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【筑前福岡藩黒田家二代記

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◆小説【皇統と鵺の影人】より

この小論は、【日本史・歴史のミステリーのシリーズリスト】の一つです。

【軍師・黒田官兵衛孝高と長政】

(筑前福岡藩・黒田家二代記)


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***【歴史のミステリー】*********

軍師・黒田官兵衛孝高と長政

筑前福岡藩・黒田家二代記


記載目次ジャンピング・クリック

〔1話〕   【黒田官兵衛孝高(くろだかんべいよしたか/じょすい)
〔2話〕   【官兵衛孝高長男・黒田長政(くろだながまさ)


◇このまま下にも読み進めます。




黒田官兵衛孝高/如水

◇◆◇◆◇一話黒田官兵衛孝高/如水◆◇◆◇


(くろだかんべいよしたか/じょすい)

竹中半兵衛重治(たけなかはんべえしげはる)と同じく羽柴秀吉の名軍師として世に有名な黒田官兵衛孝高/黒田如水(くろだかんべいよしたか/くろだじょすい)は戦国時代安土桃山時代に羽柴(豊臣)秀吉の側近として仕え、調略や他大名との交渉などに活躍して豊前国中津城主と成った戦国時代〜江戸時代前期にかけての武将・大名である。

確かに、黒田官兵衛の後世に残った評判は高い。

しかし、竹中半兵衛や黒田勘兵衛は確かに有能な秀吉配下の軍師に違い無かったが、「豊臣秀吉の名軍師」は、英雄待望論に乗じて江戸期にでっち上げられたものである。


歴史の曖昧(あいまい)な点は、「真実(理性)の歴史」と「文化(感性)の歴史」が混在している事である。

勿論、「文化(感性)の歴史」は「虚の歴史」であるが、時の統治者(権力者)は、都合良くこの「文化(感性)の歴史」を巧みに操って統治の力としている。

つまり「文化(感性)の歴史」の「かなりの部分が公認」だからこそ、「日本史の曖昧(あいまい)な点」は、明確に説明し難いのである。

「虚(きょ/感性)の現象」の原因の一つとして、江戸期に始まった娯楽である草紙(小説)、芝居の舞台本(脚本)のヒーローは、本人及び身内の自画自賛や後世の人々がかなり膨らましてデッチ挙げた物が多い。

読み物は創作エピソードが豊富なほど感性を満足させ、「娯楽読み物」としては読み応えがある。

しかしこうした創作エピソードの多い読み物は、歴史の混乱を避ける為に、読者が「歴史小説」ではなく「時代読み物」として分けて受け取るべきである。

そしてそれらが繰り返し演じられると、あたかもそれが今を生きる一部の人々に「事実としての正史」と誤解されて現代に到っている。

有名な脚色・創作例は、牛若丸(源義経)武蔵坊弁慶の「京の五条橋に於ける出会い」の下り、日吉丸(豊臣秀吉)と蜂須賀小六(正勝)の「矢作橋の出会い」、宮本武蔵と岩流(佐々木小次郎)の「舟島(巌流島)の決闘の詳細」などが挙げられる。

此処まで行くと極端だが、もっと酷い創り話しに、「水戸黄門漫遊記」や「暴れん坊将軍」などの時代劇が在る。

勿論ここまで極端だと信じる者は少なく、完全に「娯楽作として脚色されている」と解されてはいる。

テレビ局の安易な番組製作も困ったもので、まだ真贋を論争中の事項にも「文化としての歴史」を定説として「歴史クイズ番組」を成立させ、また「歴史検証番組」にも「文化としての歴史」をそのままに放映している事を指摘したい。


勿論この歴史物語では、吾輩は有名人の成功話を娯楽的に飾って書く積りは無く、その人物の飾らない生き方を書くべく筆を取った。

何故ならば日本史を飾る有名人も、現実は苦悩と葛藤を抱えた等身大の人間であり、けして超人(スーパーマン)では無いからである。

つまりドラマチックに盛った嘘っぽい波乱万丈の英雄物語は、感性としては読み手に取って胸躍るものだが、そうしたフィクションドラマは史実的に有害な物語かも知れないからである。



