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◆ 未来狂冗談の小説
***【精子と卵子のミステリー】*********
◆◇◆◇◆短編ミステリー小説◆◇◆◇◆
【我が子だった娘の婚約者】
(精子と卵子のミステリー)
一気(いっき)読みも刻(きざ)み読みも、読み方は貴方の自由です。
長文が苦手な方は連載形式で〔一日一話づつ〕を刻んでお読み頂ければ、
七日間お楽しみ頂けます。
記載目次(ジャンピング・クリック)
〔一話〕 【茜(あかね)の婚約者】
〔二話〕 【丸山教授・医師】
〔三話〕 【私立探偵・藤堂】
〔四話〕 【DNA遺伝子検査】
〔五話〕 【ストーカー吉池】
〔六話〕 【追跡・伊豆高原】
〔七話〕 【決心・過去の告白】
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茜(あかね)の婚約者
◇◆◇◆◇〔一話〕茜(あかね)の婚約者◆◇◆◇
このサスペンス物語には殺人事件は無い。
むしろ生まれた子供が「誰の子か?」と言う奇妙なサスペンス物語の・・・筈だった。
どんな形にしろ、広い世間でたった一組の男と女が出会い、そのまた多くの卵子と精子のたった一つが出会って奇跡的に妊娠する。
しかし新しい命命を創造するに、強い覚悟を持って子作りをする人間がどのくらい居るのだろうか?
新しい命に未来を託す事がこれほど難しい課題だとは、今まで深く考えるには到らなかった者も多いのではないか?
その「誰の子か?」と言う過去のスキャンダラス(醜聞的)な出来事が因果の様に蘇(よみが)えり、物語は想わぬ事態に発展して行った。
つまりこの物語は、余り書かれる事が無い「出産サスペンス」なのである。
首都東京に近い千葉県の近郊都市で中堅の総合病院・上総仁愛病院を経営する医師・上総広雄(かずさひろお)の娘が彼氏を連れて来た。
春も三月の末、上総仁愛病院の庭端に植えられた桜木の花が一際華々しく咲いていた。
その桜木は、江戸末期(詳細)から明治初期(詳細)に、江戸の染井村に集落を作っていた造園師や植木職人達によって育成された新種・染井吉野(詳細)では無い。
品種で言えば、それは「山桜(ヤマザクラ)」で、上総広雄(かずさひろお)の「遠い先祖が屋敷内に植えた」と伝えられる古木の桜木だった。
上総仁愛病院の元々の敷地は、上総(かずさ)家の広大な旧庄屋々敷の大半とそれに地続きの田畑四反を潰(つぶ)したものだった。
桜木の品種は庄屋々敷の中に植えられていたもので、山林修行者・「役小角(えんのぎょうじゃ)(詳細)が開創した」とされる真言宗(詳細)・金峯山寺(きんぷせんじ)(詳細)を有する大和国(奈良県)の、吉野山の山桜(ヤマザクラ)である。
上総広雄(かずさひろお)が院長を務める上総仁愛病院の立地を紹介すると、東京湾に面した千葉県で、近隣に東京デズニーランドの陸と海の二施設がある。
上総広雄(かずさひろお)の生まれた上総家(かずさけ)は、代々漁師の網元を兼ねた大百姓(詳細)の家である。
氏姓の素性(家柄)に於いては、明治維新(詳細)まで家系図はその出自(血統)を証明する為の重要な証明書だった。
そして家(家系)を途絶え(断絶)させない為に多くの「妾妻」を設けたり、「後妻」を娶(めと)ったり、養子を迎えたりの手段を講じ、跡継ぎを確保して家の命脈を繋いで来た。
古くを遡(さかのぼ)れば、鎌倉期(詳細)の武将・上総広常(かずさひろつね)(詳細)の弟が分家して先祖となる「庄屋(詳細)の家柄」と称している。
一時期、分家・上総家(かずさけ)は、本家・上総広常(かずさひろつね)が鎌倉幕府(詳細)・源頼朝(詳細)に謀反の疑いで滅ぼされた為、永く別の名を名乗って居たが、江戸期(詳細)に成って上総(かずさ)に戻している。
戦前の上総家(かずさけ)は庄屋(しょうや)(詳細)上がりの大地主だったが、戦後・占領軍の農地解放政策(詳細)で、かなりの所有田畑を小作農家に渡して失った。
それでも医師免許を取得した上総広雄(かずさひろお)は、残った上総家の資産を担保に病院を建設して経営はまあそれなりに上手く行っていた。
戦前の小作人は労働力確保が絶対命題で、戦後少し後まで「夜這い(詳細)」や「寝宿制度(詳細)」が残って居て、子沢山だった。
国策も「産めよ増やせよ」だったからその残滓(ざんし)で「戦後の集団就職」と言う安い労働力が供給されて高度成長が可能となり、中小企業が大企業に育つ下地が在った。
比べるに少子高齢化(詳細)が進む現代日本は、差し迫った人口問題に取り組まないと如何なる経済政策を行っても一時的なカンフル剤にしかならない。
この難問に、現代のモラル(道徳)パラダイム(時代の合意事項)の見直しを含む少子高齢化対策をするか、子持ちの移民を受け入れるかしないと、滅びの道は回避できない。
つまり社会保障費が膨大に膨らんで行く日本に在って、現状を維持しながら経済や国力を回復する力は、少子高齢化が進む現代日本には無いのだ。
上総広雄(かずさひろお)の二十歳に成る国立大学医大生・長女・茜(あかね)が連れて来たその彼氏は、広雄(ひろお)に何か親近感を抱かせる好青年だった。
それも病院を経営する上総(かずさ)家にとって彼は好都合で、某国立大学病院の研修医を勤める二十六歳と申し分ない相手である。
院長室の応接で、宇都宮一人(うつのみやかずと)とは初めて遭った。
「茜(あかね)さんが、小さな病院を経営していると仰るから、その積りで居ました。立派な総合病院で驚きました。」と宇都宮一人(うつのみやかずと)は目一杯の世辞を言った。
「十五年ほど掛けて、漸(ようや)く医療法人にして此処まで大きくしました。まだまだ田舎の病院です。」と上総広雄(かずさひろお)は受けた。
娘・茜(あかね)の紹介に依ると、宇都宮一人(うつのみやかずと)は大学病院の研修医だが、癌治療研究第一人者の教授に気に入られ、最新の「次世代放射線治療法を学んでいる」と言う。
ただ茜(あかね)が、その彼氏・宇都宮一人(うつのみやかずと)の事を「お父さんと同じ匂いがする。」と言った事が、妙に上総広雄(かずさひろお)の心に引っ掛かった。
通常自然のメカニズムとして、年頃の娘は父親の匂いに「お父さん・・臭い。」と嫌悪感を抱く様に出来ている。
その匂(にお)いに対する嫌悪感は、男性の匂(にお)いではなく特に父親の匂(にお)いに強く反応するように出来ていて、それは親子での近親相姦を防ぐ肉体機能である。
つまり、ある日突然娘が父親の匂いを気にし始めたら、それは娘が成長して「生殖本能が開花したのだ」と解釈すれば良い。
ただしこの「父親の匂い」、娘が十四〜五歳の頃に親が相当に加齢(六十歳代)している場合は、例外としてその現象が起き無い事もある。
しかし希(まれ)に二十歳を過ぎると、この近親相姦を防ぐ肉体機能を超越した形で「父親の香り」に恋をする娘が現れる。
国立大学医学部に在籍する茜(あかね)は正にそうした娘で、同じ大学病院の研修医・宇都宮一人(うつのみやかずと)に同じ匂いを嗅いで恋をした。
そう言えば、娘の茜(あかね)にはそうした父親の匂(にお)いに反応した兆候が無かったような気がする。
それどころか、茜(あかね)は高校生に成っても「お父さん、お父さん。」とまつわり付いて、父親ながら「変わった娘(こ)だ」と想った覚えが在る。
その長女・茜(あかね)の恋を聞いた上総広雄(かずさひろお)には、突然若かりし頃の在る出来事を思い出して、不都合な疑惑が浮かんでいた。
何しろ、上総広雄(かずさひろお)自身が宇都宮一人(うつのみやかずと)に妙な親近感を抱き、娘の茜(あかね)も「お父さんと同じ匂いがする。」と言っているのだ。
この年齢(とし)に成って、あのエロチックな光景が浮かんで来た・・・。
少し不安を抱えながら、上総広雄(かずさひろお)は疑惑の解明を試みる。
「どうだね宇都宮(うつのみや)君、せっかく見えたのだから自宅に移って一杯やらないか?茜(あかね)が始めて彼氏を連れて来たんで、飲みたい気分なんだが。」
「はぃ、上総(かずさ)先生。お相手させていただきます。」
うん、初対面で馴れ馴れしく「おとうさん」と呼ばないところが礼儀正しい。
「茜(あかね)、お母さんに今から宇都宮(うつのみや)君を家に連れて行くと連絡してくれ。酒の用意もな。」
「うぅ〜ん、酔わせて色々聞き出そうと言うのでしょう。一人(かずと)さんをあんまり飲ませちゃ駄目よ。」
「どうせ飲酒運転は出来んから、今夜は客間に泊まってもらえば良いだろう。」
宇都宮一人(うつのみやかずと)と酒を飲みながら、上総広雄(かずさひろお)はまず一人(かずと)の出自を探った。
宇都宮一人(うつのみやかずと)の実家は、栃木県に広大な土地を保有しながら都内神田神保町で大きな古書店を営んでいて、一人(かずと)は「その家の一人息子だ」と言う。
宇都宮家が栃木県に広大な土地を保有している所から、上総広雄(かずさひろお)は宇都宮家が戸田家の分流と推測した。
宇都宮家は、明治維新により廃藩置県(詳細)に成るまで、宇都宮藩藩主で宇都宮城主・戸田家の分家で将軍家から宇都宮を名乗る事を許された名家だった。
そもそも宇都宮家の本家・戸田家の隆盛の切欠は、戦国時代(詳細)の武将・戸田康光(とだやすみつ)(詳細)の機転だった。
戸田康光(とだやすみつ)は、駿河今川氏(詳細)に送られる筈の松平元康(家康)(詳細)を途中で裏切り織田家に連れて行って、松平元康(家康)と織田信長(詳細)との「竹馬の友(詳細)」と言う知縁を演出した武将だった。
その事が、やがて信長と家康の「清洲同盟(詳細)」に発展し家康天下取りの一助(いちじょ)となり、親藩としての地歩を固めた。
戸田家は家康に取り立てられて松平の姓を賜り、しばしば「老中」など江戸幕府の要職に就く大名家となった。
宇都宮・松平戸田家は、尾張国海部郡の戸田荘を発祥に三河国渥美郡に根拠地をもった戸田氏で、徳川氏に属して武功を得、その内の一家が三河国田原藩藩主となる。
その後下総佐倉藩藩主、越後高田藩藩主から下野国宇都宮に入部し一時肥前国島原藩藩主を勤め宇都宮藩主に戻った江戸期を通じて大名家だった。
