「公家（殿上人）の家名」は、鎌倉期から明治維新の七百年間に掛けての各家の分流・支流が武門や神官・僧籍、果ては商家や百姓に到る広がりを見せている所から、かなりの家名が名字のルーツと成って居る。

つまり公家の名字は日本の名字のルーツとして占める割合は高く、貴方の名字のルーツとしての可能性があるので読んで見る事をお薦めする。

公家（くげ）とは、武家（ぶけ）に対する言葉として京都の朝廷を構成する貴族・官人の総称で、元来は天皇または朝廷を指して「こうけ」または「おおやけ」と呼んでいた。

だが、鎌倉時代以降、武力で帝（みかど/天皇）に奉仕する幕府を「武家（ぶけ）」と称するようになると、それに対比して朝廷に於いて政務一般をもって帝（みかど/天皇）に奉仕する文官一般を「公家（くげ）」と呼ぶようになった。

殿上人（てんじょうびと/うえびと）・堂上家（どうじょうけ）は、日本の官制において五位以上の者の内、天皇の日常生活の場である清涼殿南廂へ昇る事を許された者の事を指し、この清涼殿の殿上の間（ま）に昇る事を昇殿（しょうでん）と言う。

公家（くげ）とは、昇殿（しょうでん）を許された「堂上家」と「地下家」から広義に構成されるが、一般的には堂上家を指して公家（くげ）としている。

つまり殿上人（てんじょうびと/うえびと）と昇殿を許された「堂上家」と公家（くげ）は、言い方は違うが意味は一緒である。

官職としては、令外の官・摂政、関白と太政大臣、左大臣、右大臣、内大臣、大納言、中納言、参議に就く血統の家柄で、家格としては、摂家、清華家、大臣家、羽林家、名家、半家の区別があり、古くからある家を旧家、文禄慶長以降創立の家は新家と呼ばれ、江戸幕府の幕末には百三十七家の多くを数えるに至っている。

平安時代末期ごろから貴族社会に於いて公卿に昇る家柄が限定されるようになり、藤原北家による摂家の確立に伴って家格が固定化し、鎌倉時代前期ごろまでに公家社会の基礎が形成された。

摂政関白をはじめ、太政大臣・左大臣・右大臣・内大臣・大納言・中納言・参議・近衛大将・大弁以下〜の官職名を家柄により世襲した為、この公家社会に於いては家格によって昇進できる官職が定まっていた。

但しこの官職を公家（くげ）に限定されず、朝廷より有力武家（ゆうりょくぶけ）にも与える事によって、朝廷の権威を維持すると同時に武家（ぶけ）の権威を認める事で双方の存在を担保し合う形式が採られていた。


鎌倉幕府以降、「後醍醐天皇の建武の親政」や南北朝並立などの動乱の一時期を除いて公家（くげ）の職権は序々に空虚と化して室町時代には幕府および守護によって公家政権の権限が侵食されて次第に有名無実化の道を辿って行く。

江戸時代に入ると、公家社会は幕府から保護を受ける事となったが、反面、天皇と公家を規制する「禁中並公家諸法度」が定められ、これにより江戸時代の公武関係が規定された。

公家社会は幕末まで温存されたが、明治維新期に解体され公家のほとんどは華族身分へ移行した。

平安時代末期に官庁街である大内裏が消滅して以降、庁舎内で会議や事務が行われるる事は無くなったが、太政官や各省のポスト（役職名・肩書き）だけは明治維新を迎えるまで残った。


公家には五摂家を筆頭に九清華家・三大臣家・六十七羽林家・二十七名家・二十六半家などの家格がある。

◆【摂家（五家）】摂関家（せっかんけ）、五摂家（ごせっけ）、執柄家（しっぺいけ）とも言う。

摂家（せっけ）とは、鎌倉時代に成立した藤原氏嫡流で公家の家格の頂点に立った五家の事で、近衛流・近衛家（2862.8石）、九条流・九条家（2044石）、九条流・二条家（1708.8石）、九条流・一条家（2044石）、近衛流・鷹司家（1500石）があり、大納言・右大臣・左大臣を経て摂政・関白、太政大臣に昇任でき、この五家の中から藤氏長者も選出された。

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◆【清華家（九家）】英雄家、華族とも言う。

清華家（せいがけ）とは、最上位の摂家に次ぎ大臣家の上に位置する九家を言い、村上源氏嫡流家・久我家（700石）、藤原北家閑院流・三条家（469石）、藤原北家閑院流・西園寺家（597石）、藤原北家閑院流・徳大寺家（410石）、藤原北家師実流（花山院流）・花山院家（750石）、藤原北家師実流（花山院流）・大炊御門家（400石）、藤原北家閑院流・今出川家（1655石）、藤原北家摂関流・醍醐家（312石）、正親町源氏嫡流・広幡家（500石）がある。