実質の「豊臣秀吉の名軍師」は、片腕として辣腕を奮い文武両面での活躍を見せて天下統一に貢献した豊臣秀長(羽柴秀長・とよとみのひでなが)である。

他の秀吉配下の多くの武将と伴に、黒田官兵衛も豊臣秀長(羽柴秀長・とよとみのひでなが)の指揮命令に従って、その任にあたった。

ただし黒田官兵衛孝高は、知将と謳われた竹中半兵衛重治(たけなかはんべえしげはる)とは少し異質で、名参謀と言うよりも調略ネゴシェーター(交渉人)としてずば抜けて有能だった。



黒田官兵衛孝高の祖父・黒田重隆(くろだしげたか)は目薬の製造販売(販売は姫路の広峯神社の神官が担当)で財を成して力を着け、郎党を集めて播磨の国人領主に成り上がった。

しかし勘違いして欲しくないのは、黒田重隆(くろだしげたか)は目薬屋から武士に成った訳ではない。

江戸時代を境に、農業、工業、商業、漁業などの経営は、武士の直接経営から身分の分類で分離されて間接経営に変わり、金銀山などの鉱業経営だけが残った。

しかしその身分分類までは、多くの業が武士(有姓氏族)の独占だった。

何故ならば、初期の渡来部族が大くの先端技術を持ち込んで日本列島を征服し、その渡来部族が氏姓(うじかばね)を名乗る支配階級・氏族(うじぞく)に成った事で、先端技術は有姓氏族の独占となって居た。


黒田家は、元々から宇多源氏佐々木六角流黒田氏を自称する武家で、本拠地は畿内に在った。

それが室町期に、「船岡山合戦」のいざこざから足利将軍家の不興を買い、備前国邑久郡に流れ着いて居を構えた。

元々平安期の武士は、神官を始め工業、農業、商業、海運業などの副業を持ってい居て、鉱業利権は勿論、刀剣の製造や後の銃砲の製造も武士(有姓氏族)の独占だった。

つまり室町期から戦国期にかけてはまだ、武士とその他の業との区別は余り無かった。

例えば平清盛は海運業を盛んに行い、海外貿易まで手を染めていた。

木下藤吉郎(豊臣秀吉)織田信長に仕官させた信長の愛妾・生駒吉乃(いこまきつの)生駒家は、馬借(ばしゃく)と言う馬の貸し出し業や陸運業を副業にしていた。

また、「美濃の国取り物語」で有名な油屋の斉藤家の話しも黒田家の目薬屋と似ているので紹介する。

下克上で「美濃一国の国主と成った」と言われる斉藤道三(さいとうどうさん)の父は、天皇の御所を守る「北面の武士・松波基宗」の家から妙覚寺に出家した基宗の子・松波峯丸(法蓮坊)である。

その松波峯丸(法蓮坊)が、「山崎屋庄五郎」と名乗り京都周辺で油屋を営み、財を成して美濃国の国主・土岐家の重臣・西村家の家督を継ぎ、西村新左衛門尉を名乗る。

その財を脚ががりにして息子の道三の代には最後には主君・土岐頼芸(ときよりのり)を武力を持って追放し美濃一国を手に入れた。

この斉藤道三の国取り物語を、「道三が一代で油屋から国主に成り上がった」とする物語も捏造で、親子二代での国取りである。


千五百四十六年(天文十五年)、黒田官兵衛は赤松氏の重臣から独立した大名・播磨国御着城主・小寺政職(こでらまさもと)の家臣である姫路城代・黒田職隆(くろだもとたか)の子・万吉(幼名)として生まれる。

