっ、うっ。」と声を出している。
ひとしきり染葉を攻めさせると、許婚者は言った。
「どうだ、その気があるなら、やってもいいぞ。ただし、俺の見ている前でなら。」
「お前、えげつないなー、ほんとにいいのか?」
「いいさ、承知の上で呼んだのだから。」
「なら遠慮なくやるか。」
「バイブは俺がしているから、先にしゃぶらせてみろ、自慢じゃないが、上手だぞ。」
「それじゃあ、失礼して。」
友人は染葉の前に周り、自分の男の物を突き出した。
染葉はパクリと口に咥え、苦しい体制で首を使った。
舌も使った濃厚なテクニックである。
「おう、こりゃーうまい。たまらないな。」
「良おーし、それじゃー入れてみろ。」
「本当に?・・このままでいいのか?」
「だいじょうぶだ、ちゃんと処置しているから、遠慮なく出せ。」
ゲストが後ろに回り、自分のものを染葉の中に入れると、染葉は「うっ。」と声を出した。
「おぉ、いい具合だ。良くしまる。」
ゲストの腰は、ゆっくりと前後に動き始めた。
ゲストが腰を使い始めると、許婚者が、「今誰に入れてもらっている。」と染葉を責める。
「***さんの***を、入れてもらっています、あぁー。」と答えながら、
染葉が感じまくる。
「お願い、ください。」といいながら、許婚者の男の物をねだると、それを口に咥えた。
染葉の宙に浮いたからが、前と後ろのリズムがあって、前後する。
ゲストが、「こりゃ溜まらん、宙づりの女とやるのは、具合が良すぎる。」
と言いながら果てた。
「とりあえず、降ろしてやるか。」
いくらプロでも、そう長くは吊っては置けない。
降ろして縄を解き、風呂に入れた。
先に上がって男二人で飲みなおしていると、染葉が上がってきたので、
ビールの小瓶を一気飲みさせ、
空いた瓶の細口を染葉に自分で股間に入れさせた。
染葉は、ゲストの男の物を咥えながら、ビール瓶の細口部分を出し入れしている。
男二人は、学生時代の恩師の話題で盛り上がっているが、
染葉はゲストの下半身のサービスに余念が無い。
そう許婚者に、言い付かって居るのだ。
やがて、許婚者に呼ばれ前向きにまたがると、許婚者の男の物が、
染葉の股間にしつかり納まっているのをゲストに見られながら、腰を上下に使った。
「お前の女、本当にいい女だなー。」
ゲストが感心したように言うと、「お前、こういう嫁さんが欲しいなら、
こいつに頼めば紹介してくれるぞ。」と、許婚者は言った。
「本当か、そんな女世の中にそうはいないだろう。」
「馬鹿、いい加減な妥協は返って不幸な人生を送ることになる。人生楽しまなきゃー。」
「そりゃそうだが。」
ゲストは、許婚者の提案を中々信じなかった。
都合の良い話など、転がっているわけが無い。
「いいから任せろ、その代わりたまには、四人で楽しもうぜ。」
「それが出来りゃー、人生最高だぜ。」
「よーしおい染葉、いい女を誰か紹介しろ。」
「聞いてみるーうーあぁ。」
腰を上下に使いながら染葉は答えたが、もう感じまくって、息も絶え絶えだった。
この話は、後で実現する。
染葉が、AX女優の北美川志津子を紹介したのだ。
知っての通り、志津子の別の仕事は老人介護である。
ゲストの親元も、それで承知した。
内緒の話だが、この紹介話、最初から飛んでいる。
非公式の見合いを、福岡のゲストハウスでした。
いきなり、全裸にした志津子の鑑賞会からスタートしたのだ。
ゲストは、志津子の性格と美貌に最初から乗り気で、決局乱交の最中に、
性行為をしながらプロポーズをした。
その後も、時たま四人で人生を楽しんでいる。
【この章 終了】
(女流AX監督)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔話〕(女流AX監督)◆◇◆◇◆◇◆◇◆ |
スター・コンテンツには、AX業界には数少ない女流の監督がいる。
監督といってもまだ若く、当年とって二十六歳になる。
入社して二年ほどはADをしていたのだが、傍目にも度胸が良いのが社長の目に留まり、
「女の感性でAXを撮ってみろ。」と言われて監督業を始めた。
彼女は色白で彫が深く、
美しかったのでAD時代からス撮影タッフとしての絵が必要なときはよく映像に使われていた。
本人も苦にしなかったので、仕舞いには、女優の真似事こそしなかったが、
攻め役は引受けていた。
それはある意味男優の攻めよりきつく、手加減はしなかった。
それが認められたのだ。
彼女が日本人離れした色白で彫が深い顔なのには、相応の訳がある。
彼女はクオウターで、四分の一ロシア系の血が流れていた。
しかしそのルーツはあまり清々と人に言えるものではなかった。
はなしは、彼女の祖母のことに遡る。
彼女の祖母は満州からの引揚者で、終戦のとき二十二歳だった。
今の中国東北部の、ソ連国境近くの開拓団に、
岡山から写真だけの見合いで事前に顔も見ずに嫁に行ったのだが、
嫁に行ってすぐに夫を現地召集で兵隊にとられて、夫婦の子をなす間も無く終戦を迎えたのだ。
その終戦の少し前、ソ連が条約を破って国境を越え、参戦してきた。
祖母のいた開拓団も、それこそ着の身着のままでソ連軍から逃れようとしたのだが、
女、子供、老人がほとんどで、若くて残っていた男は、病人か怪我人ばかりだった。
その病人も逃げる途中でソ連軍に包囲されたとき、男は皆殺にされた。
それだけでも恐ろしいのに、さらに難題が起こった。
彼らソ連軍は、祖母の難民仲間が女、子供だけになると、
取り囲んで欲望のはけ口を求めたのだ。
断れば皆殺しに殺される。
子供だけでも助けたい。
まだ年端も行かない娘たちも、きっと欲望の対象になる。
祖母はその子たちを守るために、代わりに「自分達が相手をする」と手振りで交渉した。
話が通じないので、祖母は咄嗟に「もんぺ」の紐を解き、
相手の将校に自らの下半身を露出して見せた。
数人の若妻が、それに習って、「もんぺ」を下ろした。
ようやく話を付けると、言い出した責任から志願してわが身を投げ出したのだ。
十数人の若妻が、同様にそれにあたった。
祖母も、毎日将校に始まり、最終の一兵卒まで何人の相手をさせられたことか。
相手は大勢で夜昼かまわず、股間の休まる時はなかった。
六帖ほどの狭い部屋に、三人の若妻が「もんぺ」を履くことも許されず、
下半身丸出しのまま、欲望のはけ口を求めて訪れるソ連兵を抗いもせず受け入れ続けたのだ。
そうした部屋が、六部屋ほどあった。
三時間ほどの仮眠時間を与えられたが、誰も「もんぺ」などはく気力もなく、
洗面器の水で股間を洗うと、丸出しのままで泥のように眠った。
それでも、毎朝そのときが始まると、最初の二・三人の相手までは、
