表題について、「こんな考え方もある」と、へそ曲がりに考察してみた。

断っておくが、けして必要以上に、この件で容疑者を擁護する積りは、筆者には最初から無い。

あえて、個人的に言わせて貰えば「気に入らない奴」だ。

しかし、今回の「気に入らない者は認めない。」式の袋叩きはいかがなものか？

あえて、不利な方側からの言い分に視点を置いてみた。

妻と元妻、計十一人と同棲する渋谷容疑者の事を、世間は「猟奇的な好奇心の目」で見ている。

彼らの生活が異質なもので、言わば「ポリープ」の様に存在を容認できないからだ。

そうなると冷静さを失い、感情の物差しで推し量ろうとする。

しかし、感情で答えを出すのはいかがなものか？

＊＊＊＊＊＊＊＊（報道内容をＯＤＮニュースから拾ってみる）＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

東京都東大和市の民家で行われていた不自然な集団生活をめぐる事件で、自称・元占い師の渋谷博仁容疑者（５７）（脅迫容疑で逮捕）は、占いを受けに女性らが民家を訪ねてくると、暗い部屋の中で相手の顔にランプの光を近づけながら、不安感をあおるような話をしていたことが、２７日わかった。

警視庁捜査１課は、女性たちは不安感をあおられたために渋谷容疑者と同居するようになった可能性もあるとみて、集団生活が始まった経緯などについて女性らから事情を聞いている （1/27付け）

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊（公表されているのは以上である。）＊＊＊＊＊＊＊＊＊

どうも、私には正確な容疑の内容が良く判らないが、不自然な集団生活への参加を「容疑者に強要された。脅された。」と訴えた「被害女性の訴えを受理した」と言う事らしい。

念を押すが、この過程で、監禁や拘束はなかったらしい。

つまり、謎めいた心理的脅迫の「言葉で脅された」と言うのが前提で有る。

どうも、不自然な集団生活のグループの存在を、「何とかしょう」を前提に、その、女性が訴えた内容が「犯罪に当る」と判断したらしい。

一方、妻と元妻、計十一人と同棲すること自体は、異様ではあるが「違法性は無い」らしい。

しかしながら、ほとんどが、容疑者の子供くらいの年齢の若い女性達十一人と同棲する異様な状態を、世間が一般論的に理解する為には（つまり納得するには）、どうしても女性達に対する「強要」や「催眠術によるマインドコントロール」などの容疑者による作為の存在を「無理やり裏付けたい」らしい。