官兵衛は千五百六十一年(永禄四年)に小寺政職(こでらまさもと)の家臣として仕官、禄高八十石を賜り出仕する。

千五百六十二年(永禄五年)、官兵衛は父・職隆(もとたか)に従い十六歳で近隣の土豪を破る初陣を飾る。


播磨国の西播最大の大名・小寺政職(こでらまさもと)に仕えて姫路城代を勤めていた黒田家は、官兵衛の父・職隆(もとたか)の代に主君・小寺政職から「職(もと)」の一文字を与えられ養女を貰い受けて小寺の名字を名乗っている。

小寺(黒田)家の家督を継いだ官兵衛は、侵攻して来た織田方に付く為に奔走して播磨の大半をまとめ、羽柴秀吉を姫路城に迎え入れて城を明け渡し、その与力となる。

小寺(黒田)孝高は情勢分析に優れ、その分析を基にした説得力にも優れていた。

主君・小寺政職(こでらまさもと)を説得して織田信長に臣従を勧め、配下として侵攻して来た豊臣秀吉の指揮下に入る事を、周囲の播磨武将の説得にも成功している。

秀吉の天下取り場面の随所で発揮された黒田官兵衛の調略ネゴシェーター(交渉人)としての能力は、この戦国表舞台に登場する場面「周囲の諸将を説得して織田家の傘下となる頃」から発揮されていたのだ。

晩年の黒田官兵衛には、「天下取りの野望が在った」とする説が数多く散見される。

だが、情勢分析に優れる官兵衛が、豊臣家から徳川家康にシフトした時点で、天下の趨勢は見えていた筈である。


その後、羽柴秀吉の幕僚と成った黒田孝高(黒田官兵衛)は、織田信長に対して謀反を起こした荒木村重(あらきむらしげ)に対して有岡城へ赴き帰服を呼びかけるが、城内で捕縛され土牢に押し込められてしまう。

つまりこの有岡城帰服交渉の時は、有能な調略ネゴシェーター(交渉人)として官兵衛は失敗したのだ。

行ったきり戻らない為、官兵衛の寝返りを疑った信長に、竹中半兵衛(たけなかはんべい)は人質の官兵衛長男・松寿丸(黒田長政)殺害を命じられた。

しかし竹中半兵衛は、「松寿丸(長政)を処刑した」と偽って助け、後に官兵衛から感謝されている。

一年後に荒木村重(あらきむらしげ)の有岡城は落城し、黒田官兵衛は家臣の栗山利安に拠って救出された。

だが、官兵衛は長期の入牢で関節に障害が残り歩行が不自由になって、以後の合戦の指揮には輿(こし)を使う始末だった。

それにしても荒木村重(あらきむらしげ)が、黒田官兵衛の命まで取らなかったところに名ネゴシェーター(交渉人)としての真価があるのかも知れない。


高松城水攻めの最中、京都で明智光秀による本能寺の変が起って信長が横死し、羽柴秀吉が中国大返しで畿内に戻る時に黒田官兵衛は調略ネゴシェーター(交渉人)の能力を発揮し毛利輝元と和睦交渉に成功している。

羽柴(豊臣)秀吉と官兵衛(孝高)の関係が上手く行ったには、武人の出自ではない秀吉に、基本として「戦わずして勝つ」の兵法上のポリシー(方針)が在ったからである。

それで、黒田官兵衛の調略(ちょうりゃく/ネゴシェーター)能力が、戦に対する秀吉の想いと「ピタリ」と嵌(はま)ったのだ。


尚、秀吉の「秀吉中国大返し」そのものを「官兵衛の発案」とする手柄話を記(しる)した文献も散見するが贔屓(ひいき)の引き倒しで、「秀吉中国大返しの奇跡」にはもっと深い多くの理由が存在する。

山崎の戦いに勝利した秀吉は、信長亡き後の織田家重臣会議・清洲会議(きようすかいぎ)で三男・織田信孝を擁立する柴田派を退(しりぞ)け、信長嫡孫にあたる織田信忠の嫡男・三法師(織田秀信)の擁立成功する。