誰でも身体が感じていたようで、自分も隣の若妻たちも、それなりに善がり声を上げて、
いつの間にか腰も使っていた。
このおいしいところが、将校の時間だ。
そのあとが、果てしない。
「恥ずかしい」などと言っている状況には無く、ただただ体を休ませたいだけだった。
戦争と言う異常な状態がそうしたことをさせるのだが、ロシア人も人の子で、
一週間も陵辱を続けるとさすがに人情も通い合う。
自分達の移動が決まると、哀れに思ったのか、食料をもたせて開放してくれた。
女、子供だけの逃避行は、最後は女の武器で仲間を守るしかない。
しかし祖母は体調を崩してしまった。
体力が、激しいソ連兵相手で消耗され、傍目でもそれと判るほど衰えていた。
食料も満足に無いとき、開拓団の産婆をしていた女性に指摘されて、妊娠を知った。
祖母は目の前が暗くなるのを覚えた。
心当たりはあのソ連兵たちだけだった。
とても産めない。
産婆に始末を頼んだのだが、母体の体力の無さを心配して断られてしまった。
昼間は危険なので、夜、暗がりの中を、音を気使いながら、一同這うように移動した。
荒涼とした大地の、わずかな起伏に身を隠しながらの、逃避行である。
それが、運とはどこにあるか解らないもので、
途中で出会った退却中の国境警備部隊の敗残兵の中に、
出兵で離れていた夫の姿を見かけたのだ。
祖母は驚いて身を隠そうとしたが、開拓団の仲間は頼りになる男手を放すはずも無く、
夫は、乞われて団のリーダーとして引き上げの仲間に加わった。
写真見合いと言う大して愛を確かめた訳でもない夫だが、産婆からいきさつを聞くと、
意外なことに、皆のために「よくやった。」と、手を握って泣いてくれた。
自分達も、負けず劣らずの敗走を生き延びて来たのだ。
誰が妻のことを責められようか。
おなかの子は、「二人で育てよう。」とも言ってくれた。
生まれてきたのが、女流監督の母だった。
名を望(のぞみ)といった。
帰国して判ったのだが、祖父は満州国境の戦闘か、その後の敗走かで、
二度高熱に倒れた時、子種を造る能力を失っていた。
それで望が唯一の二人の子になったのだ。
望は大事に育てられたが、世間の目は冷たかった。
望は第一次ベビイブーマーの団塊の世代より少し早い昭和二十一年の生まれだが、
まだいろいろ混乱していたので、戸籍上は二十二年の夏になっていた。
小さい頃は、近所の年頃の似た子達とは、よく遊んだ。
しかし風貌が違いすぎた。
成長するにつれて、とても日本人には見えない。
祖母夫婦が満州帰りなのを知る近所の人達は、こういう悲劇談はめずらしく無い時代なので、
今では「差別用語」だとは思うが、影で「露助の子」と呼んでいた。
回りの子たちも自分達と違う望を、次第に遊び仲間から遠ざけて行った。
だから望は、孤独な少女時代を送った。
望が中学生になる頃、戦後復興が軌道に乗ると共に、回りの環境が急に変わった。
スポーツや芸能界は勿論、あらゆるところで混血が能力を発揮し始め、世間も、
もてはやし始めたのだ。
それで望にも目が付けられ、雑誌モデルをかわきりに、芸能界に入って行った。
長身で顔やスタイルも良かったので、さして芸はなかったが、そこ、そこに売れた。
名が売れてくると、回り近所は、手のひらを返したように愛想が良くなったが、
望の心は、癒えなかった。
その頃に知り合ったある有名な役者一族の御曹司と、望みは恋に落ちた。
子供までもうけたのだが、相手の親の反対でそのまま未婚の母となった。
そのとき出来たのが、女流監督だったのだ。
表立って親子の名乗りはしてないが、今では父親は大看板のスターになっている。
その後、望は、まだ幼かった女流監督を祖母にあずけて、結婚したのだ。
女流監督は祖母に育てられたのだが、思春期になると、自分の風貌に疑問を抱き、
質濃くせがんで祖母の生きる戦いを聞いたのだ。
それで自分のルーツを承知していた。
父方の役者の血筋が騒ぐのか、彼女は仕事好きだった。
女流監督はいま、消費者(ユーザー)参加型の作品に力を入れている。
ファンが女優にさせたいことをリクエストさせて、それを実現させる企画や、
希望するファンに女優と共演させて、夢をかなえる企画だ。
ナナもファンに感謝すると言う企画で、
希望者千数百名の中から五十名を選んで次々に「行かせてあげる」と言う作品に出た事がある。
相手が素人だけに、これは大変だった。
全てナナのほうが気を利かしてリードしなければならない。
たまには元気いっぱいの素人もいて、ナナのほうが圧倒されることもあるが、
大抵は緊張で中々元気に至らず、手を焼くことのほうが多い。
女流監督もそのあたりは心得ていて、司会進行をかねて助人の男優を用意する。
全裸のナナと馬鹿でかいマットが主役だ。
馬鹿でかいマットの回りを参加者が取り囲み、息を殺してナナたちを見守る。
ナナは今全裸でマットの上に、軽くひざを立てて足を開いて横たわっている。
そのナナの股間に顔をうずめて、ナナのくさむらを両手で左右によけながら、
男優が花弁に舌を這わせている。
既にナナの口からは、漏れるように小さな喘ぎが聞こえて、腰が浮きかけていた。
そこが充分に水気を帯びると、男優は右手の指を二本差し込み、
抜き差ししながらなおも花弁の上の敏感な部分に舌の刺激を加えて、攻め立てる。
ナナの腰は浮き上がり「あぁー」と声を発して、
股間に抜き差しされる二本の指の間から、大量の液体がほとばしり出た。
それでナナは一回目の「いく」に達した。
ダウンしたナナは、休むまもなく男優に足を抱えられ、男優の男の物を差し込まれて、
腰を使い始める。
これからが本格的な戦いなのだ。
それは十五分に及ぶ激戦だった。
ナナ得意の受け腰使いが炸裂し、攻防は続くが、男優の堪え切れない発射で、
戦いは終わりを告げるのだ。
ナナの股間からは、白いものが流れ落ちる。
ナナは全て中出しで受け入れて、外に出す不自然さを嫌う。
その後、参加者との交流が始まる。
先ほどの余韻を残してナナが取り囲まれる。
先ずは参加者全員で、ナナにローション攻めを行う。
ヌルヌルの手百本が、同時に無遠慮にナナの身体をまさぐる。
両胸は揉みしだかれ、首筋やわき腹、内太ももから尻、いたるところに手が伸びてくる。
数が多いので、入り乱れて、ちゃっかり股間にもアナルにも指がもぐりこんでいる手もある。
ポジションが悪くてはじき出され、ナナの身体に届かない手もある。
このローション攻めを長くこらえることが出来る女優はいない。
早くて五分、がんばっても七・八分とは持たない。
ナナの受けた刺激も強烈で、四肢を痙攣させながら感じていたが、
なにせ百本の手があるため、何本かは押さえつけにまわって、
まったく身動きが出来ないまま、責められ放題に攻められて、失神して果てたのだ。
