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この小論は、【謎の小説家 未来狂冗談(ミラクルジョウダン)】の小論です。
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短編人生小説(1)

「黄昏の日常」

◆我にしてこの妻あり◆


未来狂 冗談 作

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著作権はあくまでも作者にありますので、作者の了解無く本作を金品収受の対価及び引用例の元として転載等はしないで下さい。
また、未来狂冗談の小論・小説の記述内容、については、作者独自の新説です。
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「黄昏の日常」

◆我にしてこの妻あり◆



妻とは大学二年の夏に出会い、当時流行(はやり)の「神田川」のごとき同棲を始め、卒業後に結婚した。

だから、かれこれ四十年近く「割れ鍋」の上に似合いの「とじ蓋」が乗っかっている。
いやはや人間の人生なんて、数奇な道を辿るものである。


西武練馬線の桜台駅に近い、四畳半一間の風呂も無い安アパートが、夫婦の原点で有る。
都会と言う名の心細いジャングルで、身を寄せ合って暮らした小さな安心感の同棲生活から始まった。

そこで二年ほど、二人で青春の良い思い出を創った。

目を瞑(つむ)ると、あの若かった頃のアパートの日々と周辺の当時の景色が浮かんで来る。

月並みだが、「飯事(ままごと)みたいな同棲生活だった」と理解して欲しい。

良い思い出かどうかはその人にも拠るが、青春時代は誰にでも在る。

私達夫婦の若かりし頃の一ページを切り取ると、路地裏のお茶漬け屋の老夫婦、映画館は練馬東映の一館だけ。

二人で通ったのは、歌の様に横丁ではなく、表通りの風呂屋だった。


妻は身長こそ無いが、身体(からだ)は結婚以来今に到るまで細身で、バランス的に脚が長く、学生時代から「お前の彼女足が長くて格好良いな」と友人には羨ましがられたものである。

ところが、その脚の長い妻が歩き方に癖があり「チョコチョコ歩き」で私と並んで歩くと、けして昔風に夫から一歩下がっている訳ではないのだが、歩幅の関係で直ぐに数歩遅れて必死に歩数を増やして付いて来る。