この幼い三法師の後見人として、秀吉はまんまと権力を握った。

三法師を秀吉が推したのは腹心の黒田孝高(官兵衛)の策で、宿老二人(丹羽長秀池田恒興)の支持を得たのも「事前の根回しの結果」だと言われている。


清洲会議後起こった羽柴秀吉と柴田勝家賤ヶ岳の戦いに先立ち、毛利との外交に調略ネゴシェーター(交渉人)の能力手腕を発揮して毛利輝元を味方に着けている。

千五百八十三年(天正十一年)主君・秀吉と柴田勝家との間で跡目争いの戦賤ヶ岳の戦いが起こり、官兵衛も秀吉方として参陣する。

秀吉方の中川清秀の部隊が勝家方の佐久間盛政の猛攻に遭って壊滅し、続いてその攻撃を官兵衛の部隊が受ける事となったが奮戦し陣を守り抜いた。

千五百八十四年(天正十二年)織田信雄徳川家康連合との小牧・長久手の戦いの頃には竹中半兵衛に助けられた長男・松寿丸が元服して黒田長政を名乗る。

この小牧・長久手の戦いの折、留守居役を務めていた長男・黒田長政らは岸和田の戦いで根来盛重、鈴木重意長宗我部元親が秀吉方の背後を狙って旗揚げするを撃退する。

この年官兵衛は、播磨国宍粟郡(山崎)篠の丸城を秀吉に与えられ五万石の大名となっている。

翌千五百八十五年(天正十三年)に秀吉の紀州攻め四国攻めが始まると根来盛重、鈴木重意(すずきしげおき)、長宗我部元親の兵を再び破って長政は武将としての名声を上げた。

黒田官兵衛孝高(くろだかんべいよしたか)は、千五百八十六年(天正十四年)、豊臣政権下で従五位下・勘解由次官(律令制下の令外官)に叙任される。

叙任された官名は勘解由次官(かでのじかん/かげゆじかん)で、黒田勘解由次官孝高(くろだかげゆじかんよしたか)を名乗る。


千五百八十六年(天正十四年)、大友宗麟の要請による九州征伐では、官兵衛は毛利氏などを含む軍勢の軍監として九州に上陸し、宇留津城、香春岳城など陥落させている。

翌千五百八十七年(天正十五年)には、官兵衛は豊臣秀長の日向方面陣営の先鋒を務めて南下し、島津義久の軍勢との根白坂の戦いの勝利に貢献している。

この九州平定後、官兵衛は本拠地の馬ヶ岳城をはじめとする豊前国の中、宇佐郡半郡を除くの六郡およそ十二万石(太閤検地後十七万石)を与えられ中津城の築城を開始する。


千五百八十九年(天正十七年)、官兵衛は家督を嫡男・長政に譲って隠居の身となり、「如水軒」と号し、世間でも黒田如水(くろだじょすい)で通用する。

千五百九十年(天正十八年)の「小田原征伐」で官兵衛は、城主・北条氏政、氏直父子が立てこもる小田原城に単身命がけで乗り込み、調略ネゴシェーター(交渉人)能力を発揮して無血開城を成功させている。


確かに調略成功例は群を抜き、調略ネゴシェーター(交渉人)としての官兵衛は「稀代の天才」だった。

しかし、黒田官兵衛の調略ネゴシェーター(交渉人)能力の背景には、「強力な織田軍団」や「秀吉の総合力」が官兵衛の背後に在っての事で、その介在圧力は官兵衛単独の力量ではない。