連日報道されるテレビの報道番組を見る限り、有識者のコメンテェーターもマスメデイア従事者も、「もう一つの可能性」には誰も言及しない。

それは何故か？

それを言及すると、世間の期待に反し、世間から「袋叩きの目」に合うからだ。

しかし、世間の期待に反する「もう一つの可能性」は確実に存在する。

確かに傍目では異常な事だが、彼女達十一人が、現実に彼女達の意志で現在の生活を「望んで選択し、実行している小さな奇蹟」としたらどうだろうか？

他人が見て異常な事でも、彼女達がその集団生活の場所に「安らぎを覚える」としたら、もう、立派な信心である。

この程度の不可解さは、別段不思議な事ではない。

何故なら、「殉教で自爆する。」事は傍から見れば異常であるが、当事者には純粋な信心の実践で有る。

宗教に奇蹟は付き物で、もっと「奇想天外な奇蹟」を謳う世界的な宗教も多い。

つまり、宗教は精神世界の事であり、他者が自分の尺度で判断するのは無理で有る。

外部から、世間の常識外であるから、「彼女達は騙されている」と決め付けるのは簡単だが、それでは常識の押し付けでは無いだろうか。

彼女達の人権が、世間の期待に押し潰される恐れは、無いのだろうか？

勿論、この著述は最初に断った様に、筆者の「へそ曲がりな考察」から始まっている。

そこで、マスメディアの論旨を要約すると、仲間入りを勧誘された女性が、「不幸になると言った内容の言葉で脅され、被害意識を感じた。」と言う事だ。

容疑者の言い分では、「占いをした」と言う事だ。
この辺りに、疑問符の付く偏ったマジックが、逮捕の容疑内容にある。

それなら、今テレビで大活躍されておられる「女性の占い師」の「あなた、不幸になるわよ。あなた、死ぬわよ。」と言う脅しと、何処が違うのだろう？

一度、考えてみてはどうだろうか？

伝聞だが、彼女はそれで巨万の富を築いていても、脅しやマインドコントロールの容疑で逮捕はされない。

ちなみに年初の番組で、半年も経たないうちに、強制捜査及び逮捕に到ったライブドア堀江氏に対し「あんた、今年はバッグンに良い年よ。」と言っていたが、当らないなら占いで稼ぐな。

それでは新興宗教はどうだろう？

二束三文の品を、「教祖が祈祷で魂を吹き込んだから買わないと不幸になる。買わねば死ぬ。」などと脅して買わせる新興宗教は、どうした訳か、相当規模が大きくなるまで信教の自由に守られている。

さらに、由緒ある宗教はどうだろう。

筆者が知る限り、知人が檀家として「某お寺」に昔ほど景気が良くないので、「父親の代ほど寄付に応じられない」と減額をお願いした所、「お前の家は地獄に落ちる」と言われたそうだ。
これは立派な「脅し」ではないのか？しかも「墓と先祖の霊」を人質にしている。

この事が、例外では無い事を、多くの人が同じような経験をしていて、良く聞かされる。

その住職は、世間の不況は何処吹く風で、大型の外車で檀家回りをしている。

つまり、たとえ創始者の崇高な教えから世界に広まった宗教でも、「不幸や地獄」を教えて（脅して）寄付を募っているのは、たとえ本人（信者）が信じていても、理屈の上では「マインドコントロールであり、脅しである」と、疑いを感じる。

この点、論理的に既存宗教の場合の「信じる」と言う行為と、十一人の彼女達が容疑者を「信じる」と言う行為と、どこか違うのだろうか。

勿論、「性が絡む部分」は違うし、異様ではあるが、この点は逮捕容疑ではない。

もっとも、唯の見世物として見る分には、近頃の「弱い男性主流」の世の中にあって、「トドのハーレムがごとき存在」は、面白い。

今回の容疑者の事を、「暗くして、ろうそくを灯し伝々」と、さも異様に表現しているが、こうした「演出」は、占いでも、宗教でも存在する。

ろうそくの炎は、神社、仏閣、教会、宗教の和洋問わず使用され、楽器、合唱、音響効果はトリップ状態を演出する物で、宗教には欠かせない「演出」で有り、容疑者の行為と「何処が違う」と言うのだ。

自分は働かず、十一人の女性に働かせて「貢がせていた。」と言うが、女に貢がせているのが悪いなら、ホストも犯罪だろうから、逮捕させたらどうだ。

彼らの接客術が、客の気分を良くさせる「価値だ」と言うなら、容疑者も女性達の気分を良くしているのではないか？

この「貢がせる。」、もしかすると気分良く貢がせるならまだ良いが、不安を煽って貢がせる占いや宗教の方が、悪質かもしれない。

いずれにしろ、その体裁が宗教であろうが、占いであろうが、人の運命を弄んで、金を搾り取る事に、さして違いはない。

この問題、「古くから存在するから」とか、「信者が多い」とかの安易な線引きで区別しても、解決は為し得ない。

なぜなら、いかなる宗教も、最初は小人数から始まっている。

勿論、建物の立派さなので、決めるものではない。

つまり、信じるものが十人も居れば、規模は小さいが「信仰の変種」とも考えられる。

うがって考えると、彼らが弱者だから袋叩きにしておいて、「国民の不満を解消させる」格好の事案だ。

しかし、面白い。

どう言う訳か、逮捕前にマスメディアがあらかじめ取材をし、その存在の異様さを報道で浮き立たせてから、おもむろに逮捕する筋書きで有る。

この利害が一致した方程式の脚本は、誰が書いたのか？

いったい、何処から漏れ流れたニュースソースなのか。

これって、先入観を演出した「マインドコントロールじゃ、無いのかねぇ？」と聞きたくなる。

中には「警察が捕まえたから悪人に違いない。」と、丸呑みに決めて掛かる善良な方も居るが、このマスメディアに漏れ流れるニュースソースの手法は、松本サリン事件の時の、メディアが踊らされた誘導方法と「瓜二つ」のような気がするのは筆者だけだろうか？