上総広雄(かずさひろお)が医学生として学んだ大学病院で、娘・茜(あかね)の恋人・宇都宮一人(うつのみやかずと)は産まれた。
当時、広雄(ひろお)が医学生として学んだ大学病院は、不妊治療の権威として日本中に知れ渡って居た。
病院を選んだ目的は明らかだった。
つまり宇都宮家は下野国に代々続く資産ある名家だから、宇都宮一人(うつのみやかずと)の母親・雅美は、上総広雄(かずさひろお)が医学生として学んだ大学病院で「高い治療費を払い不妊治療を受けられた」と推測したのだ。
だが、そもそもの不妊原因は、一人(かずと)の父が「宇都宮家当主」と言う名家故の「虚弱精子劣性遺伝(詳細)」を病んでいた事に在る。
その一人(かずと)の父親は、息子が医師免許を取得したのを見届けて二年ほど前に他界していた。
一人(かずと)には、宇都宮家の膨大な資産が残った。
衝撃的だったのは、宇都宮一人(うつのみやかずと)の母親・雅美が、上総広雄(かずさひろお)が在籍していた大学の医学部併設病院で出産した事実を聞いたからだ。
上総広雄(かずさひろお)は身長177センチのガッチリした体格で、今でこそ若者の平均身長は高くなったが若い頃当時はかなりの大男だった。
そして宇都宮一人(うつのみやかずと)は、その上総広雄(かずさひろお)に似た体形で、身長は185センチを越える長身だった。
何よりも、宇都宮一人(うつのみやかずと)には兄弟が居ない一人子だった事も、疑惑を助長する気に成った事だ。
一連の符合が、益々上総広雄(かずさひろお)の不安を掻(か)き立てて行った。
この上総広常(かずさひろつね)の不安、唐突に出て来た訳ではない。
正直言うと広常(ひろつね)の専門は産婦人科で、地元行政から人口減少問題の評議委員を頼まれて何とか「少子化に歯止めを掛ける為の意見」などをまとめている最中だった。
その方策の一部に、子が欲しいのに精子や卵子の問題で子が為せない夫婦が居る事も事実で、此処を解決する事も必要だった。
民法上(民法772条)は、血縁無くても婚姻中に設けられた子は「その夫婦の子と推測される」と言う法規約がある。
つまり「精子の提供を受けて受胎する方法を促進したい」と言う「人工授精」の推進派も増えている。
今、広常(ひろつね)はそれらの意見を取りまとめていて、「人工授精」が頭の隅に棲み付いている状態だった。
上総広雄(かずさひろお)は想い悩んだが、とても妻の小百合にも娘の茜(あかね)にも告白できる話の中身ではない。
「お前(茜)、宇都宮君とはもう男女の仲か?」
「何よ、娘に何んて事を聞くのよ、嫌らしい。今時は付き合えば当たり前な事じゃない。」
娘・茜(あかね)は既にチャッカリ、宇都宮一人(うつのみやかずと)と肉体関係も結んでいた。
親の欲目で言えば、娘・茜(あかね)はかなりの「器量良しだ」と想っている。
相手は幾らでも居るだろうに、選(よ)りに選(よ)って選(えら)んだのが「宇都宮一人(うつのみやかずと)だった」と言う想いが膨らんだ。
行動派の長女・茜(あかね)の為した紹介で、上総広雄(かずさひろお)は宇都宮一人(うつのみやかずと)の母親・雅美と会う。
その母親・雅美・雅美のかもし出す上品な雰囲気が過去の記憶を刺激し、上総広雄(かずさひろお)は益々疑問を深めて行った。
正直、若気の至りとは言え、上総広雄(かずさひろお)に想い当たる事があった。
しかし上総広雄(かずさひろお)のそれは、世間が想う男女の事とは本質的に少し違っていた。
実はそれが、「不妊施術への精子提供」と言う事情だった。
常識的に、精子提供者(医学生)の秘匿性(ひとくせい/秘密に隠す)が求められるからこそ本来なら子供の親は見つからない。
それは精子受給者も提供者(医学生)も変わらない筈だが、手がかりは既に目の前の人物に在った。
それを知って、上総広雄(かずさひろお)に在る仮説、宇都宮一人(うつのみやかずと)に「自分の実子疑惑」が生まれ狼狽した。
上総広雄(かずさひろお)は、それほど全国区の名士ではないが、地方では周囲からそれなりの名誉と地位を認められていた。
だから地方総合病院の院長としては、やはり週刊誌ネタなどで公に成れば世間が喜びそうな痛恨のスキャンダル(不祥事・醜聞)である。
何故かこの時、地元地方紙・千葉日刊新聞の質濃い記者・武田の顔が浮かんでいた。
以前起こされた誤診疑惑で、娘の茜(あかね)の所までコメントを取りに押しかけた奴にかかっては、上総広雄(かずさひろお)も堪ったものでは無い。
「もしも二人の間に子が出来たら・・・。」と、取り返しが着かない最悪の事態が想定され、上総広雄(かずさひろお)は一人焦っていた。
こんな事は、妻の小百合にはとても言えそうもない降って湧いたようなトラブルだった。
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丸山教授・医師
◆◇◆◇◆◇◆◇〔二話〕丸山教授・医師◆◇◆◇◆◇◆
突然の事だったが、上総広常(かずさひろつね)の小学校から高校まで大親友だった大久保が尋ねて来た。
懐かしい友人だったが、ちょうど茜(あかね)と宇都宮一人(うつのみやかずと)の兄妹疑惑に頭が一杯で、ろくな歓待もできなかった。
大久保は、「お前(広常)、出世して人間が変わったな。久しぶりに訪ねたのに冷たい。もう付き合わん。」と酷く立腹して帰って行った。
久しく会わなかったので気にしていた相手だが、何故か話し合う前に怒ってしまい広常(ひろつね)はうろたえた。
それにしても、こんな複雑な問題を抱えた時機に何で大久保は現れ、何の脈略も無く怒って帰ったのだろうか?
美味(おい)しい話には、後で必ずしっぺ返し(仇なし)がある。
上総広雄(かずさひろお)には、二十五年以上前の医大生時代の秘密の遊びが鮮明に想い出されていた。
この年齢(とし)に成っても、あのエロチックな光景は忘れられない。
あの遊びのペナルティ(罰)がまさかこんな形で襲い掛かるとは上総広雄(かずさひろお)には予想だにしない出来事だった。
今考えれば、確かに広雄(ひろお)はあの当時、先も考えられない倒錯の中で見事に夢心地だった。
その遊びは、在学していた大学医学部の併設病院の丸山教授・医師から「教務で調べたのだが、君の成績は中々だね。」と声を掛けられ、「人助けだ。」と誘われて引き受けた秘密の遊びだ。
勿論最終選定は学業優秀だけで無く、精子の活動の活発かどうかも手淫で絞(しぼ)り出した精子を顕微鏡で確かめたりして選んだ医学生だった。
元々人間以外の生物には発情期があり、その時機にのみ「生殖行為」を行う。
しかし人間だけは、明らかに子を為す生殖目的もないのに性交に到る「擬似生殖行為(詳細)」を行う生物である。
この辺りが、良くも悪くも因果応報の「刹那的な人間の業(ごう)」かも知れない。
丸山教授から声が掛かった医学生十人と谷川看護師(当時は看護婦)の十二人で部外者立ち入り禁止のカンファレンス(検討会)が行われた。
丸山教授から趣旨が説明されて、全員が秘匿を誓い施術に参加をした。
施術室の白い天井と、上部を白に下部を緑かかった濃いブルーにペイントされた殺風景な風情の壁を思い出す。
あの併設病院の産婦人科の施術室の奥に入院ベッドでの卑猥な非日常の光景が、上総広雄(かずさひろお)に浮かんで来る。
丸椅子が五つ並ぶ別部屋に若い医学生が順番待ちで並び、谷川看護師が呼びに来るのを待ち、犯り終わった者から順次帰って行く。
谷川看護師に呼ばれた医学生は施術室に入り、病床ベッド脇に置かれたワゴンタイプの脱衣かご台のプラ篭の中に着衣を脱ぐ。
同じくその隣の病床ベッド脇に置かれたワゴンタイプの脱衣かご台のプラ篭の中に、畳んで置かれた女性の着衣とその上に脱ぎ捨てにされたブラジャーとパンティが目に入って生々しい。
全裸に成り、谷川看護師と味気ないカーテンを少しかき分け、被施術患者が待つ病床ベッド空間に入ると丸山教授(担当産婦人科医師)が待ち受けている。
丸山教授(担当産婦人科医師)・谷川看護師(当時は看護婦)立会いの下、病床ベッドの上にアイマスクだけを身に付け全裸で横たわる人妻を、生本番で「犯せ」と言うのだ。
予めレクチャー(説明)されて居たとは言え、白いシーツ上の受術者女性の裸体を目の当りにし、上総広雄(かずさひろお)の脳は痺(しび)れるほど興奮した。
しかもシュール(非日常的)で衝撃的な性交光景が、固唾(かたず)を飲んで見守る立会いの丸山教授・医師や谷川看護師に良く見えていた。
この異様なシチュエーション(状態)は、若い上総広雄(かずさひろお)にSMプレィ気分を味あわせ、興奮が大きかった思い出がある。
そしてそのシュール(非日常的)な興奮は、その特殊な施術が回を重ねて慣れて来ても総広雄(かずさひろお)の痺(しび)れの興奮は続いた。
正直、若かった上総広雄(かずさひろお)は、その人妻の裸体を見ただけで勃起し、もう立会いの丸山教授や谷川看護師など眼中に無く、その人妻を病床ベッドをキシマセながら欲望の赴(おもむ)くままに犯した。
そして上総広雄(かずさひろお)の若さの爆発に、その人妻も熟れた肉体を駆使して激しく応じ、双方歓喜の内に人妻は射精を受け入れた。
何しろあの妊娠施術の異様なシチュエーション(状態)は、携わった医学生も大興奮で、上総広雄(かずさひろお)も例外ではなかった。
そこで今考えると、施術を受ける若いご婦人には医師と看護師が見守る中での連続性交で、施術された若いご婦人達の興奮は「相当なものだった」と想像に難く無い。
肉体(からだ)の中心を医学生に突かれながら、若妻達は「ランナーズハイの陶酔(詳細)」を感じていた。
丸山教授・医師と谷川看護師から丸見えの性交舞台(施術ベッド)の上で、医学生五人に次から次と性交する。
もぅ興奮がピークに到達して弾(はじ)けたセックスハイ状態の若妻達は、善がり声を挙げながら裸体を震わせ、受け腰で激しく応じながら踊り続ける事になる。
被施術者の女性は、「ウッ」と言う医学生の呻(うめ)き声を、一日に連続して何度も聞き、正直ある面で自分が女性で在る事を確信するのだ。