只、官兵衛はその背景の力を充分に活用し、発揮できる能力が他者より優れて在った事は事実である。



千五百九十八年(慶長三年)八月、主君・豊臣秀吉が死去する。

この頃に吉川広家に宛てた手紙で、遠からず天下の覇権をめぐって最後の大乱が起きるであろう事を如水(じょすい/官兵衛)は予想していた。

如水(じょすい/官兵衛)は大乱に備(そな)え十二月に上洛し、伏見屋敷に居住する。

豊臣(羽柴)秀吉に臣従していた黒田如水(官兵衛)、黒田長政親子は、秀吉亡き後力を着けて来た徳川家康に接近する。

つまり、有能な調略ネゴシェーター(交渉人)は「処世術にも長けている」と言う事で、黒田親子は、関ヶ原の合戦では東軍として参戦している。



残念ながら現代社会では、「男女機会均等」や「男女共同参画」と言う概念から男女の特性を生かした役割分担の考え方は無くなりつつある。

この事が社会にとって良い事かどうかの論議は別にして、以前は「内助の功(ないじょのこう)」と言う言葉(慣用句)が存在した。

「内助の功(ないじょのこう)」とは、婦人が女性の特性を生かしながら夫の働きを支え、夫に大きな働きをさせる行為を言う。

北政所「おね(ねね)」が、秀吉子飼いの大名達に大きな影響を与えたのは、北政所「おね(ねね)」が、小さな武家時代から母代わり姉代わりとして慈しみ接し育てた「内助の功」が存在したからである。

つまりこれから育てる若手家臣に対して、秀吉とおね(ねね)の夫婦は叱り役と励まし役を自然に分担していた。

だから一人前に成長した後も、秀吉子飼いの恩顧大名達にとっては北政所「おね(ねね)」在ってこその豊臣家家臣だった。

その辺りの「情」の部分が、クールな理論家の石田三成(いしだみつなり)には理解出来なかったのかも知れない。

そしてこれは、江戸期に豪商として発展した商家の「おかみさん文化の内助の功」とも共通するお家発展のメカニズムだった。

また、戦後一時期の集団就職時代に零細企業から成長した一部の企業で、大きな力となった社長婦人が「若い金の卵(就職者)」に細やかに接した見習うべき力(内助の功)にも相当する。

「内助の功(ないじょのこう)」の慈しみ精神が婦人からなく成れば、社長婦人は夫同様に務め手を批判的な目でドライに評価し、結果、身内的な忠臣を育てられない。

物事には何かを得れば何かを失う宿命的矛盾(しゅくめいてきむじゅん)と言う現実がある。

つまり現代日本社会が、中小零細企業が育つ家庭的な環境を潰してしまったのが、「男女機会均等」や「男女共同参画」の概念かも知れない。

いずれにしても、天才心理学者・天才軍師である黒田官兵衛孝高は、豊臣家の実権が淀君(よどぎみ/浅井茶々)豊臣秀頼(とよとみのひでより)の親子に移って子飼いの恩顧大名達が離れて行くのを読み込んでいた。



秀吉死去から五ヵ月後の千五百九十九年(慶長四年)一月、生前の秀吉が「大坂城中壁書」にて制限した大名間の婚姻と私的な交流に徳川家康福島正則らが抵触する。

徳川家康や福島正則らが抵触した大名間の婚姻と私的な交流に付き、前田利家を筆頭とした他の石田三成らが詰問し、大老・奉行衆との間で緊張が高まる。

この時に如水(じょすい/官兵衛)は、蜂須賀家政藤堂高虎らと共に、家康方に参じる。

三月に石田三成方の利家が病死すると、利家方であった加藤清正細川忠興らを引き込んで、黒田長政ら七将が三成襲撃事件を起こす。

この襲撃事件は、家康の仲裁により三成は領国の佐和山城に退去し、長政や蜂須賀家政の朝鮮での罪科は誤審と裁定された。

「生涯負けた事無し」と伝わる黒田官兵衛だが、羽柴秀吉を主将とする織田軍団の播磨侵攻時は、周囲の諸将を説得して織田家の傘下となり、秀吉亡き後は徳川家康に臣従するなど勝ち側に廻っているから負けなかったとも言える。

関ヶ原合戦では、三成は秀吉の継嗣・秀頼を立て、秀吉恩顧大名の与力を充てにしたが、その目論見は外れた

普段の生き方が「理性」主体の三成なのに、関ヶ原合戦だけ「秀吉恩顧大名の加勢」と言う「感性」に頼った時、既に敗れて居たのではないか?