気がついたナナは「これ、強烈。」と言って、苦笑いしていた。
それでも終わった後の何も無かったようなナナのすがすがしさは変わらない。
休む間もなく五十人斬りに入った。
ナナはファンの男の物を次々に股間に迎え入れるのだが、
元気付ける口と迎え入れる股間の流れ作業をこなしていかないと、
流れが止まって絵にならないので、股間に受け入れたら次の人は口と、
どちらも大車輪で、首の振りも受け腰も二人同時の見事な動きで相手を「いかせ」続けた。
しかし、何せ相手が多い。
さすがのナナも三時間を過ぎて残り十人ほどになった頃には首の振りもきつくなり、
ADに横から氷で首を冷やしてもらいながらの奮戦となった。
腰も立たないのか動きも止まり、ただ相手に抜き差しされるに任せて、
ようやくゴールを迎えた。
ナナは淫乱な自分を、目いっぱい罰してもらったのだ。
さすがのナナも腰を痛めて、今回だけは数日間は撮影を休養するほど強烈だった。
女流監督のこの企画は、女優仲間では密かに「地獄の特訓」と恐れられ、
進んで引受ける娘は少ない。
最近ではナナの他に染葉が挑戦した。
さすがの染葉も最後近くには完全KOされて、マットの上で伸びてしまった。
それでも妥協を許さず、女流監督はかまわず撮影を続けて、
最後の一人の発射まで取り終えたのだ。
ダウンした染葉が、ぐったりしたままそれでもなお数人に犯され続けたのが、
AX的には大好評であった。
この企画の原点には、監督の祖母の戦時体験、つまり監督自身のルーツがあり、
思い入れもひとしおで、妥協などなかった。
ところが、中々受ける女優がいない。
それで頭を悩ましていた時、別の企画の消費者リクエストのほうで、
ファン感謝「いかせてあげる」に、つまり地獄の特訓に、
「女流監督自身を出せ。」と言うリクエストが、多数寄せられた。
その声は日増しに強くなり、
仕舞いには「他人にばかりにさせて、自分はなんだ。」という非の手紙やメールまで来始めて、
彼女は益々追い詰められていった。
(女流監督の裸の冒険)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔話〕(女流監督の裸の冒険)◆◇◆◇◆◇◆◇◆ |
女流監督はユーザーリクエストの声に精神的に追い詰められて、
祖母の極限の逃避行における身を捨てる」決断の心に触れた。
容姿には問題は無い。
自分でも被写体として自身はある。
後は覚悟だけだった。
一月ほど悩んだが、気持ちが定まらない。
AX監督をしていながら、世間並みの常識にとらわれていたのだ。
それで、製作部長に相談すると、役員室に呼ばれた。
彼女が役員室に行くと、部長はいきなり下半身につけている衣類を全て取るように命じた。
彼女が疑問に思いながらも、それに従うと、部長は後ろに回り、
黙って男の物をあてがい、彼女の中へ入ってきたのだ。
部長が抜き差ししている間、彼女は、自分の運命が決まったことを知った。
これはやれと言うことなのだ。
彼女は部長のほとばしるものを口で受け止め、あともきれいに口でぬぐって、部屋を辞した。
何も言わなかったが、彼女の行動が、充分部長への返事になっていた。
女流監督が自ら「地獄の特訓」に、出るらしいと、社内に噂が流れると、
染葉が前回の敵討ちを買って出て、勝手に企画のほうが先に固まった。
会社のほうには異論はない。
それどころか、相当話題作になること間違いなく、必ず稼げるのだ。
製作部長などは、染葉を影であおったらしかった。
包囲網は、完全に出来ていた。
それでついに女流監督は、自分のルーツを自分の身体で体験する決意をしたのだった。
実は彼女は、部長に役員室に呼ばれるまで、人前で裸すらさらしたことなど無い。
それがいきなり地獄の特訓の撮影である。
これは見ものであったが、関係者による「当日即初体験」の究極の期待は消えた。
本人がいきなりのAX出演での失敗を心配して、覚悟を決めるために、
自らに特訓を課したのである。
ここまで来て万一逃げ出したら、女流監督としてのプライドが保てない。
企画決定の翌日、出社してきた同僚たちは一様にわが目を疑った。
女流監督が、素足にサンダル履きだけの全裸で仕事をしていたからだ。
女の全裸が珍しくないAXメーカーのオフィスではあるが、いつもとは人が違う。
今まで裸など見せたことの無い、どちらかと言うと日頃プライドの高い同僚である。
それが見事な裸身をさらして、股間の薄黒いかげりさえなびかせるように、
オフィスを、動き回っているのだ。
良一なども「ドッキリ」したほうだ。
いい覚悟だと皆思ったが、よく見ると最初の数時間は、かなり緊張していたらしく、
仲間と視線が合うのを避けていた。
それに彼女の色白の顔は、ほのかに赤みを帯びているのを、仲間は見逃さなかった。
それでもいまさら後に引けない。
彼女は役員室や社長室の打ち合わせでも「トレーニングです。」と、それで通したので、
覚悟の程は、社内に良く伝わった。
運が良いと、エレベーターで裸の彼女と二人きりにもなれた。
彼女の胸や股間に手を触れた豪のものも現れて
「せっかくだから触ってやった。」などと吹聴していた。
このとき彼女は、最初こそ恥ずかしくて止めて帰りたいのをこらえて、
「強がっていただけ」だが、半日もすると、内心「見られるって気持ちいい。」と感じて、
次の日も「それで通せる」と考えていた。
覚悟が定まったのではない、新しい感性がめばえたのだ。
自分としても新しい発見で、「今まで何を見て監督をやってきたのか」と、思い知らされた。
気がつくと自分の中に眠っていた露出癖が、股間をぬらしていたのだ。
所が、である。
次の日会社に行って見ると、誰が付けたのかしっかり固定して、
自分のイスから電動玩具がそそり立っているのだ。
机の上には、「着席の際は御使用ください」のメモまで添えられていた。
一瞬驚いたが、考えてみると、「悪ふざけ」とばかりは言えない。
目的の第一は撮影前に自分に度胸を付けることだ。
彼女は黙って着ている物を全て脱ぐと、腰をかがめて玩具を股間に導いていった。
玩具を股間に差込み腰を下ろすとき、彼女の口からは「あっ。」と、声が漏れた。
するとどこからとも無く拍手が起こり、男女を問わず同僚が集まって来たのだ。
誰かが「しっかり見てあげるよ。」と声をかけてきた。
覚悟を決めた彼女は「ありがとう。」と言って、皆の方向に椅子の向きを変え、
足を片方ずつ両サイドのひじ宛に置き、股間を広げてのせた。
彼女の股間は、同僚達に丸見えとなった。
このときばかりは、女性スタッフも、まじまじとそこを見ていた。
色白な肌に栗毛色がかったちじれ毛、ピンク色をした花びらの真ん中には青透明の玩が、