施術室の病床ベッドが軋(きし)む音と被施術者(人妻)の善がり声が、医学生の交代を交えながら二十分から二十五分ほど続く。
そして医学生五人との性行が終ると、被施術者(人妻)は谷川看護師に腰にクッションを宛がってもらい精液を溜めたまま両膝(りょうひざ)を宙(ちゅう)に浮かせた姿勢で十分ほど寝て休息を摂る。
いささか不自然な姿勢の休息だが、妊娠が目的だからむやみに立ち上がって受け入れた精子を垂れ流す訳には行かないのだ。
人間の性とは、こう言うものなのか・・・。
上総広雄(かずさひろお)は、丸山教授・医師の施術で若い人妻達が堕ちて壊れて行くリアルを目の当りにしていた。
丸山教授・医師の考え方では、精子が卵子と出会う瞬間の場面と場所は人工的なシャーレの中ではなく、性交を終えて歓喜に震える子宮環境でなければ成らない。
つまりその場面と場所こそが究極の「理想的な妊娠環境だ」として、発案・実行している施術法だった。
つまりそれは、子の為せない夫婦の婦人の為に妊娠を目的としたある種の擬似人工授精と言う名の、「秘密の生本番性交」だった。
何しろ、ただ(無料)で性交経験豊富な感度良く熟れた人妻が抱けるので、当時の上総広雄(かずさひろお)は、この幸運を喜んで一日おきに毎回通って秘密の遊びを堪能した。
当時としては、悶々と溜まっていた物(精子)を手淫(オナニー)ではなく女体に気持ち良く放出するのだから、それ以外の事など思い到らなくても無理は無かった。
この恩恵に浴(よく)するには絶対的な口止めが条件だったから、丸山教授(担当産婦人科医師)・谷川看護師(当時は看護婦)、そして選抜された医学生十人だけの共有する秘密だった。
大学の好成績医学生から丸山教授に選抜された十人が二班に別れ、一日おきに五人ずつが患者の人妻一人と秘密の生本番性交を行い、誰かの精子がヒットして妊娠させた。
まぁ誰の精子がどの患者にヒットしたかは、DNA遺伝子検査でもしない限りは判らない仕組みだった。
それに、日本の法律(民法772条)では、妻が婚姻中に妊娠した場合その懐胎した子は、「夫の子と推定する。」と決められている。
つまり産まれて来る子供の為に、実質(精子上)の親子関係は問われない事に成って居るのだ。
医学部丸山教授が考案した不妊治療法が「何故に五人連続性交なのか?」と言う疑問に答えるならば、これは自然界の「確実な種の保存の為」の生殖構造の問題で、合理的な理由がある。
いささかタブー染みた情報であるが、一番人間に近い類人猿・チンパンジーなどの生殖行動を見ても判る通り、霊長類の基本的な生殖行動は「群れ婚」である。
チンパンジーの雄(オス)達は一頭の発情期の雌(メス)に順番に群がり、雌(メス)は一日に何頭もの雄(オス)と交尾する。
その理由は「確実な種の保存の為」で、雌(メス)が依り強くて優秀な精子に回(めぐ)り逢う目的で「自然がそうした生殖行動を選択させていた」と言う立派な理由が在るからだ。
これは「種の保存」のメカニズムが主体の自然な生殖行動であるから、雄(オス)雌(メス)の生殖機能には目的に添った違いが在る。
当然、雄(オス)の方は次と交代させる為に肉体的に一度の射精で終わるが、雌(メス)の方は連続交尾を受け入れられる構造を、生殖器がしている。
つまり生物としての現生人類は、「確実な種の保存の為」に本能的に「虚弱精子劣性遺伝(詳細)」や「XY染色体の劣勢遺伝(詳細)」などを生殖機能として知っていた事になる。
人間と同じ類人猿・チンパンジーやオランウータンは群れ婚で、本来発情期の雌(女性)は依り良い遺伝精子を得る為に複数の雄と連続性交するのが普通だった。
最も人類に近いチンパンジーの生殖行動でも判る通り、元々人間の元である霊長類の雌(メス)には強い精子を受け入れる為に発情期に多くの雄と連続して性交する資質がある。
霊長類・類人猿のチンパンジーは輪姦行為が一般的であり、群れで生活していた原生人類も、永く生殖行為の相手は「群れ婚状態」で基本は乱交だった。
その「群れ婚状態」の子育ては「群れ」で担(にな)っていたのだが、個々に「財」を持つようになり、子育てが夫婦と言う番(つがい)に移った本能とは別の要因で社会合意が為された。
つまり、人間社会が自然本能・群れ婚を否定して行く過程には、資産とか経済とかの群れとは別の個人の「財」が介在するようになる。
「財」が「子育て」に必要不可欠になり、女性の家に男性が通う「呼ばう(夜這い)婚(詳細)」を経て、概念としての「家制度」が生まれ、群れ婚は崩れて行った。
しかしこの自然本能的に多くの異なった遺伝子を必要とする女性の脳の思考メカニズムは、現在でも深層部分で自然本能として存在する。
実は子を為した後の女性が本能的に次の遺伝子を求め、連れ合いの男性に嫌悪感を感じてセックスレス夫婦に陥(おちい)る傾向が在る。
群れ婚だった人類が、「子育て」に絡んで成立させた人間社会が、自然界に於ける脳科学的な機能とは乖離(かいり)しているからである。
つまり自然界に於いては、子供が出来ればその遺伝子の男性は「用済み」と脳が勝手に想うのである。
それが現代では、女性の関心が夫から離れ子供に傾倒して夫婦間に隙間が生じ、多くの離婚の芽が生まれる一因と成って居る。
こうした生き物としての生態系が人間社会の我侭(わがまま)で無視され、人間の実社会が自然な種の保存と乖離(かいり)してしまった現状で、社会矛盾に拍車が掛かっている。
この学説を証明する為に、新疆ウイグル自治区の四千年前に描かれた世界初のエロ本とでもいうべき壁画には、女性一人に順番待ちする多数の男性の姿が描かれている。
女性の元々の基礎本能がそれならば、日常の社会性にストレスを感じたら、いっそ野生に戻って非日常の性交快感を素直に愉しめば良いのかも知れない。
性に関わる物をタブー(触れたくないもの)とし、清廉を正義ぶってモラル(道徳)・インモラル(不道徳/背徳的)を説いても、それは本当に正しいのだろうか?
どうにも納得出来ない事に、子が為せなければ「その家族の物語が途絶えてしまう」と言う切実な苦悩がある。
当時者にしてみれば、「妊娠不能」は上っ面の建前倫理観で論じられたくない深刻な家庭問題である。
それを天命として、途絶える物語を受け入れるのがモラル(道徳)と言うのなら、確かにそれは切ない話しだった。
今でこそ「AID不妊治療」(詳細)がかなり一般的に成ったが、三十年前はまだ技術開発の半ばだった。
ドライに考えれば、丸山教授・医師のこれは、あくまでも安全性が高い「自然な妊娠支援技術」である。
その背景にある「子が欲しい」と言う望みを、「いかに安全に達成できるかが重要だ」と言う「目標に絞った結論」が、丸山教授・医師の主張だった。
そして特段の異論が提起されない限り、婚姻中に設けられた子は「その夫婦の子と推測される」と言う民法上の法規約がある。
つまり此処(ここ)が苦悩する所だが、手段と理性を計りに掛けて選んだこの丸山教授・医師の主張の段階で、彼は「神の領域」に一歩脚を踏み込んだのかも知れない。
当然、被施術者女性の排卵日を計算しての性交施術だった。
丸山教授・医師は、受胎施術と称して実は生々しい性交を行わせているのだが、建前上医学生は「精子提供者」と言う事になる。
その医学部丸山教授の意見を強引に押し付けてはイケナイが、現代女性にも祖先の記憶は間違いなく存在し、その機能を本能として肉体的に有して居る事になる。
勿論、医師・看護師立会いの上、アイマスクに「五人」と言う複数相手なら医学的施術で、「特定の相手と浮気して出来た子」と言う後ろめたさを感じ難い効能もある。
この自然本能的に多くの異なった遺伝子を必要とする女性の脳の思考メカニズムを、この妊娠施術と言う異様なシュチエーションが満足させていた。
この事は人間の深層心理が、簡潔な意味で現実の前に脆(もろ)くも暴かれた瞬間かも知れない。
目的が妊娠だから、この性交施術は医学生達五人が全て射精するまでは毎回無制限で性行為が続けられた。
上総広雄(かずさひろお)が五人目の最後の時など、犯り終わった人妻の開いた股の太腿(ふともも)が小刻みに揺(ゆ)れるほどの激しい性交の余波が肉体(からだ)に続いているのが判った。
雄(男性)の本能が子種を撒き散らす事に在る以上、雌(女性)の本能に優秀な子種を求める衝動が在る以上、所謂(いわゆる)性衝動を建前だけで制御するのはむずかしい。
社会性を念頭に考えれば「トンデモナイ事」であっても、原始回帰すれば男性が良い母体を探し女性が良い精子を探す「種の保存本能」で相手を代えるのは当たり前だった。
つまり肉体と言うものは、モラル(道徳)・インモラル(不道徳/背徳的)とは別の時点で自然に反応し、それはけして恥じるものでは無い。
そしてこれが肝心な事だが、施術された人妻が誰一人として一度で止める事無く、妊娠の兆候が在るまで二週間に一度のペースで通って来た事実である。
それは、どうしても子供が授かりたい事は勿論だが、あの施術方法が彼女達にとって「嫌ではなかった」と言う事である。
その二十五年以上前の秘密の遊びが、まさかと想うが娘の茜(あかね)の選んだ男として目の前に現れた可能性が濃いのだ。
勿論、この事態に直面して、上総広雄(かずさひろお)は二十五年前の自分の罪を承知していた。
世間のモラル(道徳)・インモラル(不道徳/背徳的)と言った建前のパラダイム(時代の合意事項)では、マルチSEX(複数性交)を人が行えば立派な罪である。
しかし丸山教授・医師のレクチャー(説明)では、人類に於けるパラダイム(時代の合意事項)など、正直この上ない不確(ふたし)かな事である。
感性で例えれば、中世のパラダイム(時代の合意事項)は「地球は平で在り、天が動いている」が信仰上の感性だった。
本来、信仰にも色々な宗教教義が在る様に、人間の思考に依る答えはその目的に拠って必ずしも同じとは限らず、「私には考えられない。」と主張する方も居れば、「解る解る。」と理解する方も居る。
即ち、自分に子供が欲しい事を優先すれば、少々の社会秩序には目を瞑(つぶ)る事もヒューマン(人間らしい、人間味、人間的)(詳細)らしいのではないのか?