この手法、実は「権力者も良く使う手」で、近隣の拉致国家など、統制された報道とあのマスゲームの演出は見事では無いか。

そうそう先の総選挙、国民もマスメディアも、もしかしたら誰かさんに、マインドコントロールされませんでしたか？

掘り起こせば、別の犯罪を構成する事実が出てきて、それに摩り替わるかもしれないが、理屈から言うと、容疑者が、暴力や別の違法行為をしていない限り、「異様な集団同棲行為だけ」では常識外ではあっても、逮捕理由としてはかなり危険な判断である。

つまり、心象(しんしょう）の良し悪しで、「幾らでも好きに逮捕できる」と言う、危惧を感じるのだ。


所で、この異様な集団で在るが、或いはそこに集（つど）う女性達には心の拠り所が「他に無かったのではないか？」と思われる。

人は本来「群れる動物（群れ社会の生き物）」である。

人類にとって、「群れ」は「生存本能」とほんど同じ意味を持つ心の拠り所の記憶である。

つまり群れは「その人間が生きて行く上での寄り所」になる。

遠い昔から群れで生活した記憶は、永く生存に直結していたから人間の本能に深く染み込んでいても不思議は無い。

人類は基本的な本能として他の生物同様に「生存本能」を備えている。

この生存本能の発露が「食欲」であり「性欲（種の保存本能）」であり、二次的なものとして危険を避けたり危険に立ち向かう為の「恐怖心」や「闘争心」なども無視出来ない右脳的な生存本能である。

そうした右脳的な生存本能の一つとして、人類はその種としての生い立ちから、「恐怖心」や「闘争心」を共有する事で生存率を上げる為に「共に生きる（共生意識）」と言う強い「帰属本能（群れ意識）」を持ち合わせて
生まれて来る。
つまり人類は、「帰属本能（群れ意識）」を満足させないと、精神的安定を得られない。

そしてその「帰属本能（群れ意識）」は価値判断や心（精神）の安定に影響を与え、良きに付け悪きに付け「人生」と言う固体の一生に影響する。

実は、「帰属本能（群れ意識）」を裏打ちして保障していたのが、同じく「生存本能」に関わる「性欲（種の保存本能）」の結果とも言うべき「性交」と言う行為だった。

「性交」と言う行為は、「恐怖心」や「闘争心」とは好対照に位置付けられる「癒し」や「信頼の」共有に繋がるからである。

つまり日本に於ける村社会の性規範は、「帰属本能（群れ意識）」に起因する共生主義の磨き上げられた珠玉の結晶だったのではないだろうか？


以下は余談であるから、その積りで読んで欲しい。

今年は戌（いぬ）年である。

筆者はけして良い呼び方とは思えないが、検察、警察を世間の一部では「イヌ」と呼ぶ。

これは侮蔑の言葉ではなく、「犯罪に対し、優れた嗅覚の持ち主達」と、筆者は捕らえたい。

今年(戌年)の年明けは大活躍で、「金持ち」と「女房持ち」つまり、金と女に持てる男の「行き過ぎの指摘」から始まった。

本音のところ、筆者はその「金と女に持てる男」の双方に縁がないから、内心、少しばかり溜飲を下げる部分も否定はしない。

しかし、巨悪は他に居る。

できるなら、弱い所ばかりでなく、権力を握る官僚と政治家の「行き過ぎの指摘」を、大いにして欲しいものだ。

（記01/29）