突き刺さるように嵌まって見えていた。
いつも自分が、顔色も変えずに女優達にさせていたことだ。
自分がしないでは通らない。
彼女は平静を装い、両手で足首をつかむと、
「じゃあ、スイッチを入れて。」と元気よく言った。
電動玩具がウイーンとうなり声をあげて、彼女の股間に嵌まったままで、重そうに動き出した。
花びらの上付け根の、微妙なポイントにも、バイブレイションする物が当たっている。
彼女は足首を強く握り、歯を食いしばって快感に耐えていた。
二分としないで、彼女の腰は前後に振られ始め、
花びらを掻き分けるように青透明の玩具が見え隠れを始めた。
自分の腰使いで、玩具を抜き差し、していることになる。
それでも意地で、腰を使いながら二分ほど耐えて見せた。
やがて、オフィスに彼女の絶叫が響き渡り、同僚は皆彼女の「いく」瞬間を待っていた。
彼女は顔に苦悶の表情を浮かべて身もだえていたが、
「ワー。」と言ううなり声を上げて四肢を痙攣(けいれん)させながら、
同僚に見守られて果てたのだ。
彼女が「いった」とき、再び拍手が起こり、「よくやった。」の声がした。
後はそのままの姿の彼女を置いて、同僚たちは、
何も無かったようにそれぞれの仕事に散っていった。
彼女は精根尽きて、しばらくは股間に玩具を入れた大また開きの姿のまま、
のけぞるように身動きできなかった。
最初の経験としては、心身ともに強烈で、そこから覚めるには時間を要したのだ。
製作部長が入ってきて彼女の姿を目撃し、足を止めたが、
「おっ、やっているな。」と声をかけて、机の上のマッサージ器を拾い上げ、
挨拶代わりに股間に当てたので、彼女は「わっ。」と、わめいて、また果てた。
彼女が果てると、製作部長はこのときとばかり、
彼女の大きく開いた花芯のボタンを人差し指でこねながら、
「良い作品を頼むよ。」と言って彼女を見つめた。
彼女が、弱弱しく「はい。」と返事をすると、ようやく手を離し、
きびすを返して出て行ったのだ。
この電動玩具を仕掛けたのは、監督どもにそそのかされた田崎だった。
彼女はその日一日、席に座るたびに「あっ。」と声を上げて過ごしたのだ。
ファン感謝の撮影参加希望者はものすごく、ナナの記録を上回った。
ネットで密かに募集したのが、スポーツ紙に、掲載されたのだ。
もっとも、これにも会社側の仕掛け人がいたはずだ。
注目作品なので、良一の脚本にも力が入る。
本来なら参加者皆の見ている前で男優と一戦交えるのが筋書きだが、
今回はいきなり百本手のローション攻めから始める。
代わりにローション攻めの前段階で、
染葉のバイブ攻めで女流監督の緊張をほぐしてしまうことにした。
全て染葉の希望で、良一が本を書いて企画されていた。
女流監督がキャリヤスーツ姿でスポットライトの光を浴びて中央に立ち尽くすと、
光の外の闇の中から多数の手が伸びてきて服を脱がし始め、
その間も他の手が彼女の体中をまさぐった。
彼女は一切の抗いを禁じられていたので、されるままに身を任せていた。
当初は「何とか持ちこたえよう」と言う気力が、彼女の発する声を殺していた。
やがて彼女が丸裸になる頃には、その手の指は、無遠慮に身体の一部の中にも入り始めて、
彼女もあえぎ声を漏らし始めていた。
丸裸にされた彼女は、脚本どおりに両手を頭の上に置き、
足を左右に開いて少し体を前後に揺らして、群がる手の攻撃に耐えていた。
乳首をつままれ、乳房はもまれ、尻を捕まれ、アナルも指で犯かされた彼女の股間には、
かわるがわるに二本の指が訪れては差し込まれ、
なかで暴れては入れ替わって絶えることがないのだ。
彼女の股間からはとめどなく液体があふれ出て、太ももを伝い落ちていた。
それでも彼女は、何とか崩れ落ちないで踏みとどまって、全身を揺らしながら、
耐え続けて見せた。
これは圧巻で、すごい絵になった。
その後、大型マットの上で大の字に四肢を固定されて身動きできないまま、
大量のローションをかけられて、染葉のバイブの洗礼を受けたのだ。
彼女の股間は閉じたくても閉じられず、染葉の手にするピンク色の極太のバイブは、
花びらを押し分けて「ああ・・。」という声とともにねじり込むように差し込まれた。
このとき彼女は、自分がこれからメチャクチャにされる予感に、興奮し、
期待しているのを感じていた。
被虐の喜びという非日常の快感なのだ。
染葉は前回の仕返しもあり、必要にバイブを抜き差しして、激しく攻め立てた。
最初はただ女流監督を攻めていた染葉だが、サービス精神は大せいだから、
しまいには自分も下半身丸出しになり、男優の男の物を受け入れながらの奮戦で、
バイブの抜き差しも、力が入る。
その激しさに彼女は堪らず声を上げ、腰を振って小刻みに果てるのだった。
その様子を、参加者五十人が取り巻いて見ているのだが、
染葉の合図で一斉に身体をまさぐりだすのだ。
ローションまみれの百本の手に身体中をまさぐられ、股間にも、アナルにも、
かわるがわるに指を入れられて「もてあそばれるのも」、自分がじかに感じて見ると、
彼女の想像以上に強烈なもので、それこそまったく休むまもなく「いき」続けてなおも、
いつ終わるとも知れない気の遠くなる経験だった。
これを、自分は経験もなしに他人にさせていた。
その報いを「今受けている」と思うと、一気に上り詰めて、気を失ったのである。
後の撮影は、もっと強烈だった。
彼女は、この時点ではAX女優としては新米で、なんのテクニックも、経験も無い。
だから本来一度にたくさんの相手をするには無理がある。
五十人切りにはいると、彼女はわずか五人をまともに相手しただけで、
不覚にも気を失った。
あとは意識もろくに無いままに、残り四十五人に犯され続けて、撮影を終えたのである。
場を仕切っていた染葉には、この事態は望むところで、
次々と参加者の男のものを口で元気付け、女流監督の股間に送り込んで、最後の一人まで、
余すことなく意を遂げさせたのだ。
その最中、薄れ行く意識の中に、若い頃の祖母たちの、
生きることへの身を挺した戦いの情景が、しっかりと浮かんでいたのである。
彼女はこのとき、やっと自分のルーツを頭だけの認識でなく、
体験として身をもって知ったのだった。
ただ自分にとって、今まで女優を叱咤してきた立場とすれば、作品的には敗北である。
それでリベンジを誓った。
この自分主演の作品に、女流監督は続編を出すことで、再び挑戦して、
今度は何とか五十人をこなして見せた。
その後彼女は、この体験の味が忘れられず、監督兼任のプレイヤーとして一年ほど活躍し、
後ほど紹介するが、新しい作品も手がけたのだ。