つまり夫々(それぞれ)の人間には夫々(それぞれ)の価値観があり、それを単純に「トンデモナイ事」と個人の思惑でジャッチ(判定)しても良いのかは、考えさせられる所ではある。
丸山教授・医師の主張では、精子を卵子に着床させ、妊娠に到る施術を人工的に行う不妊治療の術式の方が、施術時に器具を使用するなど不自然かつ妊娠に到る効率も悪いと言うのだ。
実際に生物学的、或いは医学的に言えば、丸山教授・医師の理論は明らかに正しいが、これに人道を入れると相当に難しい問題になる。
そこが苦悩する所だが、子が為せない夫婦が子を欲しがっての「親の勝っ手」だから、スキャンダラス(恥さらしの・醜聞的)な切ない話しだった。
確かに人間が自然に逆らって設定したモラル(道徳)に拘(こだわ)らなければ、自然な性交の方が無理が無い妊娠を得られる理屈だった。
正直三年間で、上総広雄(かずさひろお)が妊娠施術の相手をしたのは百人近い人数を数えた。
だから、宇都宮一人(うつのみやかずと)の母親・雅美もその内の一人であるが、アイマスクを装着していたので雅美の顔を広雄(ひろお)はハッキリとは覚えはない。
そして一人(かずと)の母親・雅美は、あの次々と入れ替わる医学生相手に肢体を躍動させ善がり声を挙げながら応戦した若妻達のひとりだった事に成る。
只、相応の年配ながら母親・雅美のしなやかな風情は、広雄(ひろお)に或る確信を抱かせていた。
そしてこの話の続きを、広雄(ひろお)は恐ろしい想いで迎える事になる。
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私立探偵・藤堂
◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔三話〕私立探偵・藤堂◆◇◆◇◆◇◆
忘れていたまさかと思える過去の現実が、突然に上総広雄(かずさひろお)を大いに不安にさせる状況に陥(おとしい)れた。
この広い世間で、まさかめぐり合うとは思えない過去に、図(はか)らずも出くわした上総広雄(かずさひろお)にはジタバタとした日々が続いた。
上総広雄(かずさひろお)は、その心に湧き上がる疑問を解くべく都内の一匹狼の私立探偵・藤堂に宇都宮一人(うつのみやかずと)の調査を依頼する。
以前、大学時代の剣道部で二年後輩だった警視庁科学捜査研究所の所長を務める友人・山階(やましな)と言う男が、「探偵として独立した後輩を使ってくれ」と頼まれたのを思い出した。
山階(やましな)の紹介で、元警視庁刑事課所属だった藤堂と言う探偵を「優秀な男」と紹介され逢って見た。
その藤堂と言う私立探偵が、宇都宮一人(うつのみやかずと)とほぼ同年輩の若造だったので、「頼り無い」とは想った。
しかし藤堂本人が、「最新の探偵術を習得している」と自信有り気に言うので信用して任せてみた。
私立探偵・藤堂が、三ヶ月調査した結果を書類に起こして上総広雄(かずさひろお)に報告に来た。
当時の某大学医学部併設病院で行われたある特殊な人工授精施術を当時三十五歳前後で同病院に勤務していた六十二歳の谷川看護師を探し宛て、その証言を得た。
「あの先生(丸山教授・医師)も亡くなりましたから、もう時効でしょう。」と、今では別の病院で看護師長を務める証言者・谷川の話しは、驚きに満ちた生々しいものだった
夫婦の不妊原因は、女性の妊娠適齢期を越えてしまった「卵子の老化(詳細)」を別にすれば、男性のY染色体に欠陥が在る場合がほとんどである。
もう、二十五年以上前の事だが、昭和三十年代の某大学病院で、男性側の精子に問題がある夫婦の婦人に、その婦人の了解の下、ある種の人工授精が施術された。
その人工授精を担当した産婦人科教授・丸山医師は、当時三十五歳前後で証言者の谷川看護師とはオフィスワイフ(職場愛人)と言う形態の愛人関係に在った。
そしてまた、その産婦人科教授・丸山医師は、日本に古くから在る「家系保存制度・暗闇祭り」を合理的と考えて居た特殊な思考の持ち主だった。
日本の性文化(詳細)・「暗闇祭り(詳細)」は、不妊に悩む女性が祭りの晩に神様から「子種」を授かる優秀な「子孫繁栄装置」だったからである。
産婦人科教授・丸山医師は不妊に悩む夫婦の婦人に日本の「暗闇祭り」の趣旨を解き、夫に内緒のこの特殊な人工授精施術を受けさせる承諾を得た。
その施術実態はもう人工授精などでは無く、そのある種の施術は婦人と精子提供者との生本番性交だった。
精子提供者は、「その大学の匿名の優秀な医大生」とされ、人工授精を施術される婦人も優秀な精子に納得して産まれて来る子供の将来には期待していた。
それで、そのある種の施術が、実はアイマスクで婦人の視界を遮(さえぎ)っただけの本番性交だった事は、夫だけが知らされない自然妊娠法だった。
婦人が他人と性交を犯るのだから倫理的には多少問題があるが、正直最も女性器を傷付けない安全な施術方法である。
正直婦人達は、丸山教授・医師から施術内容を詳しく説明され、驚いた事に「若い医学生五人と連続生本番をさせる」と言う事だった。
その施術を悩んだ末に納得し要望した後、覚悟を決めた受術者の婦人はその性交施術の内要・生本番連続五人を想像して何時(いつ)の間にかひとりの女性として期待していた。
受精妊娠が目的の大儀で、医師の指導の下だから、その試みに対する婦人たちのインモラル感(不道徳感/背徳的感)も薄らいでいたと想像に難くない。
そして本心では、あくまでも想像の域だったが、何しろ若い医学生五人に連続して犯されるのだから、その快感度は夫一人より特別なものかも知れない期待も在った。
それが、医師立会いの元で安全に施術されるのだから、簡潔に変な器具で精子が着床した卵子を子宮に戻される依りも数倍愉しみな事だった。
証言者の谷川看護師が言うに、その本番性交は産婦人科の施術室の奥に入院ベッドを設置して患者の婦人をアイマスク着用以外全裸にして待たせ、希望する医大生を招き入れて性交をさせた。
勿論、元々女とやりたい盛りの医大生にしてみれば、熟(う)れ盛りで性交テクニックも豊富な年上女性が抱けるのだから、一度で味を占めて毎回愉しんでいた。
三十歳代の性交経験豊富な熟(う)れ盛りの大人の人妻達だから、正直妊娠目的と言う大儀に納得して、一日五人を相手に連続性交を受け入れた。
そして性交の発露としての快感は、一人目からマックス(絶頂)なのにその快感が五連続で途切れず得られる事になる。
だから一度肉体(からだ)が快感の味を占めれば、初日の途中からその人妻の抵抗感は消滅して行った。
つまりその人妻達は、二十歳を少し越えたばかりの若い医大生五人にアイマスク着用で連続して抱かれる事を、こちらも愉しんでいた。
施術を受けている或る人妻に、施術後丸山教授・医師が「施術に熱心に通う妻を、「夫がどう評価しているのか」を聞いて居るのを上総広雄(かずさひろお)が耳にした事がある。
丸山教授・医師が夫側の精神状態を気にしての事だが、「此処に熱心に通うのを御主人は何て言っている?」と聴いて、その人妻から意外な答えが返って来た。
「そこが私も心配だったのですが、大丈夫です。」とその人妻は話し出した。
「実はお恥ずかしい話しですが、先生が施術後直ぐにしても大丈夫だと勧めるものですから、主人にそう申しましたところ、もういきなり始めてしまって・・・・」
「なるほど、御主人の気持ちは判ります。」
「施術の日はせめて気分だけでも自分の物(精子)も混ぜたいと想うらしくて、その日は私と行為に及ぶのです・・・。」
「そうでしょう。不安なのですよ御主人も。」
「それが、あの施術を受けたばかりで私が何倍も感じ易く成って居るものですから、何時もより私の感じ方が面白いと申しまして、味を占めた主人から施術を受けに行けと勧める様に成りました。」
「奥さんが感じ易く成って居て、それを御主人も愉しめる・・・そう言う事ですか。」
「この施術の後、帰って直ぐですから感じ易くても仕方無いですよ。夫もそれを喜んでくれますし。」
「すると、今日もこの後ですか?」
「嫌ですよ先生。改めて聞かれたら恥ずかしいじゃないですか。」
奥さんが昼間に五人の若者と性交したばかりで、或る意味、夫婦に採ってこれほどの「前戯」は無いから婦人の性感は最高に高まっている。
その反応を夫の方は、妻が秘部を医師に見られ、医療的異物を秘部に挿入される興奮を持ち帰って敏感に成り、妻の「性感が高まっている」と受け取っている。
結果オーライで、日頃無い妻の激しい性交反応に夫は満足して、それを愉しみに施術のリピート(繰り返し)を妻に求めるのだ。
勿論、この施術に参加する医学生も喜んで居た。