黒田家は、関ヶ原の合戦の後に家康から勲功第一として筑前国名島(福岡)で五十二万三千石(検地後)を与えられ大藩と成ったが、これは如水(じょすい)の知恵よりも息子・長政の武勇に拠る所が大きい。

息子の黒田長政が筑前国々主となると、黒田如水(じょすい/官兵衛)も中津城から福岡城に移り、そこで亡くなるまで隠居生活を送った。

いずれにしても、竹中半兵衛重治(たけなかはんべえしげはる)と黒田官兵衛孝高(くろだかんべいよしたか)は、そこそこの働きこそすれ、秀吉に天下を取らせる程の「大きな働きをした名参謀」とするのには無理があり、「天下取りの一翼一端を担った」とする方が正しい。

何故なら「秀吉の天下を取り」は、大名まで出世した多くの武将(秀吉恩顧大名)がそれぞれの才で働いた上での結果だったからである。


「秀吉が黒田官兵衛を恐れた」と言う大仰な話しは、大坂の役で落城滅亡した豊臣氏にはその後を語る手段は無い。

比べるに、筑前国福岡城主五十二万石として明治維新後まで旧大藩主(侯爵)として残った黒田氏には、江戸期を通じて幾らでも藩祖・孝高(よしたか/官兵衛)に対する「手前味噌の喧伝ができた」と言う見方も在る。

また、関が原戦に於いて九州で別動した官兵衛には九州を制覇し、「家康が三成を破って兵が疲労しているところを一気に攻めて家康を倒し、自分が天下を取ろうとした。」と言う野心が在ったとする小説が氾濫している。

しかし当時の九州の関が原戦役では、肥後北半国・十九万五千万を領する猛将・加藤清正の全軍勢と連動しての軍事行動で、豊前国・十七万石の黒田官兵衛はやや格下の九州東軍(家康方)の二番手だった。

勿論、子息・長政が本戦関が原で家康指揮下に在り、手持ちの軍勢は二分されていて当時の官兵衛は「とても天下を望む体勢には無かった」と読める。

小説の受け売りで官兵衛に「天下を狙う野望が在った」とする説は多いが、一流のネゴシェーターの才能は状勢分析の達人の筈で、官兵衛が「博打をする確率は低い」と想われる。


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黒田長政(くろだながまさ)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇二話黒田長政◆◇◆◇◆◇◆◇◆


(くろだながまさ)

勇猛を持って知られる黒田長政(くろだながまさ)は、豊臣秀吉の軍師として仕えた事で有名な黒田孝高(官兵衛/如水)の長男である。

父・黒田孝高(官兵衛/如水)が播磨国の西播最大の大名・小寺政職に仕えて姫路城代を勤めていた黒田家は、官兵衛の父・職隆の代に主君・小寺政職から「職」の一文字を与えられ養女を貰い受けて小寺の名字を名乗っている。

小寺(黒田)家の家督を継いだ官兵衛は、千五百七十七年(天正五年)進行して来た織田方に付く為に奔走して播磨の大半をまとめ、羽柴秀吉を姫路城に迎え入れて城を明け渡し、その与力となる。

当初は新参者だった為に臣従の証として長男・松寿丸(長政)は織田信長の人質として、織田家家臣の羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)の居城・近江国長浜城にて過ごした。

松寿丸(黒田長政/くろだながまさ)が近江国長浜城に人質に成った翌年、信長に一度降伏した荒木村重(あらきむらしげ/摂津・伊丹城主)が信長に反旗を翻した為、父・孝高は村重を説得する為に伊丹城に乗り込んで村重に拘束された。