(その後の女流監督)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔話〕(その後の女流監督)◆◇◆◇◆◇◆◇◆ |
ファン感謝の、「いかせてあげる」に自ら出演したあと、
快感に目覚めた女流監督は女優業にも本格的に参入して、二足のわらじならぬ、
二足の裸商売を始めた。
自分の撮影する作品の大半に、自分も出演するのだ。
それだけではない、「経験が大事。」と、他の監督作品にも積極的に出演した。
彼女には、業界屈指の女流監督としての誇りがあった。
父方の、連綿と続く役者魂も、彼女の血の中に流れていた。
その誇りと血が、彼女を駆り立てたのだ。
今まで自分が監督としては、
手がけたことのないSM物にも自分の身体で試して見ることにした。
その道専門の監督の作品で、業界で有名な縄師と、共演女優にはナナが参加した。
女流監督は全裸に亀甲に縄をかけられ、股間に縄が食い込んだまま立たされて、
ナナが攻められるのを見せられていた。
ナナは片足を吊り上げられ、片足だけで身体を支える姿で縄がけされ、
股間に入れられた玩具を縄師に抜き差しされて、
「オ**コ気持ちがいい」と言わされながら身悶えていた。
プロの縄師だけに、責め方もうまい。 ナナは片吊の不自由な格好ながら、
腰を股間に嵌められた玩具を迎え入れるに振り、湧き上がる股間の刺激をかみしめていた。
女流監督は、それを見ているだけで、これから自分の身に起こること想像して、
股間が濡れてくるのを隠せなかった。
湿った股縄から滴った水気は、太ももを伝って糸を引きながら流れ落ちていたのだ。
そして、自分の番が回ってくるのを、心待ちに待っていた。
おあずけを喰らい、攻められているナナがうらやましくさえ見える心理に、
学ぶものは多かった。
やっと縄師が自分のところへ来て、股縄を少し上に絞って喰い込みをきつくしただけで、
女流監督は不覚にも、「いって」しまい、しかられて長いお仕置きを受けたのだ。
女流監督も、実際に自分がされてみて判ったのだが、股間に入れられる責め道具に、
バナナやキュウリなどの野菜を使ったり、ビール瓶を差し込まれても、
女性はあまりいいものではない、ただ絵的に猥褻(わいせつ)なので、
見る人が興奮する狙いがあるだけだ。
彼女は自分の体験から、日常からの精神的解放は、
「非日常の中にある救いだ」と確信して新しい企画を開始した。
これも素人参加型だが、脚本は監督に乞われてアィデアを基に良一が書いた。
それは夫婦の仕事のストレスや日常のマンネリからの精神的開放のために、
非日常へのトライをさせてあげる場所を、安全に提供する企画だった。
希望者を募ったところ、驚くほど多くの反応があった。
日常のストレスから逃れて、リフレッシュするには、非日常なことで解消するしかない。
言い分を聞くと、
「いろいろやってみたい事はあるが、安心安全な相手が見つからない。」が圧倒的だった。
そこさえクリアーできれば、結構こうした類を経験したい希望者は多かったのだ。
そこらで闇雲に相手を探すのは、あまりにもリスクがありすぎた。
一流のAXメイカーの製作で、女流監督が仕切って、自らも出演すれば彼らも安心する。
この企画は当たった。
「あれをしたい、これをして見たい」、が殺到したのだ。
基本的には、夫が妻にさせて見たいと言うパターンか、スワップ系が非常に多い。
「妻にさせてみたい」にもいろいろあるが、
シンプルなところでは「男優にメチャメチヤに攻められ、犯されているところを、
見てみたい」、が、圧倒的に多い。
愛すればこそ、普段の夫婦生活では実現できない非日常の激しい性行為で、仮面を剥がされ、
心身ともに丸裸の本音だけにされた妻から、隠されたどんな一面が垣間見られるものか、
知りたいのだ。
時間はかかるが、夫の欲求を受け入れる気になる妻も結構多い。
本音の部分では妻の方にも、最初から少しは興味があるのだが、
建前「夫に強く望まれた」と言う、理由が欲しい。
自分はそんな女ではないが、愛する夫のためにしぶしぶ承知したと、自分を納得させたいのだ。
しかし夫婦で充分話し合い、納得して、これから起こることに内心期待している妻でも、
いざ現場に来て見ると、最初はスタッフの多さに驚く。
十数人はいるのだ。
いきなり大勢の前で、見られながら性行為をするのは、大概の妻は決心がつかない。
しかしそれでは撮影にならない。
だから一計を案ずる。
これも良一の発案だが、まず、夫婦のインタビュー場面などは照明装置などを据え置きにして、女流監督のハンドカメラで、ほとんど監督一人だけで撮影を開始する。
夫婦の入浴場面もハンドカメラで、監督が裸で一緒に入り、一人でこなして安心させ、
風呂から上がった人妻をバスタオル一枚のまま、監督も同じ格好で、
手を引くように暗い撮影場所に招きいれる。
そのまま暗がりで、いきなり数人の男優に愛撫を始めさせる。
そこで初めて照明を付け、人妻に考える間を与えないで撮影を開始する。
人妻は辺りを見回す余裕もなく、バスタオルを剥ぎ取られて、快楽に溺れていくのだ。
先ずは企画名物の「なめられ地獄」である。
数人の男優の手で押さえられて
顔より腰の位置のほうが高い「マングリ返し」の状態の人妻は、
足が浮いたままパックリと股間を広げて、所かまわずの口と舌の愛撫に襲われる。
ある者は首筋を、ある者は乳首を、ある者は股間の花びらを、ある者はアナルのあたりを、
ある者はわきの下をと、およそ感じやすいところを、一斉に攻められるのだ。
その強烈な刺激に、いきなり人妻の頭の中は真っ白になる。
人妻の驚愕の表情は一瞬で、すぐにあえぎ声を上げて身もだえ始めるのだ。
勿論この間の作戦は、夫とは綿密に打ち合わせて、合意の上だ。
感じ始めた人妻は、数人の男優に一度に全身を愛撫されながら、口には男の物、
股間には二本の指、アナルにも指を差し込まれて、抜き差しされ、
突然襲い来る味わったことの無い刺激に身悶える。
やがて感じ始めて、絶叫にも似たあえぎ声を漏らす頃に、
女流監督から「奥さん気持ちいいの、さっきから、だんな様も、
沢山の皆も、奥さんを見ているよ。」と声をかけ、
自分が大勢の前で恥ずかしい姿をさらしていることを自覚させる作戦なのだ。
これは効果覿面で、人妻はカーッと血が上り、乱れに乱れまくる。
そこまでやってしまえば、覚悟は決まる。
その後はもう止まらない。
「あなた見ている。」と言わされながら、
あらゆる体制で股間に次々と男優の男の物を差し込まれ、抜き差しされると、
自然に人妻の腰もリズムを刻み始める。
股間がひとりでに動いて、差し込まれた男の物をむさぼり食うのだ。
やがて、男優の終わらない波状攻撃に、見ている夫のこともかまわず、