妊娠が目的だから避妊ゴム具など用いない、付き合っている自分の彼女相手では危険で出来ない気持ち良生の性交で、医大生には大好評だった。
その施術は精子提供者の医大生や施術される婦人の了解で担当産婦人科教授・医師と谷川看護師(当時は看護婦)立会いの下行われた。
そしてその秘密の性交は、患者婦人の受胎が確認されるまで何度も行われ、施術される婦人が大胆にエスカレートする生々しい痴態のその様を、証言者の谷川看護師は丸山担当医師と視認していた。
谷川看護師と丸山担当医師が立ち会う事とアイマスク着用で相手の顔が判らない事で、これがあくまでも不妊治療の施術で在って、浮気では無い事を施術される婦人が納得する為だった。
丸山教授・医師は、正直綿密な治療計画を立てれば立てるほど、御主人の欠陥精子を無理やり試験管でご婦人の卵子に合わせても望むべく成果が出ない事に気付いた。
それは当然の事だったが、簡潔な意味で本能的に自分の子が欲しい当事者には子が成せない事に中々納得が行かない苦悩が存在する。
そうなると丸山教授・医師は、何処かで健康な卵子を有するご婦人の方に合理的な妥協して貰わなければ成らない。
元々夫側の精子に問題が在っただけで、婦人には何の問題が無い為、この不妊治療では受胎の成功例が多かった。
相当乱暴な論理だったが、丸山教授・医師の言い分では優秀な精子の子が裕福な家庭に産まれ、最高の教育環境に恵まれて「優秀な子が育つ」と期待が強かった。
確かに、余裕の無い家庭では教育環境に恵まれないハンデがあり、そこは教育分野で指摘されるところではある。
丸山教授・医師は、命を弄(もてあそ)んだのか、それとも愛惜(いとお)しんだのか、今となっては上総広雄(かずさひろお)にも判らない。
それにしても子供は、産まれて来る親を選べない。
近頃は離婚率がドンドン上がって、一方では母親の連れ子を虐待死させる未熟な再婚男やその反対のケースが後を絶たない社会問題に成って居る。
担当産婦人科教授・丸山医師は不妊治療分野のオーソリティ(権威)として名医と名声があがり、連日受精希望者が殺到した。
為に、その本番性交施術は毎日数例に及んだが、医大生は若く性欲旺盛だったから無料での調達は上手く行った。
谷川看護師は担当産婦人科医師・丸山のオフィスワイフ(職場愛人)だったから、関係者全員が秘匿に協力的で、その施術は約五年間に及んで現在に到るまで表面化しては居ない。
人間の病(やまい)や傷、生死や誕生に関わる職業柄、医師や看護師は感情ばかりでは日々の仕事を熟(こ)なしては行けない。
そして日々を命に関わっているからこそ、医師や看護師は性行為に対して理性的にドライになれ、オフィスワイフ(職場愛人)が盛んな職場である。
「毎日あれを見せられたのですから、私(谷川)と先生(丸山医師)も興奮して良い前戯(ぜんぎ)代わりでした。」と証言者の谷川看護師は懐かしそうに言った。
産婦人科教授・丸山医師と谷川看護師は、合間を見て毎日自分達も刺激を得て激しく抱き合ったそうだ。
藤堂探偵が「お二人の間には妊娠は無かったのですか?」と問(とう)と、谷川看護師は「私が原因の不妊症でしたから、妊娠の心配は無かったです」と哀しそうに笑った。
そして告白した事がもう一つ、当時の生施術の代金・一回五千円(大卒初任給二万八千円時代)の二割は、教授・丸山医師と谷川看護師で山分けした。
谷川看護師長から結構下世話な話が飛び出して、藤堂探偵としては苦笑いだった。
谷川看護師長が言うに、先生の言い分は、「あの子達は望まれて資産家の家に産まれて来る子達だ。人間どんな生まれ方をしても幸せに育てばそれが一番良いと何時も言っていました。」と語っている。
なるほど、家庭と言うミクロ(ちいさ)な性規範では肯定出来ない丸山施術事案でも、国家・民族と言うマクロ(おおき)な範疇では、優秀な子が産まれ育つ事は一つの考え方ではある。
つまり価値観の基点が違うと「別の正解が導かれる」と言う自己矛盾を抱えているのが人間の弱点では或る。
果たして丸山教授・医師は不妊治療に悩む夫婦の救世主だったのか、それとも個人の性癖を満足する為にとんでもない事を画策して実行したのか。
どうにも納得出来ない事だったが、彼が亡くなった今と成っては「全ては闇の中」だった。
只、次代に命を繋ぐのが生き物の最低限の本能の筈である。
本来の人間の生殖能力は男女共に十四〜五歳で始まるのに、現代の社会性から結婚条件が遅くなり、晩婚化が進んで女性一人当たりが産める出産人数が極端に減った。
そして子が欲しいが男女どちらかの身体の異常で不妊夫婦と、妊娠能力が在りながら子などいらない我侭女性の簡潔な意味でのミスマッチなどが、日本少子化(詳細)に依る国力低下の病根である。
昔の事をいまさら蒸し返すと反発も多いだろうが、女性が十四〜五歳で嫁に行った頃は七〜八人の出産は普通だった。
今では二人産めば立派な方で、四十路近くなって産む気に成った頃は「卵子の老化」で妊娠すら難しくなっている。
それに家の存続を一番に考えていた昔は、「養子縁組」も「暗闇祭りの救済処置」も制度の一つだった。
「時代が違う」と簡単に切って捨てられそうな問題提起だが、現在の大問題「日本少子化」を食い止めるには「身勝っ手な人権の壁」が存在しする。
そこが苦悩する所だが、発想を弾力的な物に転換しパラダイム(時代の合意事項)をしないと、日本人は滅びの道を辿る事に成る。
丸山教授・医師はその職業柄、子作りに悩み抜いた末の社会実験に挑戦をしていたのかも知れない。
丸山教授・医師の施術は、現在のパラダイム(時代の合意事項)で言えば確かに非常識極まりない事である。
しかし、日本式の「常識(詳細)・非常識」で言うなら、「常識」と言う言葉の概念そのものが他国於いては胸を張って通用はし難い。
丸山教授・医師は個人の結論を医学生に教えなかったが、その施術との兼ね合いについて考える機会を与えた事で、師としての義務を果たしたのかも知れない。
実は娘の茜(あかね)が、宇都宮一人(うつのみやかずと)との恋愛の他にもう一つ問題を抱えていた。
それがどうやら、茜(あかね)が国立大学医学部に入学したての頃二ヶ月ほど付き合った一人(かずと)と同学年の研修医の男・吉池とのトラブルだった。
その吉池は、交際が破局したにも関わらずストーカーまがいに茜(あかね)を追いかけていた。
そのトラブルの解決も、対処が必要だと上総広雄(かずさひろお)は考えて、藤堂探偵を使う用意をしていた。
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DNA遺伝子検査
◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔四話〕DNA遺伝子検査◆◇◆◇◆◇
DNA遺伝子検査で、宇都宮一人(うつのみやかずと)と上総広雄(かずさひろお)の男性親子関係はXY染色体のY染色体の一致でも明らかだった。
どうやら医大生・上総広雄(かずさひろお)は、妊娠を求める宇都宮一人(うつのみやかずと)の母親・雅美と性交して、気持ち良く生出し射精した事になる。
所が、この広雄(ひろお)と一人(かずと)の親子関係が明らかに成ったのとは別に、予想外の大きな問題が発生した。
実は上総広雄(かずさひろお)の愛娘・茜(あかね)のDNA遺伝子検査が、上総広雄(かずさひろお)や宇都宮一人(うつのみやかずと)との血縁関係を否定したのだ。
在る意味、茜(あかね)と宇都宮一人(うつのみやかずと)との兄妹関係に於ける近親相姦を危惧していた上総広雄(かずさひろお)の懸念は払拭(ふっしょく)されホッとした。
だが、ホッとしたのもつかの間で、それは即ち「上総広雄(かずさひろお)と茜(あかね)の親子関係を否定する」と言う異常事態だった。
上総広雄(かずさひろお)は、娘・茜(あかね)の親が「何者か?」と言う別の疑問に直面した。
このケースでは、新生児室での取り違いか、結婚前に他者に仕込まれたか、婚姻中の浮気が考えられる。
まてよ、結婚前に・・・そう言えば、娘・茜(あかね)の顔が・・・疑ってみれば親友・高橋に似ている気がした。
そして上総広雄(かずさひろお)は、妻・小百合が元看護師だったのを思い出した。
正直、勤務が不規則な医師と看護師にはオフィスワイフ(職場愛人)と言う関係の職場不倫は付き物みたいなものである。
考えて見れば妻・小百合を上総広雄(かずさひろお)に紹介したのは、丸山妊娠施術の時に一緒に選抜された医学生の一人で、あの施術の互いにメンバーだった時以来の親友・高橋だった。
いずれにしても、当時の「精子提供医学生仲間」と言うヤンチャ(いたずら)な共犯者同士、青春の一ページとして気心が通じて飲み歩いた仲だった。