今度は私が「妻の歩幅に合わせよう」とすると、我輩が何とも歩き難い。

まぁ夫婦生活なんて歩幅に限らずそんなもので、個性が違う他人の二人が一緒に生活するには「互いが違っていて当たり前」と、それを前提に生活する事なのである。


どうした事か、その二人が未だに一緒にいる。

その間に子供が二人出来たがいずれも女子で、今では二人とも他家へ嫁いで、もう孫も三人もいる。

近頃は熟年離婚が流行(はやり)らしいから、この先の事は何とも言えないが、四十年間「一緒に暮らして居る」と言えば、夫婦仲は良くもまぁもった方だろう。


つい最近の事である。

妻がヒョイと振った話題が思わぬ話の展開を見せ、実は今、二十年ぶりに歯医者に通っている。

我輩は今まで、で、これほど歯を大事にする必要に駆られた事は無い。

人生八十年時代を向え、まだ二十年間は歯をもたせなければ成らない事に成ったからである。

だが、この伸びた寿命は、夫婦にとって相当の覚悟が居る。

永い年月を「愛し続ける」と言うシンプルな、しかし「しんどい覚悟」で有る。

しかしまぁ、この「しんどい覚悟」はお互い様だから、我輩一人が文句は言えない。

歯医者に通うきっかけとなったその「妻の話し」と言うのは、ニュースになった大物映画俳優の事である。

大物映画俳優は愛妻の病を世間に隠し、十年余り自分一人で看病し、陶芸家に習って「骨壷も自分で作った」と言う。

近頃の殺伐としたニュースの中では、出色に美しい話題である。


夕食の後、その他家の美談を話題にした処で、話をこちらに振るのは妻の長年の常套手段で有る。

「私は貴方には、骨壷は作って欲しくない。」と、妻は言った。

ほら、やっぱり来た。

何を絡んで来たのかと思って妻の顔を見ると、次の台詞が振るっている。

「だって貴方は不器用だもの、曲がった骨壷には入りたくない。」と言い、「これはどうしても貴方より長生きしなくちゃあねぇ。」と笑った。

「オィオィ、俺が先に死んだら、お前は俺の骨壷をどうする?」と、余程言おうかと思ったが口に出さずに飲み込んだ。

どうせ、妻の用意している答えは決まっている。

「ハィハィ、貴方の骨壷は、市販で適当に済ませますから安心してください。」

まぁ、骨壷の話題が出る様なら、今の所は妻に熟年離婚の計画が無さそうだから、「良し」とせねばなるまい。


所で、ここで「くだらない事を言うな。」で済ますのは、夫婦生活の素人である。

こう言う時こそ知恵の働かせ所で、一応妻の話題を膨らませて相手をしてやるのが、熟年離婚を避ける「夫婦生活四十年の知恵」と心得る。

つまりどなた様も、御自分の妻には照れずに口に出して「気持ちを表現するのが肝心」と知るべし。


そこでまぁ我輩は、少しはインパクトのある反撃を試みた。

「お前が死んだら、骨壷なんぞに入れるものか、塩を振って毎晩酒のつまみに全て食ってやる。」と言い放ってみた。

一瞬唖然としたが、「あらそう、塩は高級なのにしてね。」と応えた妻の顔が、何故か満足そうだった。


毎度の事だが、この辺りの「せめぎ合い」が夫婦生活の「機微」と言うもので、我ながら上手く応えて、愛情も表現出来た。

上手く切り抜けはしたが、努々(ゆめゆめ)油断は禁物である。

明日になれば、いかなる口撃が用意されるのか予測も出来ない地雷原が、我が妻である。


余程答えがお気に召したのか、後日娘が二人揃った場面でその骨壷談義が妻から持ち出され、親子四人の話題になった。

「お父さんが、こんな事を言うのよ。」

その骨壷談義も、日頃「俺が死んだら墓石の前に鳥居を立てろ。」と言う「偏屈親父らしい言い草なり」と娘達は驚かなかった。

勿論、仏には誰でも成れるが、神には戦争指導者か維新以後の官軍(政府軍)戦死者しか成れないばかげた世間の常識が、多分に気に入らないからである。

つまり、「人を殺さないと、神様には成れないのか?」と聞きたくなる。


そこで我が家に、少々問題が勃発した。

「処でお父さん、私達はお母さんの骨壷が無くて、何処を拝んだら良いの?」

妻が笑って口を挟み、混ぜっかえした。

「あんた達、甘いわねぇ。私の骨壷がお父さんだから、俺を拝(おが)めと言う陰謀ですよ。」

すかさず、「誰が拝むか。」と、娘達の二重唱が聞こえて来た。


この文章を書いている現在、我輩の母はまだ健在である。

正じき本人は気付いていないが、実母はかなりの気取り屋である。

母の気取った生活態度にはヘキヘキしていたが、何時の間にか田舎の上流階級との接触の中で覚えたらしい「何々〜のよ」と言うフレーズを妻が多用する。

その「何々〜のよ」を聞くと、我輩は妻をぶん殴りたいほど腹が立つのだが、グッと我慢する。

正直我輩は、田舎育ちの気取り気が無い妻が好きで結婚した。

しかし不幸な事に、男性(おとこ)は何処かで母の面影を引きずるのか、妻の基本的な性格は見事に母にソックリだった。

母も妻も、けして「互いが似ていると」は認めないだろうが、つまり無意識の内に同じような性格を我輩が「良」としていたのかも知れない。

勿論何処かで、そう言う現象が起きるのは自然だが、それでも性格が似ている筈の嫁姑の仲は難しいのだから、我輩としては天を仰ぐしかない。

嫌、世間一般に言える事かも知れないが、嫁姑の争いは性格が「似てるが故に尚更激しい」のかも知れない。


およそ「結婚」と言うものは、他人だった男女が一緒に生活する事である。

他人の男女が「一緒に生活する」と言う事は、総べてのボタンが掛け違った洋服を着ているようなもので、およそ着心地は悪い。

その掛け違ったボタンを、時間を掛けて正しく掛け直して行くのが夫婦生活である。

ところが愚かな事に、本来主張すべきではないはずのプライドを、夫婦の間でも持ち出して意地を張り、「愛情が無い」とボタンの掛け違を直す努力など忘れてしまう。

つまり、愛情は時間を掛けて育てる物で、「最初から有る」と思うのが間違いである。

だから男女の出会いの場面で有るのは、「恋」と言う名の希望的勘違いである。

互いに勝手な理想を「愛情の条件」と勘違いし、「それが満たされないから」と不満を募らせて行くから、愛情が「最初から有る」と思う男女は始末が悪い。

唯のあこがれや物欲、独占欲、性欲も愛情ではないし、益してや自分の理想を相手に当て嵌めさせようなどと思うのは、掛け違ったボタンを「正しい」と主張するようなものである。