清華家（せいがけ）は、近衛大将・大臣を兼任し、最高は太政大臣まで昇進出来る公家の家格の一つである。

但し、江戸時代以後の太政大臣は摂政・関白経験者に限られ、清華家の極官は事実上左大臣までとなる。

また、江戸時代に於いては近衛権中将、権中納言、権大納言（近衛大将を兼ねる事が出来た）が、当時左近衛大将は摂家が独占していた為に、右近衛大将を経て大臣になった。

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◆【大臣家（三家）】

大臣家（だいじんけ）とは公家の家格の一つで、摂家、清華家に次ぐ家格を有する藤原北家閑院流三条庶流・正親町三条家(嵯峨家/350石)、藤原北家閑院流正親町三条流・三条西家（502石）、村上源氏久我同祖・中院家（500石）の三家である。

参議を経て中納言となり以後清華家に準じて昇進、大納言から内大臣に昇進する家柄の家格を有するが、極官は太政大臣とされるも現実には大臣家から内大臣を超えて昇進した事例は少ない。

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◆【羽林家（六十七家）】

羽林家（うりんけ）は、鎌倉時代以降の公家の家格の一つで、摂家、清華家、大臣家の下、名家と同列、半家の上の序列に位置し、江戸時代の武家官位に於いては各大名家に与えられる家格に相当する。

近衛少将・中将を兼ね、参議から中納言、最高は大納言まで進む事ができる武官の家柄だが、個々の家の立場（旧家・新家、内々・外様などによって昇進の速度や経路に異同がある。

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羽林〔藤原北家閑院流二十三家〕

洞院庶流・正親町家（355石）、三条庶流・滋野井家（180石）、三条庶流・姉小路家（200石）、西園寺庶流・清水谷家（200石）、西園寺庶流・四辻家（200石）、四辻庶流・西四辻家（30石）、洞院庶流・小倉家（150石）、滋野井庶流・河鰭家（かわばたけ/150石.）、滋野井庶流・阿野家（478石）、西園寺家流・橋本家（500石）、正親町三条庶流・花園家（150石）、正親町庶流・裏辻家（150石）、橋本庶流・梅園家（150石）、阿野庶流・山本家（175石）、西園寺庶流・大宮家（130石）、姉小路庶流・風早家（30石）、三条西庶流・武者小路家（130石）、三条西庶流・押小路家（130石）、三条西（武者小路）庶流・高松家（30石）

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以下四家は純粋には藤原北家公季流ではないが閑院家に属する。

藤原南家高倉（藪）嫡流・藪家（150石）、藤原南家高倉（藪）庶流・中園家（130石）、藤原南家高倉（藪）庶流・高丘家（30石）、藤原北家四条流櫛笥庶流・園池家（30石）

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羽林〔藤原北家花山院流五家〕

花山院庶流・中山家（200石）、難波嫡流・難波家（300石）、難波庶流・飛鳥井家（あすかい/928石）、花山院庶流・野宮家（200石）、花山院庶流・今城家（30石）

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羽林〔藤原北家中御門流九家〕

中御門嫡流（勧修寺流の中御門家とは別）・中御門家（通称：松木家）（341石）、持明院嫡流・持明院家（200石）、持明院庶流・園家（187石）、持明院庶流・東園家（180石）、持明院庶流・壬生家（みぶけ/130石）、持明院庶流・高野家（150石）、持明院庶流・石野家（30石）、持明院庶流・石山家（30石）、持明院庶流・六角家（30石）

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羽林〔藤原北家御子左流四家〕

御子左嫡流・冷泉家（上冷泉/300石）、御子左支流・冷泉家（下冷泉/150石）、御子左庶流・藤谷家（ふじたにけ/200石）、御子左庶流・入江家（30石）

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羽林〔藤原北家四条流七家〕

四条家嫡流・四条家（180石）、四条支流・山科家（300石）、四条庶流・西大路家（100石）、四条庶流・鷲尾家（180石）、四条庶流・油小路家（150石）、四条庶流・櫛笥家（くしげけ/183石）、四条庶流・八条家（150石）

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羽林〔藤原北家水無瀬流五家〕

水無瀬嫡流・水無瀬家（みなせけ/631石）、水無瀬庶流・七条家（200石）、水無瀬庶流・町尻家（まちがみけ/30石）、水無瀬庶流・桜井家（30石）、水無瀬庶流・山井家（やまのいけ/30石）

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羽林〔藤原北家高倉流二家〕
高倉庶流・堀河家（180石）、高倉庶流・樋口家（200石）

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羽林〔宇多源氏三家〕
敦実親王の後裔源経資が祖・庭田家（350石）、庭田庶流・綾小路家（200石）、庭田庶流・大原家（30石）

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羽林〔村上源氏八家〕

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久我支流・六条家（265石）、久我庶流・岩倉家（150石）、久我庶流・千種家（ちぐざけ/150石）、久我庶流・東久世家（30石）、久我庶流・久世家（200石）、久我庶流・梅溪家（うめたにけ/150石）、中院庶流・愛宕家（おたぎけ/130石）、久我庶流・植松家（130石）