高橋に紹介された小百合は、看護師をしていて「医師と結婚するのが夢だ」と言う。
小百合を上総広雄(かずさひろお)に紹介した時点で、親友の高橋は妻帯者だったから只の同じ職場の医師と看護師の間柄と信じていた。
そしてホテルのロビーで小百合を紹介され、部屋のキーを親友の高橋から渡されて「本人も承諾している。抱いて試してみてから結婚を考えれば良い。」と言われた。
友人から「断られる事も在るけど、それで良いね。」と念を押された小百合は、それに黙って頷(うなず)いた。
しかし今考えて見れば、そんな上手い条件の話は世間に在る訳がない。
幾らあの丸山妊娠施術の医学生仲間とは言え、「本人も承諾している。抱いて試してみてから結婚を考えれば良い。」は、明らかに托卵結婚(たくらんけっこん)の罠だった。
それで上総広雄(かずさひろお)は、高橋のDNAを手に入れて親子関係を確かめ、それを「事実」と確信した。
上総広雄(かずさひろお)自身にも覚えは在るが、懸念した通り医者と看護師のオフィスワイフ(職場愛人)関係は然(さ)して珍しい事では無い。
それにしても「欲情」は人間の病(やまい)みたいなもので、遊びの性交プレィなど「駄目だ」と承知していても中々制止が利かない因果な存在である。
それを知らない訳ではないのに易々と乗ってしまったのだから、上総広雄(かずさひろお)は「しまった。」と想って「あの野郎・・・」と呻(うめ)いた。
それでも永年に渡り愛(いと)しんで育てて来た茜(あかね)への気持ちは、血の繋がりが無くても変わるものではない。
長女・茜(あかね)を別にして、妻の小百合との間に結婚二年後に次女、五年後に長男を儲けていて、大人(おとな)となれば今更夫婦間に波風は立てられない。
この結果に、上総広雄(かずさひろお)は「やられた。」と苦笑いするしかないのだ。
とは言うものの親友・高橋が、「托卵(たくらん)を企(たくら)んだ。」なんて、洒落(しゃれ)ては居られない事件である。
それでもここは考え方で、昔遊びで放出した精子が宇都宮一人(うつのみやかずと)と言う「立派な医師に成って手元に戻って来た」と言う想いが在った。
つまり茜(あかね)と宇都宮一人(うつのみやかずと)が結婚すれば、上総広雄(かずさひろお)の動揺した心中も丸く収まる気分だった。
上総広雄(かずさひろお)が快諾して、宇都宮一人(うつのみやかずと)と娘の茜(あかね)の結婚は急速に進んだ。
上総広雄(かずさひろお)は、「この際、親友の高橋に復讐しよう」と計画した。
「小百合、茜(あかね)の仲人(なこうど)は高橋に頼もうや。」
妻の小百合に高橋の所へ行かせ、茜(あかね)と宇都宮一人(うつのみやかずと)との仲人(なこうど)に成る様に依頼させた。
そしてその時の伝言で、「カッコウの托卵(たくらん)じゃあるまいし、おれは茜(あかね)を医学生まで育てたのだから、せめて少しは親らしい事を考えて祝儀をはずめ。」と伝えさせた。
伝言を聞いた妻の小百合は一瞬顔色を変えたが、夫(広雄)の顔が怒りでは無く悪戯(いたずら)ぽく笑っていたので、「このひと、全て承知で赦している」と理解した。
永年夫婦をやっていれば、その辺りは以心伝心である。
「判りました。趣旨は高橋さんに確り伝えます。」
高橋は妻子持ちだから、妻の小百合は高橋を喫茶店に呼び出し、上総広雄(かずさひろお)の意のある所を伝えた。
もう高橋は、友人にお腹の子さら小百合を押し付けた事に空(そら)は遣(つか)えない。
「バレてたのか・・・」と高橋はアッサリその事を認めて、早々に上総広雄(かずさひろお)の所に謝(あやま)りに来た。
実は二千万円ほど、家族に内緒で茜(あかね)の将来の為に用意していたのが「差し出し易く成った」と言った。
そこまで行くと高橋は、全くの確信の上の托卵結婚犯(たくらんけっこんはん)だった。
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ストーカー吉池
◇◆◇◆◇◆◇◆◇〔五話〕ストーカー吉池◆◇◆◇◆◇
茜(あかね)の結婚話は順当に進んでいたが、ストーカー問題はまだ残っていた。
ストーカー吉池の調査結果が藤堂探偵からもたらされて、上総広雄(かずさひろお)は愕然とした。
再び谷川看護師長が、当時の事を記憶していて藤堂探偵に証言したのだ。
それが、確か丸山妊娠施術患者の中に「吉池」と言う婦人の名があり、父親の可能性は、「上総広雄(かずさひろお)にも親友の高橋にも在る」と言う推測が成り立った。
藤堂探偵からストーカー吉池の非合法で取得した毛髪提供があり、上総広雄(かずさひろお)は早急にDNA遺伝子検査を実施、ストーカー吉池の父親を特定した。
結果出て来たのは親友の高橋との遺伝子一致で、つまりややこしい事に、茜(あかね)とストーカー吉池は「精子上の兄妹」と言う事に成る。
吉池の育ての父親は、ストーカー吉池の得意な思考方向と行動が理解できず、小学生の頃からその育て方に手を焼いて「悩んでいた」と言う。
そうなると、「何処の誰か判らない精子の子である」と言う意識が強くなって対応が冷たくなり、親子の溝は深まって行った。
そうした家庭環境の中、ストーカー吉池は何故か気に成る六歳ほど年下の女性・茜(あかね)と出会って一方的に恋をした。
つまり茜(あかね)が、一時とは言え吉池に好意を持ったのは兄妹の遺伝子が無意識に引き合った結果の様である。
茜(あかね)は器量良しと言えば器量良しで、けして無器量(ぶきりょう)ではないが、妄信的に世間に主張する超美人でもない。
矢張りストーカー吉池が茜(あかね)に執着するのは、彼の血(遺伝子)が茜(あかね)に特別な思いを抱かせるのかも知れない。
兄の吉池はその誤意識が後を引いて、茜(あかね)への想いがストーカーまがいにエスカレートしている可能性がある。
しかしストーカーは、素直に状況が納得出来ないから現実に事件に発展するもので、吉池に一途に想われては明らかに茜(あかね)が危険である。
そして藤堂探偵は、職業柄多くのストーカー事例に関係した経験がある。
吉池に「つきまとい」の兆候はあるが、この程度のストーカーまがいでは、警察も警告程度で大した事はできない事を藤堂探偵が承知していた。
しかもストーカー吉池を、藤堂探偵が昔の伝(つて)で警視庁に紹介した結果、危険な人物との情報が回答された。
ストーカー吉池は、地元の高校で学年トップの成績ながら暴走族を陰で操る影総長として警察がマークしていた凶暴性を持っている事が判明している。
藤堂探偵は、これはもう互いの兄妹関係の経緯を隠して置くべきではなく、「正しく伝えて手を引かせるしかない」と判断した。
それで、藤堂探偵から提案があり、上総広雄(かずさひろお)、親友の高橋、谷川看護師長がストーカー吉池に事情を話して納得させようと言うのだ。
「しかし藤堂君、そこまで君がやってくれるのは、大感謝だよ。」
「いえ、実は私も丸山妊娠施術の子で、他人事に思えないのですよ。」
「えっ、それは本当か・・・・」
実は宇都宮一人(うつのみやかずと)の母親・雅美が、同じく不妊症に悩んでいた女子高時代の友人を、自分が受精に成功していた大学病院の丸山教授を紹介していた。
その女子高時代の友人・良子(藤堂の母親)も受精に成功して妊娠した。
つまり、私立探偵・藤堂の母親・良子も秘密の施術時に受診したあの時の不妊患者の人妻の一人だった。
それにしても、藤堂が、丸山妊娠施術から生まれていたとは、まさか上総広雄(かずさひろお)も想像だにしない出来事だった。
元を正せば、子が為せない夫婦が無理に子を欲しがっての「親の身勝っ手」だから、当事者の子供達にとっては切ない話しだった。
その切ない話しに加担した咎(とが)めが、上総広雄(かずさひろお)に一気に襲って来たのだ。
真相を知って、私立探偵・藤堂の人生が簡潔な意味で大きく変わったのは想像に難くない事実だった。
しかしこれだけ丸山妊娠施術の関係者が何時(いつ)の間にか集まってく来る事など、教授・丸山医師は想像をしただろうか?
何か精子のDNAが働く過去の現実の「宿命的な想い」は、皆が持った様だ。
藤堂は、上総広雄(かずさひろお)の調査依頼に自分の両親との情報を重ね合わせて疑問を持ち、自らの調査もしていた。
そして辿り着いた結論には、藤堂探偵にも言い様が無い複雑な心境が在った。
ストーカー吉池の父親は親友の高橋だったが、藤堂探偵の父親はDNA遺伝子検査で上総広雄(かずさひろお)でも親友の高橋でもない事が判明した。
当時の十人の医学生は調べれば容易に判明し、唾液でも毛髪でも採取すれば藤堂探偵の父親も判明する。
しかし、そこまでやっても良いものだろうか?