大きな喘ぎ声を張り上げ、潮を吹き、腰を震わせて、何度でも「いき」続けるのだ。
最初にそこに持ち込めば、人妻の建前のタガは外れて、後は日常から解き放たれる。
そこで嫉妬をさせる。
まだ息もあらわにソファーに座る人妻にバイブレエターを渡すと、
目の前に置いた向かえ側のソファーで、
これ見よがしに女流監督が夫と性行為をして見せるのだ。
全裸の夫をソファーに座らせ、女流監督はまず、口で全身を愛撫する。
最後に男のものを含んでそそり立たせる。
元気になったところで人妻と向かえ合わせの方向で腰を下ろしながら、
股間に夫の男の物を受け入れて足を広げ、
人妻に夫の男の物が監督の股間にしっかりと納まっているのを見せつけながら、
スクワットスタイルで腰を上下して抜き差しするのだ。
そして監督は、「私たちを見ながら、オモチヤでなぐさめなさい。」と人妻に、
自分達から目を離さずにバイブで自分を慰めるように指示を出す。
大抵の人妻は足を大きく開いて、素直にバイブを自分の股間に差込む。
そして命令どおり夫の方向を目で追いながら抜き差しして、目いっぱい声を発しながら、
監督に犯されながらの夫に見守られて、堪らず、「いき」果てる。 そんな妻の姿を見て、 夫も堪らず、監督の温かい股間の中に発射して果てるのだ。
あとは露出だろうと、放尿だろうと、SMだろうと、夫の欲求を人妻は拒まない。
人妻は非日常の快楽の中をさまようのだ。
撮影は格段にスムースになる。
無我夢中のまま、人妻は恍惚の表情を浮かべて、監督の言いなりに、
恥ずかしいことをなんでもする。
女流監督は臨場感を出すため、夫に「次はどうしようか。」、と聞きながら、
望まれたことは可能な限り実行する。
夫の要求だから、人妻に手加減はしない。
次から次に新たらし嗜好で、股間の休まる間も無く男優のテクニックに翻弄されて、
人妻は今までに無い恍惚に落ちていく。
人妻の股間は、男の物を銜え込むと、まるでヒクヒクと波を打つかのように、
離そうとはせず、口から「あっ、あっ、あっ」とリズミカルに声を上げて、
あらん限りに腰を振る。
普段、夫に「見せたこともない」激しく奔放な腰使いで、
「聞かしたことの無い」絶叫を発しながら、目いっぱい辱められる自分を、
それこそ貧欲に楽しむのだ。
日常に縛られた息苦しい感情が、開放されて突き抜けたとき、人妻の隠された性欲を、
生き生きと目覚めさせることを、女流監督は身をもって知っているのだ。
「建前から突き抜けた」ときの人妻の姿は、見ている夫の誰しもが「美しい」と言う。
終わった後、人妻が、感極まって泣くことも多い、それこそ身繕いもせずに、
裸のままでしばしその場に泣き崩れる。
だが、けして後悔の念ではない。
自分自身についての、思っても見なかった性的個性の新しい発見に、感動するのだ。
その後落ち着いてから感想を聞かれ、
「まさか自分がこんなになるとは、想像出来なかった」と、
照れくさそうに笑うのが登場した人妻に共通したものだった。
だが、怒って帰った人妻の例はない。
本音で言えば、日常無い体験が出来て満足なのだ。
こうした機会はめった無い。
内心機会があれば、「再び体験したい」とさえ思っている。
そして今日のことは「バーチャルリアリティーの世界なのだ」と、自らに言い聞かして、
明日からの日常生活を送れば言いと、思っているのだ。
逆に病み付きになり、女流監督のスワップ物の常連になった夫婦も数組いた。
お礼を兼ねて後日談を、電話や手紙で報告してくるカップルも多い。
その後の夫婦関係は、出演者全てが以前に増して良いと言う。
妻が勇気をもって、希望を叶えてくれたことに夫は感謝する。
目の前で、初めて本音をさらけ出してくれたことに、
やっと「本物の夫婦になったと。」感激する夫は多い。
夫に言わせると、そのときの状況が目に浮かぶたび、妻が「いとしくて」ならないそうだ。
それで今まで以上に、妻を大事にする。
架け替えの無い宝なのだ。
夫婦の夜の営みも、より中身の濃いものになり、
互いに楽しみ方を本音で打ち合わせるようになる。
その後の人生はより深いものになり、互いの愛情も増すのだ。
しかし世の中には、建前だけの付き合いで一生を終わる夫婦も数多い。
不幸にも、心身ともに突き抜けて快楽に溺れるすばらしい経験も得ずに、
一生を終わるのは、妻の「建前」か、夫の「独占欲」が邪魔している。
彼らは、人生を平凡でつまらないものにしているはずだ。
出来上がった作品の生コピーを、大事そうに持ち帰るのも出演夫婦に共通している。
最高の記念品なのだ。
女流監督はこの企画で成功し、世間に夫婦生活のアドバイザーで、名を売った。
テレビ局からの「マンネリ夫婦」の相談番組への出演依頼をきっかけに、
同じ番組に財産作りのアドバイザーで出演していたオーストラリアに住む金持ちの日本人に、
プロポーズされると言う良縁に恵まれて、業界を去って行った。
年に一度くらい、帰国している。
帰国すれば、良一たちにも連絡してくる。
この章 終了
仮面の裏側外伝 第三章・・・空伝
(怪しい集団)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔話〕(怪しい集団)◆◇◆◇◆◇◆◇◆ |
女流監督が活躍して、TX出演などしていた頃、
会社系列のプロダクションに奇妙な打診があった。
ある集団からのAX出演の打診だ。
交渉に訪れたのは、集団の代表を名乗る山伏みたいな格好をした二五歳くらいの若い男に、
若い娘が二人、ついてきていた。
若い娘達の格好も異様で、巫女風の上衣にミニスカートという、およそ見慣れない、
いでたちであった。
空伝と名乗るその人物は、変った教義を起こして、世俗で汚れた魂の浄化のために、
女性信者に性行為を施している。
どういうわけか、それで心身が救われる女性が結構多いらしく、
その数が五十数名を数えていた。
さしたる収入のない人々が、五十人から暮らしているのである。
その集団の維持に、結構資金が必要なので、「どうしたものか」と皆と相談したところ、
古参信者が「自分達で稼ごう」と、この話を提案してきたそうだ。
空伝は乗り気ではなかったのだが、
少し世俗離れ気味の女性信者たちの持ち寄るわずかなお布施では、集団の維持など出来ない。
女性信者にしてみれば、拠り所を失えば魂の浄化が出来ない。
なんとしても守りたい、集団なのだ。
それで、「修行を積んで、AXの会社から、お布施をもらおう。」と、言い出した。
つまりAX出演も、彼女達にとっては魂の浄化修行の一環なのだ。
空伝は大勢におされて、これを承知した。
プロダクションとすればかなり怪しい集団なので、おいそれとはいかない。