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◆【名家（めいけ、めいか/二十七家）】

名家（めいけ、めいか）とは、鎌倉時代以降に成立した公家の家格のひとつで、羽林家と同列で、半家の上の序列に位置する。

大納言を極官とするのは羽林家と同じだが、羽林家が近衛中将等の武官職系を経て大納言に進むのに対し、侍従・弁官（蔵人・蔵人頭を兼任）等の文官・事務系職を経て中納言・大納言に進む。
例外として日野家は左大臣、柳原家は准大臣、烏丸家と万里小路家は内大臣に進んだ者もある。

日野流は侍従を初任とするが勧修寺流は廷中佐（衛門権佐）を初任とする場合が多く、新家の場合には弁官のみで蔵人を兼ねず、途中で四府佐や八省輔を経た後に参議に任ぜられる家があるなど、家によって昇進に差がある場合がある。

幕末時で名家は二十七家を数えるが、その大部分は日野流藤原氏および勧修寺流藤原氏および桓武平氏の諸家で、中でも、日野家、広橋家、烏丸家、柳原家、竹屋家、裏松家、甘露寺家、葉室家、勧修寺家（かじゅうじけ）、万里小路家（までのこうじけ）、清閑寺家、中御門家、坊城家は、十三名家と呼ばれる。

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名家〔藤原氏（北家日野流十二家）〕

日野流嫡流・日野家（1,030石）、日野家支流・広橋家（850石）、日野家支流・柳原家（202石）、日野家支流・烏丸家（からすまけ/1153石）、広橋庶流・竹屋家（180石）、広橋庶流・日野西家（200石）、烏丸庶流・勘解由小路家（130石）、烏丸庶流・裏松家（130石）、日野庶流・外山家（30石）、日野庶流・豊岡家（30石）、柳原庶流・三室戸家（みむろどけ/130石）、柳原庶流・北小路家（30石）

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名家〔藤原氏（北家勧修寺流十三家）〕

勧修寺嫡流・甘露寺家（200石）、甘露寺支流・葉室家（183石）、甘露寺支流・勧修寺家（726石）、甘露寺支流・万里小路家（390石）、甘露寺支流・清閑寺家（180石）、勧修寺庶流・中御門家（260石）、勧修寺庶流・坊城家（180石）、勧修寺庶流・芝山家（100石）、清閑寺庶流・池尻家（いけがみけ/50石）、清閑寺庶流・梅小路家（うめがこうじけ/50石）、中御門庶流・岡崎家（30石）、勧修寺庶流・穂波家（30石）、甘露寺庶流・堤家（30石）

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名家〔桓武平氏（高棟王流三家）〕

西洞院庶流・平松家（200石）、西洞院家庶流・長谷家（ながたにけ/30石）、西洞院家庶流・交野家（かたのけ/30石）

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◆【半家（二十六家）】
半家（はんけ）とは鎌倉時代以降に成立した公卿の家格で堂上家の中でも最下位の家柄で、専ら源平藤橘以外の氏族を出自とし、特殊な技術を以って朝廷に仕える。

官位に関しては羽林家や名家に準じて昇進し、一部の家は近衛中将や左右大弁を経ないで大納言を極官とするが、公卿となっても非参議に留まるものが多い。

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半家〔藤原氏流（二家）〕

藤原北家高倉流・高倉家（812石）、藤原北家摂関流二条庶流・富小路家（200石）

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半家〔清和源氏流（一家）〕

清和源氏・竹内家（187石）

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半家〔宇多源氏流（二家）〕

宇多源氏庭田同祖・五辻家（200石）、五辻庶流・慈光寺家（30石）

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半家〔花山源氏流（一家）〕

花山源氏・白川家（200石）

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半家〔桓武平氏流（二家）〕

高棟王流・西洞院家（にしのとういんけ/273石）、西洞院庶流・石井家（130石）

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半家〔菅原氏流（六家）〕

菅原氏嫡流・高辻家（200石）、高辻庶流・五条家（171石）、高辻同祖・唐橋家（182石）、五条庶流・東坊城家（ひがしぼうじょうけ/300石）、五条庶流・清岡家（30石）、五条庶流・桑原家（30石）

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半家〔清原氏流（三家）〕

清原氏嫡流・舟橋家・船橋家（400石）、船橋庶流・伏原家（ふせはらけ/230石）、船橋庶流・澤家（30石）

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半家〔大中臣氏流（一家）〕

大中臣氏嫡流・藤波家（172石）

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半家〔卜部（うらべ)氏流（四家）〕

卜部氏嫡流・吉田家（760石）、吉田庶流・萩原家（1,000石）、吉田庶流・錦織家（にしごりけ/30石）、吉田同祖・藤井家（30石）

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半家〔安倍氏流（二家）〕

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安倍氏嫡流・土御門家（所領没収/断絶）、土御門庶流・倉橋家（150石）

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半家〔丹波氏流（一家）〕

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丹波氏嫡流・錦小路家（30石）

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半家〔大江氏流（一家）〕

大江氏流北小路・北小路家（30石）

【了】

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