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【バブル崩壊とその後の不況】


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◆◇◆◇◆(バブル崩壊とその後の不況)◆◇◆◇◆◇

>維新後の日本の体制が大きく変わったのは昭和二十年の「敗戦」である。

この敗戦は、国民にとって大きな不幸ではあったが、結果的にはその後を見て、新生日本を作る上では「あながち、悪い事ばかりでは無い。」とも言える。

只、ここに至るまで、「余りにも犠牲が多かった」事は、確かである。

コーンパイプにサングラスのアメリカ男が、横田基地に降りて来て、日本を、「民主化」と言う名の元に大改革をした。

後に「バブル崩壊」と言う名の大きな経済変動に日本が見舞われる種をまいたのはこのコーンパイプの男である。

コーンパイプの男(ダグラス・マッカーサー)には、日本を早急に自立させる使命があった。

おりしも、「東西冷戦」の中、長くはお荷物として、日本を抱えては居られない。彼の改革は多岐に渡っているが、ここでは、あえて、経済改革にかかわる大きな柱を二つ程上げて見たい。

一つは「新円切り替」という名のデノミの実行である。

通貨の単位を百分の一にし、銭単位の通貨を無くし、一円を最小通貨とするとともに、個人の資金量の平均化を謀って、新生日本で国民が平等にスタートできるように、「払い戻し限度額を設けて制限を一人百円まで」とし、新たに発行された新札または、横一・五cm、縦二・五センチ程の「証紙を張った旧札のどちらかのみ有効」として、富の実力以上にだぶついた通貨(インフレ)の整理をした。

終戦後直ぐの日本は、半年で物価がニ倍になる急激なインフレに見舞われ、政府はそれを抑える為、千円札を市場発行した半年後の昭和二十一年ニ月二十五日、強引な「新円切り替」を実施する。

これはその時点で流通している「五円札以上の全ての紙幣を無効にしてしまう」と言うものだった。その為五円札以上の所有者は十一日間の移行期間の内にそれを全て銀行に一旦預金して「限度額一人百円」の範囲で新円を払い戻してもらわなければならなくなった。

インフレ抑制の為に預金封鎖を断行し、新円と旧円の切り替えが急がれ、その間「旧紙幣に証紙(しょうし)を張って使用する」と言う時期もあった。

戦前、戦中に、甘い汁を吸って肥えていた一部の人々の偏った蓄財は、この新円交換限度額で「使用不能」と成り、「紙屑」と消えて行き、「軍と財閥は組織を解体された。」のである。


今一つは、「農地解放」である。彼は、戦後日本の復興に、「障害に成る」、であろう制度を知っていた。「地主、小作制度」である。

当時の作地は少数の大地主の所有で、多くの百姓はそれを借りて生産していた。

これは、農産における富を少数の地主に独占され、土地の所有も固定される制度であった。

経済活動の活性化に、「消費力の増大や土地の流動化」は不可欠である。その原資となるものが、この制度の中にあった。

千九百四十五(昭和二十年)年末の「農地解放」まで存在した「地主と小作の関係」も、実は村里共同体の成せるものである。

簡単に言うと、当時の税である年貢未納者を互助するシステムが、村を媒介とした村里共同体として機能し、年貢を立て替える事に拠って土地の所有権が移り、「地主小作関係」を作る結果になったが、それに拠っても村里共同体としての村里規模の自主的維持をはかっていた。

その大地主の所有する小作農地を、小作人の所有に移す事が、すなわち「農地解放」であった。

平常時にはけしてやり得ない改革だが、なにせ敗戦国である。占領軍に対し、地主も、嫌も応も無かった。

結果、貧しい小作農家は、「降ってわいた幸運」で、収入も増え、彼らを主力に消費は増加する。

暫くすると、土地を売って現金を掴む者、アパートやマンションの経営に乗り出す者、経済活動の一郭に占める「開放農地」の役わりは、大きく、効果的に波及していった。

これを境に、日本は、経済的繁栄を謳歌し、やがて「世界有数の経済大国」への道を歩み続けた。勿論、少し遅れて発展した優秀な製品を作り出す「工業技術」なども、その要因では大いにあるが、土地の効率的活用なくしては、それも望めなかったのではないか。