へたをすれば、おかしな主教の資金源にされて、世間の袋叩きになる。
だが聞いて見ると、集団発生のいきさつが中々面白い。
安全のために、女性信者の代表十人ほどに個別に面接して、身元やら年齢やら、
身内とのトラブルの有無などの裏付けを取った。
驚いたことに、大半の信者は天涯孤独で身寄りもなく、身寄りの有る場合も、
身内で空伝を悪く言う者は、いなかった。
そうした身内に言わせると、放っておいたら自閉症や自傷症で廃人同様だったので、
家族も手を焼いていた。
空伝に預けると、人が変わったように明るさを取り戻し、積極的に生きようとしているので、
自分達で決めたなら、「何でもさせてくれ。」と言うのだ。
よく聞いて見ると、集団の教義を承知で、親が空伝に託した娘も十数名に及んでいた。
医者も親もどうしょうも無いほど、手を焼いていたのだ。
慎重に調査した会社側も、これなら本人、家族ともにトラブルにはなりにくいと判断して、
オーデションを行った。
信者全員が出演の覚悟を決めていて、皆積極的に選ばれようと懸命だった。
少し異様な雰囲気が流れてはいたが、このオーデションの模様から撮影に入った。
当然のことながら、絵になる裸体が要求される。
全員全裸にしてから、柔軟体操をさせて観たが、とにかく懸命さが伝わってくる。
ただ、懸命過ぎて誰にも笑顔はない。
顔立ちも「これはどうしょうも無い」と言うほどの悪い者もいなかったので、
バイブ攻めで感度を確かめた。
彼女達を五人一組にして、五人の男優が順番、
にバイブで彼女達の股間に抜き差し攻撃をしたのだ。
それを、順番待ちの者は、食い入るように見ていた。
あまり無表情では、AXにはならない。
このとき奇妙なことが起こった。
彼女達が、傍目でも明らかに感じ始めると、何か「ぶつ、ぶつ」とつぶやきだしたのである。
よく聞くと、通常「アー」とか「ウー」とかの善がり声を発する代わりに、
「アー、感謝します。」と礼を言っているのだ。
これは空伝の教えで、人と生まれて、人と生きて、
「快感を得られることに感謝せよ。」と言うきわめてシンプルなものだが、
実はそれが彼女達の生きる力になっている。
女優を大量に必要とする企画もあるので、一応全員合格とした。
ただし、登録しただけで、今後必要に応じて仕事はしてもらう。
勿論例の過激な監督面接は、初仕事のときにしてもらう。
空伝は元を正すとある仏教系の宗派で、
十五歳の年から仏教学校へ行きながら寺で修行を積んで、僧侶になる道を歩んでいた。
思春期に寺で修行をして、空伝を苦しめたのは煩悩だった。
並みの若者と同じように、抑えられない性欲がわきあがってくる。
抑え切れないので手淫に走る。
それで、罪悪感にさいなまれる。
空伝は、寺で二年ほど修行をしたが、人間の自然な性の欲求を押さえきれず、
宗籍をはなれて、山で修行する道を選んだ。
山での修行といっても我流である。
過疎で空き家になっていた山里の農家の廃屋を、村人から無償で借り受け、雨露をしのいだ。
空伝が、廃屋を借り受けた寒村では若者の大半は村を捨てていたので、
若い修行僧が村に来たことを歓迎して、何かと作物などを届けてくれた。
空伝のほうも、滝に打たれるなどの修行の合間に、村人の話を聞いてやったりして、
いくらかは生きる支えになれるように努力をしていた。
生活の糧は、毎日朝早くから町や里に降りて、習い覚えた経を読んで托鉢で得た。
半年もすると、村人達の厚意で、空伝の住家は、ちょっとした寺のように整備され、
それらしくなってきた。
そうこうしている間に、
村(といっても二十数個の集落)の老人の一人から相談を持ち込まれた。
町に出て行った息子夫婦の長女が、気がおかしくなって手に負えないので、
一度のどかな環境で暮らさせて見ることにした。
ついては、若者もいない村なので、「相談相手になって欲しい」と言う依頼だった。
このとき空伝は十八歳になっていた。
依頼した村人も、空伝が若いとは思っていても、落ち着いた修行僧が、
まさか十八歳とは知らなかったのだ。
紹介された娘は、信子と言った。
歳は十七歳になったばかりで、何が彼女の心を傷つけたのか、
いつも「死にたい」と口癖の様に言うだけで、中々空伝にも心を開かなかった。
その信子が、突然いなくなった。
村人総出で捜して見ると、二日目の朝にようやく谷あいの木陰で、
小刀で手首を切って横たわっているのを発見した。
幸い相当ためらったのか、傷は浅く、村人の応急手当てで事なきを得たが、
その後も危なくて目が離せない。
信子の祖父母は、「町の病院に入れては、二度と出て来られなくなる」と、
かたくなに言うので、村人達で相談して、ひどく時代遅れな手段だが、
落ち着くまで縄でくくって、つないでおくことになった。
その間の見張りを、空伝が頼まれたのだ。
それで空伝の住み家に、信子は連れてこられた。
若い娘を、修行僧とは言え、若い男に預けるのは無謀とも空伝には思えたが、
これには裏があった。
信子の祖父母は、村の古老と相談して、信子の生きる希望を、
最もシンプルに性欲の開眼に求めたのだ。
それで結託して「キツネ落とし」と称して信子をスリップ一枚の裸同然で、
両手を後ろ手にくくり、伸ばした縄で柱につなぐと、
空伝に「楽しみを覚えれば死ぬ気が無くなるから。」とささやいて、出て行った。
意図を察した空伝が、信子の姿を良く見ると、柔らかそうに適度にふくらみを帯びた乳房も、
その先の薄ピンク色の乳首も縄目にことさら強調されるように見て取れた。
ショウツも外されているらしく、股間の茂みも、薄布を透おして黒々と確認できた。
所謂「据え膳」である。
この状況におかれて、十八歳の若者の取るべき道はひとつだ。
空伝の股間は正直で、もうとっくに硬さを増していた。
空伝が信子に触れたときも、信子は何も抗うことはなかった。
後に聞くと、どうせ死ぬ気だったから「どうにでもなれ」と、心は落ち着いていて、
動揺も、抵抗も無かったそうだ。
空伝に言わせれば、立派な「悟りの境地」ではないか。
それで何の支障も無く、空伝と信子は、肉体的に結ばれた。
次の朝、信子の祖母が食事を運んできたが、信子の戒めは解かずに、
握り飯を口元に運んでは、食わせていた。
そのとき信子に言い聞かせていたのは、「空伝様の生きる力を注いでいただけ。」と言う、
まったく素朴な話だけだった。
祖母は空伝に手を合わせ、「この子が生きる気になるまで、縄は解かないので、
何度でもお情けをお願いします」と、意志を伝えて、出て行った。
それで空伝は、信子を抱くのが、仕事になったのだ。
祖母が帰ると、早速信子を抱いた。
信子は空伝が始めての男ではないらしく、最初から、男の物を抵抗無く受け入れたが、