つまり、それらの全てを削(そ)ぎ落として、最後に残るのが本当の愛情で無ければ成らない。


四十年近く夫婦をしていると、流石に油断がならない。

痩身(細身)の妻だが、年月を重ねて痩身なりに貫禄が着き、体形には関わり無く、この世で一番恐く大事な存在なので有る。

そんな訳で、我輩渾身の反撃が夫婦の約束ごとに発展して、本気で歯医者に通う気になった次第で有る。

我輩の予測では、涙の出る様な塩辛い「酒のつまみ」になるはずで、高級なる塩は、せめて妻の実家近くの海で採れた天然塩を予定しているが、恐らく「しぶといあいつ」の事である。

こちらが先に鳥居を立てて貰うのが、「順当な所」と考える今日この頃である。

命名を「偏屈親父大明神」では、いかがであるか?


やりきれない事があっても、欠かせないのが「妻への愛」である。

「趣味は女房」と言って憚(はばか)ら無い我輩だが、それには訳が在る。

こんな屁理屈言いの我侭な我輩に、着いて来てくれる女性が一人でも居ると言う事は、幸せな事で在るからだ。

しかし心配なのは、サザエさんみたいに「そそっかしい妻」だから、間違えて先に行く事が無い様に、見張っていなければ落ち着かんのが何時もの我輩で有る。

六十近い男の、「妻へのラブレター」と思って、全てお許し願いたい。


完


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「黄昏の日常」

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【*】◆ 和やかな陵辱◆


(なごやかなりょうじょく)


未来狂 冗談 作

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【小説・現代インターネット奇談 第二弾】

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


戦 後 大 戦 伝 記

◆ 夢と現の狭間に有りて◆

(ゆめとうつつのはざまにありて) 完 全 版◆


未来狂 冗談 作

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「あえて、暴論」

ジョウダンの発想

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小説としてもおもしろく、実現できれば
不況は本当に終わります。

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非日常は刺激的

 愛の形ちは、プラトニックにいやらしく

◆仮面の裏側◆

未来狂 冗談 作

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仮面の裏側・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(現代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 人の心って複雑ですね。
とくに男女の恋愛に関しては・・・
ちょっとHでせつない、現代のプラトニックラブストーリー。

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非日常は刺激的

 

◆仮面の裏側外伝◆

未来狂 冗談 作

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◆{短編集 仮面の裏側・外伝}・・・・・・・・(現代)

◆ウエブサイト◆「仮面の裏側外伝」

====(日本史異聞シリーズ)第一作====
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東九州連続怪死事件・事件は時空を超えて

◆八月のスサノウ伝説◆

未来狂 冗談 作

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八月のスサノウ伝説・・・・・・・・・(神話時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 東九州で起きた連続怪死事件。
そして現代に甦るスサノウの命、
時空を超えたメッセージとは・・・

====(日本史異聞シリーズ)第五作====
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「権力の落とし穴」

本能寺の変の謎・明智光秀はかく戦えり

◆侮り(あなどり)◆

未来狂 冗談 作

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侮り(あなどり)・・・・・・・(戦国〜江戸時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 天才信長とその最高の理解者、明智光秀。
だが自らを神と言い放つ信長は
「侮り」の中で光秀を失ってしまっていた・・・

====(日本史異聞シリーズ)第四作====
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南北朝秘話・切なからず、や、思春期

◆茂夫の神隠し物語◆

未来狂 冗談 作

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茂夫の神隠し・・・・・・・・・(室町南北朝時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 誰もが通り過ぎる思春期、
茂夫の頭の中はHなことでいっぱい。
そんな茂夫が迷宮へ迷い込んでく・・・

====(日本史異聞シリーズ)第三作====
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鎌倉伝説

非道の権力者・頼朝の妻

◆鬼嫁・尼将軍◆

未来狂 冗談 作

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鬼嫁 尼将軍・・・・・・・・・・(平安、鎌倉時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 今は昔の鎌倉時代、
歴史上他に類を見ない「鬼嫁」が存在した。
その目的は、権力奪取である。

====(日本史異聞シリーズ)第二作====
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うその中の真実・飛鳥時代へのなぞ

◆倭(わ)の国は遥かなり◆

未来狂 冗談 作

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倭の国は遥かなり ・・・・・・・・・・・(飛鳥時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 韓流ブームの原点がここに・・
今、解き明かされる「二千年前の遥か昔」、
呼び起こされる同胞の血

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◆作者 【未来狂冗談(ミラクル ジョウダン)ホームページ紹介 】

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作者本名・鈴木峰晴