つまり、中小企業の工場用地一つとっても取得が楽になったのである。しかし、この繁栄の歯車も、四十年間も回り続けると、加熱して来る。

「バブル経済」の始まりである。その後の出来事は、記憶に新しい。コーンパイプの男(ダグラス・マッカーサー)の置き土産は、長い、長い導火線を辿り続けた後に、見事、はじけた。」のである。

この導火線に赤々と火を灯したのは、皮肉にも東西冷戦が熱をもって表面化した朝鮮半島の「不幸」な出来事だった。

北を支援するソ連と中国を主力とする「共産主義」対、南を支援する米国を中心とする「資本主義」との代理戦争に、近隣の朝鮮半島が舞台とされてしまった事が、日本に「特需景気」をもたらし、戦後復興の第一歩を踏み出す力となった事は事実である。

他国の不幸が結果的に日本経済の恵みとなった事は「手離しでは喜べない」事実であるが、少なくとも、これは日本が引き起こした事ではない。

バブル経済が起こり、やがて導火線は燃え尽き、見事はじけて、日本は一つの転機を迎えた。

つまり、バブル経済に到る「土地神話(値下がりしない神話と担保主義融資)」の経済の最初の動きが「農地解放」であったのである。

バブル経済は、実は官僚のミスリードに拠って崩壊し、「土地神話」が終わりを告げたのである。

それが、今日まで十五・六年にも及ぶ長い不況の始まりでもある。

バブル経済が崩壊して、「資産価値」と言う富が、日本中から消えて行った。地価や株価が半分に成り、やがて三分の一に成り、日本経済の「活力」は失われた。これが、経済大国から借金大国と呼ばれる変身の始まりだった。



バブル崩壊は昭和六十一年(1985年)のプラザ合意が遠因である。

名目はG5諸国(日・米・独・仏・英)の各自国が為替レートを調整する政策協調だが、実質は日米の政策合意である。

ドル高に悩んでいた米国の意図は、日本への借金を大幅に減らす事にあり、プラザ合意により一ドル二百四十円前後だった為替レートが一ドル百五十円台になり、数字のマジックみたいなものだが、日本円換算にした時の借金額が、三分の一ほど煙と消えた。

また、この円高為替レートは、米国への日本の輸出は不利(売り難い)と成、米国の貿易赤字は減った。

しかし円高は円の価値が上がり、日本が物を買い易くなり、他国に対して一躍金持ちになってしまった。

これにより、金融緩和が実施され、不動産や小売業、住宅への融資を拡大して行った。

当時、銀行は土地を担保に簡単にお金を貸し、それで買った土地が値上がりしてまた担保の枠(担保価値)が増える自転車操業的融資拡大に発展し、金融緩和を背景に拡大した融資は、投機目的の土地の買占め、株の買い上がりに向かい、過剰な投機熱によるバブル景気が形成された。


平成二年(1990年)三月、大蔵省銀行局長 土田正顕(まさあき)氏から通達された「土地関連融資の抑制について」による人為的な急ブレーキが、本来自然に起きるはずの景気後退を不適切に加速させ、危なげな投機ブームは有ったものの、ついには日本の経済の根幹を支えてきた長期信用全体を崩壊させてしまった。

また、日銀による金融引き締めは完全に後手に回った上に、崩壊の最中においても続けられ、経済状況を極度に悪化させた。

八月末には 日銀、公定歩合を年率六%に引き上げ、不動産融資規制が制定された。金融機関から不動産業界への資金流入にストップをかけるもので、土地の買い手が居なくなり、土地の値段が下がり始め、投げ売りが始まり、土地での損は株を売って穴埋めしようと、株を売る人も急増し、株価も下がり、投機ブームはついに終わりを告げバブルは崩壊した。

時間を掛けて沈静化する方法があったのだから、この官僚主導の「稚拙」とも言うべき誤った政策によって「人為的に資産としての土地の価格を下落させた」とする視点から、政策判断のミスが引き起こした「財産権の侵害である」と主張する声もある。