人間を含む生き物は、「子孫を後世に残す」と言う当たり前の本能を持っている。
しかし何故か人間は、性をタブー視(触れたくないものとみる)する。
だから人間は、性をタブー視(触れたくないものとみる)する一方で、子孫を残す性行為を「密かにする」と言う意味の無い矛盾に直面する。
その意味の無い矛盾を、人間はホモサピエンス(知性人)を名乗りながら永い事解決できずに今日に到っている。
また人間は、「子孫を後世に残す」と言う当たり前の本能を、「子育てより人生の謳歌」とばかり個人の我侭な都合で捻じ曲げて通そうとする。
本人は「生き方は個人の勝っ手」と想っているだろうが、そう言う人間もチャッカリと結局、老いれば他人が懸命に育てた若者の世話に成る。
上総広雄(かずさひろお)は確かに藤堂の父親ではなかったが、良子(藤堂の母親)を何度か抱いた事も事実だった。
人間の感性など元々玉虫色で、「これだ」と言う色など無い。
その時最善の選択をした積りでも、懸念した通り「危な気な選択」は正直に話せば傷付く者が出て来る。
つまり「その時の想い」はその時々で変わるものだから、人間の人柄など一元的には信用が置けない。
そしてあの時の受術婦人達は、その後上総広雄(かずさひろお)が出会えない位の皆良い犯られ振りだった事を思い出す。
あの激しい性行為の末に授かった子供だから母性は満足し、自信を持って子育てが出来たのかも知れない。
藤堂探偵がストーカー吉池の説得を計画して間に、吉池が行動を起こして関係者に衝撃が走る。
連絡もせずに外泊などしない茜(あかね)がその日は家に帰らず、携帯電話に応答もない。
宇都宮一人(うつのみやかずと)には携帯電話で連絡が取れたが、その夜は別行動で、翌日の昼になって大学に講義の出欠を問い合わせても連絡が取れない。
茜(あかね)は大学から帰宅途中に突然行方不明になり、上総広雄(かずさひろお)に考え付く事は只一つ、ストーカー吉池に拉致されたのだ。
ここで本来なら警察に通報する所だが、苦悩する事に茜(あかね)とストーカー吉池の特殊な間柄を考えると単純に公にはできない。
茜(あかね)と吉池の実父である高橋は、上総広雄(かずさひろお)から「茜(あかね)誘拐」の状況を聞いて動転したが、放置できる話では無い。
高橋は電話口でうろたえていたが、「使って居る探偵が居るから」と広雄(ひろお)にまかせる事を承諾させた。
上総広雄(かずさひろお)は、とりあえず藤堂探偵に対処を相談、幸いストーカー吉池を調査していた藤堂探偵に、監禁場所の「心当たりが在る」と言う。
その心当たりと言うのが、吉池家が所有している伊豆高原の別荘だった。
吉池家は江戸期から日本橋魚河岸で魚介類を扱う商人の出自で、関東大震災後に開場した東京築地市場でマグロ専門の卸問屋を営む名家だった。
その戦後の当主が指折りの卸問屋として財を成し、伊豆高原に別荘を購(あがな)って一家や従業員家族の保養所としていた。
しかし近頃は景気の悪化も在って管理人を雇えなくなり、今はたまにストーカー吉池が遊びに訪(おとず)れるくらいで余り使われなく成っていた。
藤堂探偵がストーカー吉池を尾行した時、たまたま暴走がお手の物の吉池が車を遠乗りしたのを意地になって追いかけ、伊豆まで尾行して行き吉池がとある別荘に入るのを見届けた。
住所をメモに控えて、法務局で登記を確認し「吉池家が所有する伊豆高原の別荘だ」と藤堂探偵は知った。
ストーカー吉池が人目に付かずに自由に使えるあの別荘が、「誘拐監禁には持って来いの場所」と、藤堂探偵は直ぐに当たりを付けたのだ。
所在の辺りを付けた藤堂探偵は、上総広雄(かずさひろお)の友人・山階(やましな)警視庁科学捜査研究所々長に事情を説明して協力を要請する。
山階(やましな)に依頼してストーカー吉池の携帯電話のGPS機能を使い、所在が「伊豆高原に間違いない」と裏づけの確証を得た。
まぁ持つべきは親友であり、良き先輩と言う所か。
早速茜(あかね)と吉池の実父である高橋に藤堂探偵の意見を伝えて伊豆高原の別荘に向かう事にし、宇都宮一人(うつのみやかずと)にも状況を伝えた。
藤堂探偵が運転する上総広雄(かずさひろお)のベンツに、茜(あかね)の父・広雄(ひろお)と茜(あかね)の実の父でストーカー吉池の実父でもある高橋が同乗した。
ややこしい話しだが事情が事情で、この際吉池を罪人にするのは忍びないから説得するしかない。
「茜(あかね)は大丈夫だろうか?」
上総広雄(かずさひろお)が心配そうに言い出した。
藤堂探偵がそれに応えて、「大丈夫ですよ。大事件なんかそう簡単には起きませんよ。」と応じる。
「しかし最近は、ストーカーの大事件が多いだろう。」
「現実にはエスカレートする確率が少ないから警察が見落とし、大事(おおごと)の結果に成るんですよ。」
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追跡・伊豆高原
◆◇◆◇◆◇◆◇〔六話〕追跡・伊豆高原◆◇◆◇◆◇◆
広雄(ひろお)のベンツは、ほぼ無言の男三人を乗せて西に疾走し、一路伊豆高原の吉池家の別荘を目指す。
千葉・木更津〜神奈川・川崎間を東京アクアラインで通過、川崎から湘南バイパスを西進、湯河原を経て静岡県に入り、東伊豆海岸道(国道135号)熱海〜伊東経由で伊豆高原に到る。
上総広雄(かずさひろお)からの連絡を受け、宇都宮一人(うつのみやかずと)も現地で合流すべく別ルートで伊豆高原に向かっている。
携帯電話で取り合った連絡では、大学病院を早退して出発した一人(かずと)は、ほぼ十分差で広雄(ひろお)達のベンツに追い付く距離を追っていた。
伊豆高原へ向かう道々、染井吉野の桜木の花が一見「九分咲き」と言う所でそこかしこと咲いていた。
一行が静岡県に入って、伊豆半島東海岸の桜はもう満開だった。
先に伊豆高原別荘地に入ったベンツは、海岸から右に折れて別荘地の入り口に在るカフェショップに立ち寄った。
一分でも早く吉池家の別荘に向かいたい所だが、このカフェショップが藤堂探偵が提案した宇都宮一人(うつのみやかずと)との合流場所だった。
駐車場の見える窓際の席に腰を下ろした三人は、コーヒーを飲みながら一人(かずと)の運転するマークU(ツー)が入って来るのをもどかし気に待った。
八分差で一人(かずと)のマークU(ツー)が駐車場に現れ、その車映を確認すると三人は一人(かずと)の入店を待つ事無く席を立ち、慌しく料金を払って外に出た。
今に成って考えれば、丸山教授・医師はトンデモナイ血縁関係を残したものだが、今は最悪の事態を避けねば成らない。
とにかく一刻でも早く吉池家の別荘に向い吉池を取り押さえないと、みんな茜(あかね)の身が心配だった。
駐車場でまだ運転中の一人(かずと)に車の窓を開けさせ、広雄(ひろお)がマークU(ツー)に乗り込んで「ベンツを追え」と言い、運転させながら打ち合わせをする。
藤堂探偵が運転するベンツには高橋が乗り、先行してカフェショップから車で三分程の吉池家の別荘に向う。
山麓に開かれた別荘地への路は、区画ごとに道路に囲まれ、丘に昇る様な昇り路だった。
やがて藤堂探偵が運転するベンツは、一目で保養所風の別荘の駐車場に滑り込み、一人(かずと)のマークU(ツー)も続いた。
別荘に着くと直ぐに、四人はそれぞれ打ち合わせ通りの行動に入った。
まず別荘内に人の所在を電気メーターで確認する。
電気の使用メーターは激しく回転していて、別荘は明らかに空ではない。
この別荘地は管理会社が入っているから、藤堂探偵の提案で管理会社の緊急ガス点検を装ってストーカー吉池にドアの鍵を開けさせる事にする。
上総広雄(かずさひろお)と宇都宮一人(うつのみやかずと)は、ストーカー吉池に顔を知られている可能性があるから高橋と藤堂探偵が管理会社の職員を装い、広雄(ひろお)と一人(かずと)は壁際に隠れる事にした。
藤堂探偵は警察官上がりで、柔道初段、剣道五段の猛者である。
以前に紹介したが、宇都宮一人(うつのみやかずと)は父親の遺伝子を受け継いで、身長は185センチを越える長身のガッチリした体格だった。
上総広雄(かずさひろお)も身長177センチのガッチリした体格で、今でこそ若者の平均身長は高くなったが若い頃当時は大男の方だった。
高橋は広雄(ひろお)比較すると身長は170センチと少し低いが、弱小の大学チームとは言えアメフトのラガーだったから、タックルは得意だった。
勝負は吉池がドアを開けた一瞬で、ドアさえ開けさせれば男四人で吉池を抑え着けるのは容易である。
それぞれが受け持ちの位置に着いて、藤堂探偵が玄関のインタホンチャイムを「ピンポン」と鳴らした。
一回では反応が無かったので、次は「ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン。」と質濃く鳴らした。
インタホンから「はぃ何ですか?」と、漸く不機嫌そうな応答が在った。
「すみません。此処の管理会社****ですが、管理センターでこちらのお客様の建物でガス漏れの表示が点燈していますので調べさせて下さい。」
「ガス漏れ?」
「えぇ、すみません。恐れ入りますが五分ほどで済みますから。」
「今開けますから、早く済ませて下さい。」
会話の後、一分ほどでドアが開き、吉池が顔を出した所を藤堂探偵が腕を掴(つか)み後ろに捻りあげ、後の三人が吉池を壁に抑え付けた。
「何をするのですか。」と吉池が抵抗を試みるも、四人がかりで抑えられてはほとんど動けない。
「まて吉池君、大事な話がある。君に怪我はさせたくない。警察は入れていないので話を聞け。」
「警察を入れてない?」
「ああ、聞けば判る。身体を放すから落ち着いて話を聞いてくれ。」
吉池は茜(あかね)の父親・上総広雄(かずさひろお)から、自らの出生の秘密を含む驚くべき話を聞かされた。
「すると、ぼく(吉池)と茜(あかね)が兄妹で、此処に居る高橋さんが二人の本当の父親と言う事ですか?」
「その通りだ。こんな事は冗談では言えない。君を犯罪者にしたくないからこの誘拐に警察を入れなかった。」
「兄妹・・・・。」
ストーカー吉池の脳は理解能力を超えて、「何が起きているのか判らない」と言う混乱の中に在った。
にわかには信じられない事に、横恋慕して拉致までした女性が「自分の妹」だと言うのだ。
「茜(あかね)は無事か?」と宇都宮一人(うつのみやかずと)が吉池に聞く。
「あぁ、今眠っているが指一本触れて無い。」
「吉池、本当か。」
「ああ、嫌われたくないので、ユックリ話す積りだった。一生後悔する所だった。無理をしなくて良かった。」
寝室に踏み込むと、茜(あかね)はベッドに縛り着けられたまま眠っていたが、別に危害を加えられた痕跡は無く、ホッとした。
とにかく吉池が「丸山妊娠施術の」の経緯を納得して、誰も傷付かずに全てが解決した筈だった。
ところが、この別荘から帰ろうと外に出た時、例の地元地方紙・千葉日刊新聞の質濃い記者・武田が現れ、突然声を掛けて来た。
「上総院長先生、このところの先生や藤堂探偵の動きを張っていて、谷川看護師長の証言も聞かせてもらいました。良い記事が書けそうです。」
「君、幾ら新聞記者でも、古いプライベートの話を掘り出し過ぎだぞ。記事にするなら訴訟を起こすぞ。」
「出来ますか、訴訟となれば益々事が大きく成りますよ。良いのですか?」
「くそ、何て奴だ。」
「あなた、起きて下さい。もぅ一人で寝込んでしまって。そろそろ宇都宮(うつのみや)さんも眠いそうですよ。」
耳元で、妻の小百合の声がして身体を揺(ゆ)すられた。
目を開けると、娘の茜(あかね)と宇都宮一人(うつのみやかずと)が、共通の友人・吉池の伊豆高原の別荘へ行った時の話をして居る。
「茜(あかね)、そのさっきから話題の吉池君て人はどう言う人物だね?」
「一人(かずと)さんと同期の研修医で、良い人すよ。」
「そうかね。良い人かね・・・。」
初めて娘が彼氏を連れて来て、複雑な心境の中でつい深酒をし、薄れ行く意識の中で上総広雄(かずさひろお)は夢を見ていたのか・・・・・。
どうやら、私(広雄)の潜在意識が夢に出て来たようだ。
「ところで、宇都宮(うつのみや)のお母さんが私が医学生だった大学病院で出産したと言うのは間違いないのかね?」
「えぇ母を見てくれた当時の先生が、先ほどお話しました丸山教授と言う不妊治療分野のオーソリティ(権威)で、上総(かずさ)先生の恩師の一人だと聞きました。」
それにしても医者(生科学者)は「夢まで理屈っぽい。」と、上総広雄(かずさひろお)は苦笑いだった。
そう言えば、何の脈略も無く大親友の大久保が尋ねて来て怒って帰ったり、まだ面識も無い藤堂探偵と一緒に行動したりと、登場人物が不思議な状況で現れた。
良く考えたらまだ挨拶していない宇都宮一人(うつのみやかずと)の母親の顔が、夢の中で有名女優の顔に似ていた。