信長は孝高がいつまでたっても戻ってこない為、「村重方に寝返った」と考えて松寿丸(長政)を処刑しようとしたが、竹中半兵衛は「長政を処刑した」と偽って助命する。

この半兵衛の機転により、松寿丸(長政)は危うい所で一命を助けられている。

その一年後に荒木村重の有岡城は落城し、黒田官兵衛は家臣の栗山利安に拠って救出され裏切りの疑いは晴れたのだが、長期の入牢で関節に障害が残り歩行が不自由になって、以後の合戦の指揮には輿を使う始末だった。

そんな父・孝高(官兵衛/如水)に代わって、黒田長政が秀吉の下で備中高松城攻めに従い中国地方の毛利氏と戦い、将としての才覚を示し始めている。

本能寺の変山崎の合戦賤ヶ岳の合戦と秀吉が天下を取る過程に加わって徐々に加増され、九州征伐では長政自身は日向財部城攻めで功績を挙げた。

戦後、父子の功績をあわせて豊前国・中津に十二万五千石を与えられ、千五百八十九年(天正十七年)に父・黒田孝高(官兵衛/如水)が隠居した為に長政は家督を相続し、同時に従五位下・甲斐守に叙任されている。

長政は文禄・慶長の役にも渡海し、主将として三番隊を率いて一番隊の小西行長や二番隊の加藤清正等とは別の進路を取る先鋒隊となった。

長政は、この「文禄・慶長の役へ出兵」に際し、蜂須賀家政と共に三成から朝鮮での作戦に罪を問われた不服で、大の三成嫌いに成っていた。

秀吉が死去し、三成ら文治派と福島正則や加藤清正ら武断派の対立が起こると、長政は武断派に与し五大老筆頭格の徳川家康に接近し、家康の養女(保科正直の娘)を正室に迎える。

前田利家の死去をきっかけとした武断派の福島正則や加藤清正らの石田三成への襲撃にも参加している。

石田三成襲撃事件の翌年起こった関ヶ原の戦いで黒田長政は兵五千四百を率いて一番の武功を挙げ、筑前福岡藩五十二万三千石を与えられ、福岡藩の初代藩主となった。

秀吉恩顧大名の一人だった長政は、やがて起こった大坂冬の陣では江戸城の留守居を務め、嫡男・黒田忠之に代理出陣させる羽目になったが、翌年の大坂夏の陣では二代将軍・徳川秀忠に属して豊臣方と戦っている。




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【*】短編人生小説 (4)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

裁判員制度シュミレーション

凌 虐 の 裁 き

(りょうぎゃくのさばき)


未来狂 冗談 作

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ショート・ストーリーです。よろしかったら、お読みください。


【*】短編人生小説 (3)

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

短編小説(1)

「黄昏の日常」

我にしてこの妻あり


未来狂 冗談 作

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

ショート・ストーリーです。よろしかったら、お読みください。

【*】女性向短編小説 (1)

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

短編小説(1)

「アイドルを探せ」

青い頃…秋から冬へ


未来狂 冗談 作

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

ショート・ストーリーです。よろしかったら、お読みください。

【*】社会派短編小説(2)

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

社会派短編小説(2)

「生き様の詩(うた)」

楢山が見える


未来狂 冗談 作

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

ショート・ストーリーです。よろしかったら、お読みください。

◆HP上 非公式プロモート・ウエブサイト公開作品紹介◆

【小説・現代インターネット奇談 第一弾】


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「小説・現代インターネット奇談」
【電脳妖姫伝記】

【*】和やかな陵辱


(なごやかなりょうじょく)


未来狂 冗談 作

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【小説・現代インターネット奇談 第二弾】

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


戦 後 大 戦 伝 記

夢と現の狭間に有りて

(ゆめとうつつのはざまにありて) 完 全 版◆


未来狂 冗談 作

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「あえて、暴論」

ジョウダンの発想

◆冗談 日本に提言する◆

未来狂 冗談 作

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冗談 日本に提言する・・・(来るべき未来に)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 冗談の発想が詰まった内容です!
ぜひぜひ読んで、感想をお聞かせ下さい。
異論・反論も大歓迎!!