この被害は、個人、私企業に止まらず、地方自治体の財政を著しく悪化させてもいる。

なお、前年昭和六十年に導入された消費税、六十三年のアメリカの株価大暴落「ブラックマンデー」、平成三年の湾岸戦争勃発による石油が高騰、円高、低金利、原油安だったものが、一気に円安、株安、債権安になっ事も「通称・総量規制プラス・アルハー景気に悪影響を及ぼしたバブル崩壊の遠因」と考えられる。

平成四年(1992年)になると、政府がデフレを認めた。

バブル期に投機をした人達の返済不能に拠る自殺が増加し、解雇・リストラが増え、外注によるコスト削減が増えた。

金融機関が土地を担保に、投機をした人達へ簡単にお金を貸して居た為に、大量の不良債権を抱え、金融機関そのものの体質が悪化、存続が問われる事態となる。

不条理な事に、本来のバブル投機に関わり無い企業に、トバッチリに拠る金融機関の「貸し渋り」も出て、それにより、経営が悪化する企業が増えて来た。

やがて大企業はこの苦境を切り抜ける為に、リストラのみならず、下請け企業を見捨てて行った。

失業率が増加し、「失われた十年」と言われる平成の大不況の始まりだった。

借り入れ先が、返済出来なくなってしまった金融機関の貸出金を「不良債権」と言い、不良債権には回収が困難な度合いに応じて正常債権、要管理債権、危険債権、破産更生に分かれて居る。

不良債権処理の方法には、間接償却と直接償却があり、間接償却とは、貸し出した資金のうち、回収できなくなると見込まれる金額を会計帳簿に記入して、明らかにすると言うもので、直接償却とは、会計帳簿から不良債権となった貸し出し額を直接消し去る方法の事を言う。

この不況に改善が見られたのは、徹底した金融機関優遇救済政策と大企業優遇救済政策に拠る格差社会の拡大、痛みを伴い続ける国民生活と引き換えに、平成十七年になってからだ。

ただし、この景気回復の指標は、大企業の改善で出てきた数字で、実情は更に苦境に立たされている個人商店、中小企業は置き去りの話しである。


【了】


小説「たったひとりのクーデター」より


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東九州連続怪死事件・事件は時空を超えて

◆八月のスサノウ伝説◆

未来狂 冗談 作

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八月のスサノウ伝説・・・・・・・・・(神話時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 東九州で起きた連続怪死事件。
そして現代に甦るスサノウの命、
時空を超えたメッセージとは・・・

====(日本史異聞シリーズ)第五作====
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「権力の落とし穴」

本能寺の変の謎・明智光秀はかく戦えり

◆侮り(あなどり)◆

未来狂 冗談 作

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侮り(あなどり)・・・・・・・(戦国〜江戸時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 天才信長とその最高の理解者、明智光秀。
だが自らを神と言い放つ信長は
「侮り」の中で光秀を失ってしまっていた・・・

====(日本史異聞シリーズ)第四作====
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南北朝秘話・切なからず、や、思春期

◆茂夫の神隠し物語◆

未来狂 冗談 作

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茂夫の神隠し・・・・・・・・・(室町南北朝時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 誰もが通り過ぎる思春期、
茂夫の頭の中はHなことでいっぱい。
そんな茂夫が迷宮へ迷い込んでく・・・

====(日本史異聞シリーズ)第三作====
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鎌倉伝説

非道の権力者・頼朝の妻

◆鬼嫁・尼将軍◆

未来狂 冗談 作

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鬼嫁 尼将軍・・・・・・・・・・(平安、鎌倉時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 今は昔の鎌倉時代、
歴史上他に類を見ない「鬼嫁」が存在した。
その目的は、権力奪取である。

====(日本史異聞シリーズ)第二作====
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うその中の真実・飛鳥時代へのなぞ

◆倭(わ)の国は遥かなり◆

未来狂 冗談 作

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倭の国は遥かなり ・・・・・・・・・・・(飛鳥時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 韓流ブームの原点がここに・・
今、解き明かされる「二千年前の遥か昔」、
呼び起こされる同胞の血

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作者本名・鈴木峰晴