藤堂探偵の顔は医学生時代の同期の一人の顔にソックリで、取り留めの無い夢だったらこそ辻褄が合う話だった。
そして上総広雄(かずさひろお)は、ハッと我に返った。
上手く行ったのは夢の中だけの物語で、現実社会では、この精子と卵子の疑惑はまだ何もかもが未解決だった。
上総広雄(かずさひろお)は、ゾクゾクと言う寒気(さむけ)に襲われていた。
広雄(ひろお)は、家族を守らねばならない。
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決心・過去の告白
◆◇◆◇◆◇◆◇〔七話〕決心・過去の告白◆◇◆◇◆◇◆
宇都宮一人(うつのみやかずと)の来訪から一ヵ月後、私(上総広雄)は、娘・茜(あかね)と一人(かずと)の在籍する国立大学医学部に近い某ホテルに呼び出された。
私(上総広雄)に一人(かずと)の母・雅美と対面させ、婚姻話を早く進めたい娘・茜(あかね)の魂胆だった。
ホテルのラウンジで待っていた一人(かずと)の母・雅美は、上品に齢(よわい)を重ねた貴婦人だった。
あの秘密の妊娠施術の時点で、一人(かずと)の母・雅美は私(上総広雄)とは十歳前後歳上のは筈である。
子息の一人(かずと)が二十七歳だから、母・雅美は五十七歳前後と六十歳の少し手前の筈だが見た目は若かった。
施術当時はアイマスクをしていたので顔はハッキリとは思い出さないが、気が付いたのは母・雅美のうなじのホクロで、私(上総広雄)には確かに記憶が在つた。
「やっぱりそうか」の想いが脳に溢れて来た。
そして雅美の方は、当時無防備に接していた医学生だった私(上総広雄)の顔を、確り記憶している筈だった。
「あら、そうじゃないかと思って居たら、やっぱり茜(あかね)さんのお父さんはあの時の学生さんだったわ。」
「あれ、お母様(雅美)は父(上総広雄)を知っているんですか?」
「えぇ、なっかしいわ。お父様は、一人(かずと)の出産の時におせわに成った医学生さんよ。」
「一人(かずと)君、茜(あかね)、少しの間昔話をしたいのでお母さん(雅美)と私(上総広雄)の二人にさせてくれないか?」
「何の内緒話なの?まぁ、良いけど・・・。」
「いや、お前達が聞いても解らない昔の事だよ。」
「じゃ上総先生、茜(あかね)さんと下の併設ショップでも少し覗いて来ます。」
「あぁ、そうしてくれ。」
茜(あかね)達がラウンジ離れると、雅美が私(上総広雄)に「あの時の学生さんの一人と直ぐに判りましたわ」と、なっかしそうに言った。
「今にしたら面目無(めんぼくな)い思い出です。」
「上総さんにはそう言う思い出かも知れませんが、私は一人(かずと)を得たのですから、今でも良かったと想っています。」
「そうですか、ではそれは昔の事として、後は一人(かずと)君と茜(あかね)が兄妹で無ければ良いのですが・・・。」
「その御心配が上総さんにあるやも知れないと想い、実はまだ正式な話では無いからと一人(かずと)に上総さんの奥様同伴を次にして頂いたのです。」
「雅美さんはその近親婚の危惧を承知の上で、私(上総広雄)と二人だけで話したかったと・・・。」
「一人(かずと)に茜(あかね)さんの話を聞いて、もしやと想って上総さんの出身大学など色々聞いてみたらピッタリだったのですもの。」
「えぇ、私(上総広雄)もピッタリであせりました。」
「それで、お会いして確認してからと考えました。兄妹で在るか無いかは、今では直ぐに判りますでしょ。」
「実は、お顔はアイマスクで解りませんでしたが、雅美さんのうなじのホクロには確かに記憶があります。」
「嫌ですわ、恥ずかしいですから思い出させないで下さい。」
「そうですね。でも、記憶は確認しとかなければ、互いに話し難いでしょう。」
「それもこれで確認ですね。それで提案なのですが、二人に下手に隠し立てしない方が良いと考えました。」
「と、言われますと?」
「医師を目指している二人ですから、昔の経緯を話して、承知の上で兄妹の鑑定をさせた方が、先の事が納得ずくで決められると考えます。」
「正直にですか?」
「あなたが精子を提供したので、兄妹の可能性が疑えるとだけ私達が言えば良いでしょ。結婚させるにしても止めさせるにしても、その方がすっきり彼らの納得で決められるわ。」
雅美が語り始める。
「子供が欲しかったとは言え、あの施術を・・・、私、ズット悩み考えて居ました。今の結論はこんなものです。」
相手が医師と看護師とは言え、性交場面を披露する事に「恥ずかしい」を気にして居ら無いほど、被術者・雅美はメンタル(精神面)を鼓舞しなければ、この修羅場は切り抜けられない。
つまり被術者・雅美は、価値観を百八十度変換する事から始めなければ、切り抜けられない修羅場だったが、人間は結構思考を切り替えられる者かも知れない。
被術者・雅美がこの事態を不幸がって押し潰されたら敗北で、人間が自称するホモサピエンス(知性人)はもっと柔軟な思考回路を持っている。
誇りを持って笑って公開性交に応じるかは被術者・雅美の選択の方向性の問題で、物事の選択肢は多様多数にあり、唯一の正しい選択枝など最初から無いのだ。
正直、輪姦の施術が始まってしまえば、被術者・雅美は医学生達の波状攻撃の快感を甘受していたが、それが何だと言うのだ。
どうせ「全(まっと)うな人間」と自称する人々の中にも、色情狂は沢山居る。
嫌、色情狂が沢山居るからこそ、本当に「全(まっと)うな人間」と自称する者は無気力なのかも知れない。
そして彼女の全ての答えは、「人間だから」だった。
それで雅美は、「結婚させるにしても止めさせるにしても、その方がすっきり彼らの納得で決められるわ。」と言う。
なんとも腹の据わった母・雅美の提案だったが、私(上総広雄)も最終的にはそれが最良と考えて「判りました。今から二人に話しましょう」と合意した。
いささか恥ずかしい過去の告白に成るが、問題解決には仕方が無い。
買い物をしたと見える紙袋を提げて、一人(かずと)と茜(あかね)が、こちらに近付いて来るのが見えていた。
了
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【*】短編人生小説 (4)
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裁判員制度シュミレーション
凌 虐 の 裁 き(りょうぎゃくのさばき)
未来狂 冗談 作
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【*】短編人生小説 (3)
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短編小説(1)
「黄昏の日常」◆ 我にしてこの妻あり◆
未来狂 冗談 作
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ショート・ストーリーです。よろしかったら、お読みください。
【*】女性向短編小説 (1)
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短編小説(1)
「アイドルを探せ」◆青い頃…秋から冬へ◆
未来狂 冗談 作
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ショート・ストーリーです。よろしかったら、お読みください。
【*】社会派短編小説(2)
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ショート・ストーリーです。よろしかったら、お読みください。
社会派短編小説(2)
「生き様の詩(うた)」◆楢山が見える◆
未来狂 冗談 作
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◆HP上 非公式プロモート・ウエブサイト公開作品紹介◆
【小説・現代インターネット奇談 第一弾】
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「小説・現代インターネット奇談」
【電脳妖姫伝記】
【*】◆ 和やかな陵辱◆
(なごやかなりょうじょく)
未来狂 冗談 作
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【小説・現代インターネット奇談 第二弾】
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戦 後 大 戦 伝 記
◆ 夢と現の狭間に有りて◆
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未来狂 冗談 作
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「あえて、暴論」
ジョウダンの発想◆冗談 日本に提言する◆
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{「たったひとりのクーデター}・・・・・・・・(現代)◇◆◇メルマガ・サンプル版◇◆◇ 特に経営者の方には目からウロコの内容です。
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本能寺の変の謎・明智光秀はかく戦えり◆侮り(あなどり)◆
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====(日本史異聞シリーズ)第四作====
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南北朝秘話・切なからず、や、思春期◆茂夫の神隠し物語◆
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誰もが通り過ぎる思春期、
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====(日本史異聞シリーズ)第三作====
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鎌倉伝説
非道の権力者・頼朝の妻◆鬼嫁・尼将軍◆
未来狂 冗談 作
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歴史上他に類を見ない「鬼嫁」が存在した。
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====(日本史異聞シリーズ)第二作====
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うその中の真実・飛鳥時代へのなぞ◆倭(わ)の国は遥かなり◆
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韓流ブームの原点がここに・・
今、解き明かされる「二千年前の遥か昔」、
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この文章は修了です。
貴方は、冗談(ジョーク)を深く考えた事があるだろうか?
冗談(ジョーク)には「軽口」とは違う、もっと重く深い意味が密かに潜んで居る事も多いのである。
【作者プロフィール】●未来狂 冗談(ミラクル ジョウダン)本名・鈴 木 峰 晴
昭和二十三年、静岡市に生まれる。
県立静岡商業高等学校卒業、私立拓殖大学商学部貿易学科を卒業した後、実社会に船出。
従業員二十名足らず小企業に就職、その企業が三百名を超える地方中堅企業に育つ過程に身を置き、最終、常務取締役で退任。
その後、零細企業を起こし、現在に至る。
現在他家に嫁いだ娘二人に外孫三人、同居の愛妻が一人居るが、妾や愛人は居ない。
性別・男性 /生年・1948年/住所・静岡県東部在住
【メッセージ 】
ネット作家として文学・歴史・政治・宗教・教育・科学・性・脳などを研究し小説やエッセ、そしてブログでコラムなど書いています。
☆ペンネーム未来狂冗談(Miracljoudan)の由来は、「悪い未来に成った事は冗談ではな無い」と思う気持ちからで、けして「冗談に付けたのではない」つもりです。念のため・・・。
また、「冗談」とかざしたペンネームの真意は、作品により政治や信仰・占術、歴史に対する批評及び性描写に、タブーを恐れない過激な表現を用いる事がある為、利害関係者との余分な論争を避ける為です。
あなたは、人目の訪問者です。
作者本名・鈴木峰晴