今もって、相手のことは言わない。
前の夜から始めて、朝に一度、昼過ぎに一度と重ねていくうち、小さかった信子の声は、
次第に大きな善がり声に変わった。
農村の夕餉(ゆうげ)は早い。
夕食の支度を、信子の祖母が持ってきたとき、空伝は信子の体の上に乗っていた。
両手で信子の両足をつかんで広げ、自分の男を夢中で抜き差ししていた。
信子の善がり声にかき消されて、祖母の入ってきた物音に気が付かなかったのだ。
祖母は空伝が終わるまで黙ってそばで見ていたが、そのことを気にしているでもなく、
空伝が果てると、「夕食を持ってきた」と声をかけてきた。
空伝は、「見られた」と驚いたが、祖母のほうは「行だから」と、気にした様子も無い。
祖母は信子に食事を与え、用便を済まさせると、風呂に連れて行った。
その間に、祖父が現れ、空伝に「手間をかけます」と礼を言いながら、
祖母からの話ではだいぶ良くなったようなので、「後二、三日は預けたい」と申し出た。
祖父は孫娘が風呂から上がってくると、今度はスリップも身に付けさせず、
黙ったまま仰向けに大また開きに固定するように縛り上げて、出て行った。
彼らの強い意思表示と感じられた。
信子の股間は、閉じることも許されずあらわになり、恥ずかしい花弁も閉じることが出来ずに、 わずかに開いていた。
空伝は、このとき初めて女性の肝心の部分をしっかりと見た。
思わず手を出し、花弁を広げて見たが、信子は「うっ」と言ったきり、何も言わない。
思えば、誰しもがそこから人生を始める。
ある意味一番尊いところである。
原始宗教が女性神なのが、よくわかる。
空伝はこうした機会に恵まれたことを感謝して、
拝むような気持ちで自分の男のものを信子の股間に差し込んでいった。
空伝の男を迎え入れるのも、日に何度もとなると、信子にも変化が現れた。
快感を得られるのか、身体が積極的に反応し始め、腰が動き始めた。
次の日の朝、祖母が食事を持って来たとき、信子は初めて空伝の前で、
祖母と会話らしきものをした。
最初「この爺ぃと婆ぁ、何を考えているのか」と、狂っているとしか思わなかったが、
今はわかると言う。
精神科の長い治療でも直らなかった自分の、悩みや恐れが消えていくのがわかるという、
妙に素直なのだ。
祖母が「縄を解きたいか。」と聞いても、「もうしばらく空伝様の行を受けたい。」と、
それを拒んだ。
それで信子が納得いくまで、全裸に縄がけのまま、行を続けることになった。
それ以来、行の間は、風呂を使うとき以外、全裸に縄がけで、縄を解いての空伝との行は、
行とは認められない習慣が、確立した。
つまり行を授かるものは、思念を捨て、全て空伝に託すと言う考えが、定着したのだ。
これは、「空伝の決めたこと」と言うよりも、信子の体験が、生きていた。
数日が過ぎ、信子が完全に生きる希望を取り戻すと、
空伝は安堵して役目が終わったものと思い、信子を説得して親元に帰した。
空伝はことを成し遂げて、元の生活に戻るとばかり思っていたのだが、違った。
それから数日して、信子は再び両親を伴って空伝の下を訪れたのだ。
両親は、どうにも手の付けられなかった信子の病状を治した空伝に礼を言い、さらに、
本人が希望するので、しばらく手元に置いてくれと願った。
空伝としても、信子とのことが切り離せず煩悩にさいなまれていたので、
本音のところ断る理由は無い。
空伝が引受けると、両親は長年の苦しみから解放された様に安堵した。
さらに、頼みがあるという。
実は、同じように苦しむ、「病院で知り合った少女を連れてきて、表で待たしている」と言う。
信子が行を進めたらしく、両親から預かってきていた。
空伝が承知すると、信子が外から縄で縛った十五・六歳の少女を引き連れてきた。
信子の両親は、治療内容は、この子の両親も百も承知で、
万策尽きているので「よろしく頼む」と、空伝の返事も聞かずに置いて行ってしまった。
少女の顔を見ると、細面に切れ長の目をした精かんな感じで、色は浅黒かった。
少女は、空伝をしっかり見据えて、「若い坊主だな。」と、言った。
そして、「両親がおかしな所へ行けと言ったので、どんなやつかと思ったが、
お前ならやられてやってもいいや。」といった。
どうやら今から起こることを、親から聞かされて、来ているようだった。
空伝は、少女の兆戦的な態度にあきれたが、内心「やってやろうじゃないか」と、
変な闘志が湧いてきた。
あの場でしおらしくされていたら、
空伝もかえって「どうしたものか」と悩んだかもしれなかった
それで、空伝の行の相手は二人になった。
祖母の役を、信子が万事心得ていて、自分が受けたように少女を裸に剥いて縛り上げ、
空伝に、行をさせたのだ。
信子が考え出した行を受けるための緊迫方法は、横に寝かした太く長い丸太に、
裸の少女を十字架のように両手を何箇所も固定して、
首と両手以外はまったく自由がきく状態で、仰向けで、転がしておく方法だった。
そのまま浄化されるまで、何日でも置いておく。
食事と下の世話、身体を清めることは、信子がした。
少女は、信子より幼かったが、既に男を知っていた。
それでも、朝、昼、晩、と空伝が努めて、少女が本当に感じ始めるのに、丸二日はかかった。
その間信子は、その場からほとんど離れずに横で見ていたが、
嫉妬らしきものは、見られなかった。
四日もすると、少女はつき物が落ちたように素直になり、
信子の連絡で迎えに来た両親とも、にこやかに会話して、両親を喜ばせたのだ。
この少女は今、集団では生活してはいない。
自宅に帰って普通に生活している。
ただ、親の許しを得て、時々行をされに空伝の元を訪れる。
親も不埒な行いと思わずに、神聖な行為と受け止めて、納得している。
空伝なりに悟ったのは、建前でなく、自然に人間らしく喜びを感じれば、
心の病んだ人も癒せると言うことだ。
現代人は病んでいた。
目の前にいれば、救うしかない。
そうした活動の噂が、心の病で困っている人々に広がって、家族に連れてこられる者、
自分でやってくる者、と、数が増えて、資金的に支えきれなくなってきたのだ。
空伝の教えはまったくの自然教で、目新しいことではない。
ただ、あまりにも建前文明に侵された現代人は、同じ現代科学の医術では癒せないのだ。
「快感を得られることに感謝する。」、この一点で生きていけるのだ。
かかわりの無いものが建前の基準で聞けば、とんでもない邪教に映るかもしれないが、
空伝に出会わなければ、死んでいった者も多いはずだった。
(志津子のデビュー作)
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