====(日本史異聞シリーズ)第六作====
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「小説・怒りの空想平成維新」

◆たったひとりのクーデター◆

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{「たったひとりのクーデター}・・・・・・・・(現代)

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小説としてもおもしろく、実現できれば
不況は本当に終わります。

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 愛の形ちは、プラトニックにいやらしく

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とくに男女の恋愛に関しては・・・
ちょっとHでせつない、現代のプラトニックラブストーリー。

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非日常は刺激的

 

◆仮面の裏側外伝◆

未来狂 冗談 作

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◆{短編集 仮面の裏側・外伝}・・・・・・・・(現代)

◆ウエブサイト◆「仮面の裏側外伝」

====(日本史異聞シリーズ)第一作====
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東九州連続怪死事件・事件は時空を超えて

◆八月のスサノウ伝説◆

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八月のスサノウ伝説・・・・・・・・・(神話時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 東九州で起きた連続怪死事件。
そして現代に甦るスサノウの命、
時空を超えたメッセージとは・・・

====(日本史異聞シリーズ)第五作====
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「権力の落とし穴」

本能寺の変の謎・明智光秀はかく戦えり

◆侮り(あなどり)◆

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侮り(あなどり)・・・・・・・(戦国〜江戸時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 天才信長とその最高の理解者、明智光秀。
だが自らを神と言い放つ信長は
「侮り」の中で光秀を失ってしまっていた・・・

====(日本史異聞シリーズ)第四作====
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

南北朝秘話・切なからず、や、思春期

◆茂夫の神隠し物語◆

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そんな茂夫が迷宮へ迷い込んでく・・・

====(日本史異聞シリーズ)第三作====
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鎌倉伝説

非道の権力者・頼朝の妻

◆鬼嫁・尼将軍◆

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◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 今は昔の鎌倉時代、
歴史上他に類を見ない「鬼嫁」が存在した。
その目的は、権力奪取である。

====(日本史異聞シリーズ)第二作====
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うその中の真実・飛鳥時代へのなぞ

◆倭(わ)の国は遥かなり◆

未来狂 冗談 作

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倭の国は遥かなり ・・・・・・・・・・・(飛鳥時代)

◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 韓流ブームの原点がここに・・
今、解き明かされる「二千年前の遥か昔」、
呼び起こされる同胞の血

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この文章は修了です。
















































貴方は、冗談(ジョーク)を深く考えた事があるだろうか?
冗談(ジョーク)には「軽口」とは違う、もっと重く深い意味が密かに潜んで居る事も多いのである。
【作者プロフィール】●未来狂 冗談(ミラクル ジョウダン)本名・鈴 木 峰 晴
昭和二十三年、静岡市に生まれる。
県立静岡商業高等学校卒業、私立拓殖大学商学部貿易学科を卒業した後、実社会に船出。
従業員二十名足らず小企業に就職、その企業が三百名を超える地方中堅企業に育つ過程に身を置き、最終、常務取締役で退任。
その後、零細企業を起こし、現在に至る。
現在他家に嫁いだ娘二人に外孫三人、同居の愛妻が一人居るが、妾や愛人は居ない。

性別・男性 /生年・1948年/住所・静岡県東部在住
【メッセージ 】
ネット作家として文学・歴史・政治・宗教・教育・科学・性・脳などを研究し小説やエッセ、そしてブログでコラムなど書いています。
☆ペンネーム未来狂冗談(Miracljoudan)の由来は、「悪い未来に成った事は冗談ではな無い」と思う気持ちからで、けして「冗談に付けたのではない」つもりです。念のため・・・。
また、「冗談」とかざしたペンネームの真意は、作品により政治や信仰・占術、歴史に対する批評及び性描写に、タブーを恐れない過激な表現を用いる事がある為、利害関係者との余分な論争を避ける為です。




あなたは、人目の訪問者です。


作者本名鈴木峰晴